『ハイキュー!!』『ヒロアカ』などのアニメMAD動画で「かくれんぼ」ブレイク 2021年の注目バンド AliAとは?
ここ数年で、音楽がヒットするまでの流れが変化している。例えば、YOASOBIはYouTubeに公開した「夜に駆ける」MVがバズったことをきっかけに、音楽サブスクリプションサービスを中心にロングヒットを記録、今では日本の音楽シーンの第一線を走るユニットに。瑛人の「香水」はTikTokなどでカバー動画が流行ったことをきっかけに、国民的ヒット曲となった。いずれもCDをリリースする前に、社会現象的な人気を獲得。インターネットによる口コミや一般ユーザーが作ったムーブメントによってヒットが生まれることも珍しくなくなった。ここ最近、人気と知名度を上げているAliAも、ネットをきっかけにヒットを生んだアーティストの1組である。
AliAがネットシーンで爆発的な広がりを見せたきっかけは、アニメと楽曲を組み合わせたMAD動画だった。MAD動画とは既存のゲームやアニメの映像に音楽や音声を組み合わせ、個人が合成と編集をしたもので、いわゆる二次創作の一つである。つまりファンがしがらみなく自由に制作し楽しむ動画だ。
2020年前後から『ハイキュー!!』や『僕のヒーローアカデミア』、『ONE PIECE』などのアニメのMAD動画にAliAが2019年にリリースした「かくれんぼ」が使用されはじめ、現在そのMAD動画の中には数百万回再生を超えている人気動画も多数存在する。そんなバズとあわせて、「かくれんぼ」公式MVも再生回数が急上昇し、先日とうとう1000万回再生を突破。この1年で、バンドの知名度が爆発的な広がりを見せていることがわかる。
もちろん、このヒットは単なる偶然ではない。MAD動画に使われているアニメは王道の少年漫画が多く、「かくれんぼ」が持つポジティブさや力強さが、どの作品の世界観にもマッチしている。音楽とアニメ、その相乗効果によってふたつの魅力が引き出され、この大ヒットに繋がったのだろう。「かくれんぼ」においては、疾走感のあるサウンドと想像力を掻き立てる歌詞が、使われているアニメと相性が良かった。〈”いっせーのー”で鳴り響いたスタートの合図〉というフレーズを、力強く突き抜けるような歌声で表現するAYAME(Vo)のボーカルは、聴き手の耳を一瞬で奪うインパクトがある。そのほかの〈一等賞で駆け抜ける君〉や〈宝箱はホコリを被ったまま〉など、王道少年漫画の世界観と重なりやすい表現が入っているのはもちろんだが、その歌詞をドラマティックに魅せていく抑揚のきいた構成もリスナー/アニメファンの胸を熱くするポイントのように思う。