「Tokyo Spiral」インタビュー
PSYCHIC FEVER、8人の音楽を東京から世界へ 一人ひとりのパフォーマンスの心得も明かす
ダンス・ボーカル・ラップ・ビートボックスなど多様な個性を持つ、8人組国際派グループ PSYCHIC FEVERが、12月11日、プレデビューシングル第3弾「Tokyo Spiral」をリリースした。デビュー前にも関わらず、今年も『武者修行 on TikTok』と題したオンラインライブを行うなど、すでにLDHファンにとってはお馴染みとなっている彼ら。それでも、ファンになるタイミングに遅いも早いもない。特にメンバーの等身大の想いを込めた同曲は、今PSYCHIC FEVERと出会ったリスナーをしっかりと迎え入れるだろう。楽曲の制作エピソードはもちろん、各自の魅力や溢れ出す音楽愛についても賑やかに語ってもらった。(斉藤碧)
「PSYCHIC FEVERを世界に紹介する気持ちで歌った」
ーープレデビューシングル第1弾「Hotline」、第2弾「Best For You」に続いて、第3弾となる「Tokyo Spiral」が12月11日に配信開始となります。デモを聴いた時の印象はいかがでしたか?
髙橋剣(以下、髙橋):僕達の先輩である三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEさんにも「Welcome to TOKYO」という曲があるように、自分達が拠点とする“東京”がタイトルにつく曲は特別な存在になる印象があったので、こういう曲をいただいて気が引き締まりましたね。「今から行くぞ!」「東京から僕らの音楽を世界へ発信していくぞ!」という意気込みも込められていて、僕達らしい等身大のメッセージソングだなと感じました。
半田龍臣(以下、半田):僕は「Hotline」と「Best For You」がゆったりとしたラブソングだったので、3作目はもっとチルい楽曲が来ると思っていたんです。だから歌詞もそうですし、僕やJIMMYくんのラップをフィーチャーした攻めた楽曲になっていることも、良い意味で予想を裏切られました。でも、前の2作でPSYCHIC FEVER=チルソングのイメージがついたからこそ、「Tokyo Spiral」のパンチ力が上がったと思いますし、新たなPSYCHIC FEVERを楽しんでいただけたら嬉しいです。
JIMMY:トラックに関しては、USのサウンドっぽさもありつつ、随所に入っているホイッスルの音が日本の伝統舞踊っぽさを醸し出しているのが特徴ですね。タイトルも「Tokyo Spiral 」ですし、東京をレペゼンして世界に飛び出していく、僕らの出発の曲と言いますか。旗を掲げるための1曲になればいいなと思っています。
ーー東京をレペゼンしながらも、実は東京出身のメンバーが1人もいないというのが興味深いですよね。
一同:あはははは!
渡邉廉(以下、渡邉):実はそうなんですよね(笑)。関東で育った僕と龍臣も、神奈川出身ですし。
WEESA:僕はハーフですが、名古屋出身で。
SAM:僕はアメリカ人ですので。
髙橋:僕も以前はずっと関西で活動していたので、わりとみんな、「東京生まれ2年目!」みたいな感じですね(笑)。
ーー各地で暮らしていた皆さんが、東京に夢を持ち寄ってPSYCHIC FEVERとして活動している姿が、まさに“東京”という街を象徴しているなと思います。例えば、沖縄出身の志さんとシアトル出身のSAMさんは、上京してきた当初にどんなことを感じましたか?
小波津志(以下、小波津):渋谷や原宿に初めて行った時は、東京には本当にいろんな人がいるなと思いましたね。あとは沖縄では感じられないビルの高さで、さすが首都だな、と! この街で有名になって、いずれは地元・沖縄でお世話になった方々に恩返しができたらいいなと思いました。
SAM:僕は2年前に東京に来て、今も日本語やLDHのことを学びながら過ごしていますが、初めて日本に来た時は、アメリカンHIP HOPのカルチャーが東京にすごく浸透していたことに驚きました。音楽もそうですし、ファッションがここまでHIP HOPの影響を受けているとは知らなかったので新鮮でした。
ーーそう考えると、メンバー同士でもカルチャーショックを受ける場面がありそうですね。
中西椋雅(以下、中西):それこそ、来日したばかりの頃のSAMくんは日本語が全く話せなくて。しかも、僕と剣くんは関西弁なので、余計に会話が通じなくて苦戦しましたね。一緒に食事をするにしても、SAMくんは日本に来るまでは日本料理を食べたことがなかったから、「どうする? 何なら食べられる?」みたいな(笑)。
SAM:そうだったね。アメリカにも寿司はありますが、日本の寿司とはニュアンスが違うから、日本で初めて本物の寿司を食べた時はビックリしました。
中西:納豆を食べた時も、違う意味ですっごい顔してたよね?
SAM:納豆はダメでした……(ものすごく険しい表情のSAM)。
WEESA:トラウマになってるみたいです(笑)。
中西:あと、これはカルチャーショックではありませんが、最年少のWEESAと僕は5歳差なので、子どもの頃に観ていたアニメやドラマが違ったりして、ジェネレーションギャップを感じますね。そんな個性豊かなメンバーが揃っているのが、僕らの強みであり、面白いところだなと思います。
ーー「Tokyo Spiral」歌い出しの龍臣さん、今作では全てのフックを龍臣さんが歌っていますが、レコーディングしてみていかがですか?
