SixTONES『CITY』、挑戦の証のような渾身のアルバムに 音楽ファンも唸るトラックとボーカルワークの融合

SixTONES『CITY』、渾身のアルバムに

 SixTONESが1月5日に2ndアルバム『CITY』をリリースする。

 今作は4thシングル曲「僕が僕じゃないみたいだ」を始め、King Gnuの常田大希が楽曲提供した5thシングル曲「マスカラ」や、映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の日本語吹替版主題歌「Rosy」といった話題の楽曲を収録。また通常盤のほかに初回盤Aと初回盤Bが用意されており、それぞれ収録曲と曲順が異なっている。例えば、初回盤Aは「Interlude -Sunrise-」からスタートし、終盤で「Interlude -Midnight-」へと向かうため、一日の始まりから終わりまでを辿っていくような流れを見せる。対して通常盤や初回盤Bは、16曲目までの収録曲自体は同じだが、曲順のスタート位置がそれぞれ違う仕様になっている。

SixTONES – Rosy [YouTube ver.]

 例として通常盤を見ていこう。まずは「Interlude -Night-」から幕開けする。ジャジーな雰囲気の漂うしっとりとしたこのインタールードを経て「マスカラ」へ。そこから「Rosy」、「フィギュア」と“夜パート”を勢いよく畳み掛けていく。そして次の“深夜パート”では「Odds」や「WHIP THAT」といったダンサブルなナンバーが揃う。一晩中踊り明かした後は「Everlasting」にてチルアウト。そのまま夜明けを迎えると「8am」にて新たな一日の始まりだ。続く「僕が僕じゃないみたいだ」、「Ordinary Hero」、「Your Best Day」の一連の流れは、どことなく日の光が差し込んでいるような明るいイメージがある。再度夜へと向けて疾走する「Fast Lane」からパーティーポップ「Good Times」へ。その後、通常盤のみの楽曲「Cassette Tape」、「Dawn」、「Strawberry Breakfast -CITY ver.-」でまとめている。

 こうした楽曲構成は、ストリーミングサービスやYouTubeの登場によって、“アルバム聴き”の文化がなくなりつつある昨今、その楽しみ方を改めて提示していると言えるだろう。あるいは、曲順にこだわるという点ではある意味で“プレイリスト的”な作りだとも言える。と同時に、SixTONESの楽曲のクオリティの高さを感じ取れるものになっている。いわゆる音楽アルバムと言えば、リードトラックを序盤に持ってきて、ヒットシングルを経由しつつ、アルバム曲を織り交ぜながらラストで綺麗に締める、といったものがよくある流れ。しかしこの『CITY』の各形態から感じるのは、彼らの楽曲がどれからでも聴かせられるという、ある種の絶対的な自信だ。実質的に初回盤Aの幕開けを飾る「僕が僕じゃないみたいだ」は、疾走感あふれるサウンドの中でメロディアスに展開される抜けの良いボーカルワークが気持ちいい一曲。“夜パート”から始まる通常盤の「マスカラ」は常田節の効いたもはや説明不要の名曲だ。“夕暮れ”がスタート地点となる初回盤Bの「Fast Lane」は、ソリッドなサウンドで駆け抜ける心沸き立つスピーディな一曲。こうした楽曲により、再生してすぐにアルバムの世界に飛び込める。それでいて、曲の流れは同じでも、始まる位置が変わるだけで印象が随分と変化するようになっているのだ。

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