オレンジスパイニクラブが届けた測定不能なロック体験 LIQUIDROOMのステージにあった愛すべきバンドの姿

 時には湧き上がった感情を放出させるように、時には甘美なメロディを大切に紡ぐように。緩急豊かなセットリストを鳴らす爆音のバンドサウンドは、まさにアンメジャラブル=測定不能なロックバンド体験を私たちにもたらした。とてつもなく人間臭いライブをする彼らを観て、やはりこのバンドは信頼できる、と思わせられる。

オレンジスパイニクラブ

 メジャー1stフルアルバム『アンメジャラブル』のリリースに伴う全国ツアーファイナルが、12月16日にLIQUIDROOMで開催された。最初に演奏されたのは「退屈かもしれない」で、グランジを感じさせるイントロを分厚い音像で鳴らす4人の姿に早速ロックバンドとしてのアティチュードを見た。オレンジスパイニクラブといえば繊細な歌モノをイメージする人も多いかもしれないが、元々はThe ピーズに憧れ、現バンド名に変わるまではパンクを鳴らしていたバンドだ。グオングオンとうねりをあげるギター&ベースに、ドラムによる爆裂ビート。“音なんてデカくてナンボ”的な精神を感じさせるバンドサウンドがとにかく痛快で、その中で歌うスズキユウスケ(Vo/Gt)は感情を解放させるように半ば叫んでいる。

 パンク魂剥き出しのバンドサウンドを前に、グッと握られた拳がたくさん上がる。先述の「退屈かもしれない」→ギターリフが印象的な「Worst of myself」→速いテンポでぶっ放す「スリーカウント」、そしてMCを挟んでからの「37.5℃」→泣きのギターソロもあった「日和見の暮」→2ビートのパンクチューン「アイヘイトマイバースデー」と3曲ワンセットの加速を2度行うような構成で序盤は進行。この6曲で言うと、例えば「37.5℃」は「スリーカウント」や「アイヘイトマイバースデー」ほどアッパーな曲ではないが、ゆっきー(Ba/Cho)がかなり太い音で鳴らしていたり、サビ裏でスズキナオト(Gt/Cho)が鳴らすギターのリズムが疾走感を増幅させていたり、ゆりと(Dr)の連打とともにバンド全体がクレッシェンドしていったりと、音源以上のダイナミックさでもって演奏されている。

 「CDじゃ物足りないなって思いません? 僕は好きなバンドは生で観たいなって思います」とはユウスケの言葉だが、確かに音源とは全然違う。この4人で鳴らす爆音には、初めてライブハウスに来た時の感覚ーー心臓に風穴を開けられるような、あるいは何が起きたか一瞬分からずフリーズしてしまうような、はたまたぐらぐらと揺さぶられてなぜか涙腺が緩んでしまうような感覚ーーを思い出させられるような、誰かにとっての‟幸福な事件”となり得る力がある。

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