ツミキ＆みきまりあによるNOMELON NOLEMON初インタビュー　結成のきっかけやルーツ、アルバム『POP』について語る

良い意味で音楽がありふれたものになってきている

ーー1曲目の「cocoon」で〈君のための雑音〉、「INAZMA」には〈ロックンロールの正体〉という言葉があったり、シュガーコートされているけれど、受け取り手の中で爆発する、何かひっかかるというのも含めてポップスとして広まっていくイメージを持っているのかなと感じます。

ツミキ：やっぱり第一印象としてはポップなものを作っていたい。そういうところでじわじわと効いてくる歪さって、そんなに意識してやっているわけではないけど、自然と滲み出ていくものだと思います。先ほども話したように、刺激的なものであってほしいという感覚です。

ーーアルバムの中では「rem swimming」を2人で歌っていますが、これはどういう意図、アイデアからでしょうか。

ツミキ：この曲はアルバムを作るとなったときに、こういうバリエーションがあっても面白いんじゃないかという提案の一つだったんです。まりあからも、「1曲歌いなよ」と言ってもらえて。とにかくなんでもありにしたかったので、その一つとして、自分が歌うことにもトライしてみたかったんですよね。

みき：そもそも私はツミキさんの歌の声がすごく好きなので、「歌えばいいのに」ってずっと思っていました。レコーディングは、だいたいツミキさんと私とスタッフさんがいて、その場でボーカルディレクションをしながらやるんですけど、それが「rem swimming」のときは立場が逆転して。私が「もうちょっとこうでお願いします」とか言って（笑）。すごく新鮮でした。

ツミキ：めちゃめちゃ楽しそうだった（笑）。

ーーツミキさんがボカロ曲「フォニイ」を発表したのは、アルバムの制作時期と少し重なるぐらいかと思うのですが、ノーメロをやるというマインドが固まっている時に、「フォニイ」が大きく広がっていった感触と手応えはいかがでした？

ツミキ：「フォニイ」に関しては、『SAKKAC CRAFT』を制作した後にもっと普遍的なものを書きたいと思って、その第一弾として投稿しました。ちゃんと評価されているのを見ると、自分のフィロソフィーが間違っていなかったんだなと思えて嬉しかったです。

ーー一つの曲を色々な歌い手が歌う「フォニイ」の現象と、一人の歌い手と組んだことで化学反応として広まっていくノーメロの活動が同時で走っていたというのは、外側から見ると興味深いなと思うんですけど、ご本人としてはどんな思いですか。

ツミキ：色々な人に聴いてもらえることはもちろんありがたいと思ってるんですけど、二次創作物に関しては自分は干渉していないことで、その人の作品としてやってもらう感覚に近いので、正直あまり意識はしていないです。だけど広く浸透してくれて、歌いたいと思ってくれていることは嬉しいです。ノーメロでの活動も、リリースされた先で生まれたものはあくまでお客さんのものであるべきという感覚はあります。

ーーアルバムは2022年にリリースされる作品で、ユニット自体も2021年にスタート。もちろんコロナの影響もありますが、2018年、2019年の頃から比べると、社会の価値観も変わっているし、当然J-POPも変わっていると思うんです。90年代、00年代、10年代と色々なJ-POPのトレンドがありましたが、音楽シーン全体で今起こっているのはどういうムードの変化だと思いますか。

ツミキ：2020年代も含めてかもしれないですけど、2010年代後半から全体的に暗くなった印象があって。特にステイホーム期間があって、なかなか人に会えなかったり、1人の時間が増えたというのもあるでしょうし、そういうときこそ音楽の効能って強いんだろうなと思ったんですよ。あとはシーンを見ていると、音楽とリスナーの距離がすごく近くなっている気がする。それはさっきも言った安心感とか、共感みたいなものにも通じると思うんですけど。でも距離感が近いことに僕はすごく喜びがあって、音楽が聴こうと思って聴くものではなくなってきているというか、良い意味でありふれたものになってきているので、だからこそそのカウンター的に僕らのような音楽もあるという提示の仕方が見えてきました。

