ジュース・ワールドのレガシーを紐解く 多くのリスナーが共鳴する等身大の繊細さ

参照:https://spotifycharts.com/regional/global/weekly/latest

 Spotifyの「トップ50(グローバル)」は、世界的に最もストリーミング再生された曲をランク付けしたチャート。本連載では、同チャートを1週間分集計した数値のデータを元に、グローバルな音楽シーンの潮流をお届けする。第13回となる今回は、12月16日公開(12月9日~12月15日集計)のチャートを見つつ、12月10日に2枚目の遺作アルバム『Fighting Demons』をリリースしたJuice WRLD(ジュース・ワールド)のレガシーをおさらいしたい。

ゲイル「abcdefu」、デビューシングルで1位獲得の快挙

 先週の当連載で紹介した17歳のシンガーソングライター、ゲイルの「abcdefu」が1位を獲得。アデル「Easy On Me」とザ・キッド・ラロイ「STAY」を抑え、デビューシングルで1位を獲得するという快挙を成し遂げた。3位にはマライア・キャリーの「All I Want for Christmas Is You」がランクインし、クリスマス週のチャートで1位となるかに注目が集まる。クリスマスソングがトップ20に7曲チャートインするなか、Imagine DragonsとJ.I.Dによる、ゲーム『League Of Legends』のアニメ『Arcane』のメインテーマ曲「Enemy」が8位にランクアップ。

Imagine Dragons & JID - Enemy (Arcane:リーグ・オブ・レジェンド シリーズより) | オフィシャルミュージックビデオ

故ジュース・ワールド、デビューアルバムは300万枚以上のセールスを記録

 2019年12月8日に、21歳という若さで亡くなったジュース・ワールド。2015年からSoundCloudへの投稿をはじめた彼は、2017年にリリースしたEP『999』収録曲「Lucid Dreams」がきっかけで世の注目を集めた。「Lucid Dreams」は、2018年5月に配信され、The Billboard Hot 100で2位、さらにSpotifyで18億再生を超える大ヒットを記録。「Lucid Dreams」が収録されたデビューアルバム『Goodbye & Good Riddance』は、300万枚以上のセールスを記録しており、アメリカレコード協会によってトリプルプラチナに認定されている。(※1)

Juice WRLD - Lucid Dreams (Directed by Cole Bennett)

 2018年10月には、フューチャーとのコラボミックステープ『Future & Juice WRLD Present… WRLD ON DRUGS』もリリースし、2019年3月にリリースした2ndアルバム『Death Race For Love』がBillboard 200で1位を獲得(※2)。ジュース・ワールドはフリースタイルで、4日間で『Death Race For Love』をレコーディングし、その技術力の高さでヒップホップ業界を驚かせた。

Future, Juice WRLD - WRLD On Drugs (Official Music Video)
Juice WRLD - Hear Me Calling

 2020年7月にリリースされた1枚目の遺作『Legends Never Die』は、リリース初日にSpotifyで7460万回再生され、2020年にリリースされたザ・ウィークエンド、エミネム、バッド・バニーのアルバムの初日再生数を超える記録となった。The Beatlesとドレイクに続き、Billboard Hot 100のトップ10内に、5曲が初登場同時ランクインした史上3人目のアーティストとなった(※3)。ジュース・ワールドは、2020年にアメリカ国内で最もSpotifyで再生されたアーティストになり、彼が亡くなった後も、ファンが彼の音楽を再生し続けている。

『Legends Never Die』

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