みき：音楽やファッション、メイクって繰り返されていくものだと思っていて。例えばファッションでも昔に流行っていたものが再流行する風潮があるなと最近すごく感じるんですね。現に昔流行っていたファッションがいいなと思ったりとか、昔の音楽が逆に新しいなと思うことが多いので。例えばジュディマリみたいなバンドが今出てきたら、私は多分新しいなと思うんですよ。ノーメロもそういう意味で、新しいって思ってもらえるアーティストになれるんじゃないかなと。あとはコロナの時期が重なったりして、ここ2、3年でSNSの重要性をすごく感じました。さっきもツミキさんが言っていましたけど、音楽がSNSを通じて、もっと身近な存在になっていると思うので、私たちも近い存在でありたいなと思います。

ーー「INAZMA」は『YOASOBIのオールナイトニッポンX(クロス)』（ニッポン放送）で初解禁されましたよね。お2人もそれぞれ友達のような関係性でもあり、近いところで見てきたAyaseさん、幾田りらさんが活躍しているのを見て、刺激を受けたりしますか？

ツミキ：僕の場合は、YOASOBIがここまで浸透する以前からの友達だったので、音楽的な影響でいうと、そんなに変わってはいなくて。もともとAyaseのファンだし、今もよく遊ぶんですけど、友達として関わっているという、それ以上でもそれ以下でもない感じで。でも以前、僕が音楽で悩んでいたときに、相談に乗ってもらったことがあったんです。伝わると思っていたものが伝わらなかったり、作りたいと思ったものが作れなかったりする時期に、「もっと生活に溶け込むような音楽を聴きたい」とAyaseに言ってもらって。「たしかにな」と思ったポイントがあって、そこを意識しながら制作しているところもあるので尊敬しています。彼はやっぱり生活に溶け込むものを書いていると思いますし。

みき：私もりらちゃんとはぷらそにかからずっと一緒に音楽をやってきて、YOASOBIに入る前からりらちゃんの歌声が大好きだったし、りらちゃんの曲のファンだったので、YOASOBIがここまで大きくなったからといって見方が変わったわけではないです。私がぷらそにかに入ったきっかけも、りらちゃんとソロライブでの対バン友達だったので、りらちゃんが私のことを推薦してくれていたというのもあって、お世話になっていることも多いので感謝しています。本当にずっと尊敬している1人として応援していますし、年齢も一つしか変わらないのに、多分想像しているよりも色々なことを抱えながら頑張っているんだろうなと。

ーー今はコロナもあってあまり開催できていないですけど、フェスだとバックヤードでミュージシャン同士が仲間になったりするじゃないですか。YOASOBIとノーメロはそういう、ライバルでもあるけれども、仲間でもあるという関係なのかなと。

ツミキ：そうですね。ユニットの形態としては似ているんですけど、音楽的にはそれぞれの方向性があると思うので、同じフィールドで何か一緒にできたら楽しいだろうなと思います。僕の周りには音楽シーンで活躍されている方がいますけど、やっぱりそういう方たちが身近にいて近況を話せるのって、すごく恵まれた環境にはあるなと思います。そういう存在はもっと増やしていきたいし、色々な人とそういう関係性を築いていきたいですね。

■リリース情報
NOMELON NOLEMON
1stアルバム『POP』（読み：ポップ）
2022年1月26日（水）発売
CD：¥3,000（税込）
https://onl.tw/3iRvMbe
各種ストリーミング／ダウンロードサービスにて配信

＜収録曲＞
1.cocoon
2.INAZMA（2021年8月13日配信）
3.rem swimming
4.イエロウ（2021年11月12日配信）
5.umbrella ・
6.ゴーストキッス
7.syrup
8.mutant
9.night draw

NOMELON NOLEMON　2nd sg「イエロウ」
https://orcd.co/nmnl_yellow
配信中
「イエロウ」Official Music Video
URL：https://youtu.be/RwbC9oGAwY4

NOMELON NOLEMON 1st sg「INAZMA」
https://orcd.co/inazma
「INAZMA」Official Music Video
URL： https://www.youtube.com/watch?v=Lzrd6tehdmw

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