半田:今まではメロ(バース)を歌うことが多かったので、まさか自分がこんなに歌うことになるとは思わなかったですし、サビ(フック)がラップというのも初めての試みだったので、プレッシャーがありました。でも、任せてもらったからには頑張ろうと思って。ラップの先生にも「歌詞は攻めてるけど、歌い方はクールに」とアドバイスをいただいたので、一見落ち着いて聴こえるけど、闘志は燃えているイメージで歌っていきました。
ーー最初と最後に龍臣さんのラップが入っていることで、延々とループしたくなりました。この曲、中毒性が強いですよね。
半田:ありがとうございます。今回はフックを歌っているのが自分だけということで、そこが一番耳に残るようにしなきゃいけないなと思って、気合いを入れてレコーディングに臨みました。
JIMMY:僕のパートには〈生き方・精神なら 武士〉という僕らのスタイルを伝える重要なフレーズもありますし、歌う順番としても、龍臣のフックに続く1バース目の最初なので、こういう歌なんだよっていうのをちゃんと伝えたいと思っていましたね。でもその反面、〈中目 渋谷 歩く Like I’m a movie star〉のように遊び心の効いたリリックがあったり、トラックも変化のあるビートなので、低い声とはいえ単調に聴こえないように抑揚をつけながら、飽きさせないラップを意識しました。
中西:今回は初めてLDH以外の外部のスタジオで録ったのですが、スタジオの雰囲気もHIP HOP要素が強くて、青や紫の照明に照らされながら録ったので、自然と意気込みがラップに乗りました。僕のバースには〈溺れる暇ねぇ 浴びてく日の目〉というリリックがあるんですけど、今は国内外にたくさんの音楽グループがあって、油断すると埋もれちゃうと思うんです。だからこそ、油断せず常に輝き続けたいっていう想いを込めて、PSYCHIC FEVERを世界に紹介するような気持ちで歌いました。
髙橋:僕のバースは、〈made in Japan〉というパンチラインが入っているところがお気に入りです。海外の人にとっての〈made in Japan〉って、信頼や精巧さ、最高品質といったものを期待する対象だと思うんですよ。だから、歌い方は楽曲に合ったサラッとしたフロウになっているんですけど、一瞬ピッと“Japan”の看板を見せる感じで、魂を込めながら大切に歌っています。
撮影秘話たっぷりのリリックビデオはシュールな世界観に!?
ーーそして、バース2はWEESAさんから始まります。
WEESA:僕のパートには、LDHのポリシーである〈Love Dream Happiness〉が入っていたり、〈先生〉は海外でも浸透している言葉だったりして、いろいろな情報が詰め込まれているなと思います。ただ、全体的にはビッグマウスな印象があるので、レコーディングはその雰囲気が出るように歌いました。
ーー各パートのリリックはそのメンバーに合った言葉がチョイスされているそうですが、WEESAさんはビッグマウスということでよろしいですか(笑)?
WEESA:そういうことになりますね(笑)。でも、最年少だから生意気でも可愛いって思われるのはちょっと違うのかなと思うので。年齢に関わらず、これだけのクオリティを届けられるんだぞっていうのを見せたいからこそ、この曲にも見くびられたくない! と強気な気持ちを込めました。
小波津:僕は〈東京タワー〉や〈Fujiyama〉など、海外の方でも知っている“日本を象徴するもの”を歌っています。特に〈センスが光る Like 東京タワー〉は、日本らしい繊細な部分が表現されたフレーズだと思うので、全体的には勢いのあるアクセントをつけた歌い方ではありますが、少し繊細さを加えながら歌いました。
ーー「Hotline」の時はボーカルレコーディングをした後に再度録り直したと伺いましたが、今回は?
小波津:今回も録り直しました。1回目の時はガツガツ歌っていたんですが、改めて歌詞を読み込んで、もっと繊細に歌ったほうがいいなと思って。本番のレコーディングの時は、目を閉じながら歌いましたね。でも、リリックビデオをご覧いただければわかるように、実際に表現する時は……こう!(唐突に全力で両手を広げる)
ーーGLAYのTERUさんみたい(笑)。
小波津:あははは。まさにそういう感じで、東京を歌った曲ではありますが、広大なイメージでパフォーマンスしています。
ーーSAMさんと廉さんはいかがですか?
SAM:みんなは結構ダークな感じで歌っているんですけど、僕のパートは力強いハイトーンで歌っているので、急に雰囲気が変わりますね。ここのリリックは全部英語で、「このグループは強すぎる。夢に向けて止まらずに進んでいく」といったことを歌っています。「とても強い」と「頑張りたい」を意味するフレーズだから、歌っているとテンションが上がります。
渡邉:僕はバース2の最後を担当しているんですが、〈超Lit 俺ら調子良い やっぱ調子良い〉というリリックの通り、東京をイメージして歌うというよりは、東京にいるお調子者をイメージして歌いました(笑)。今後ライブで披露する時は、最後のフックを歌う龍臣にバトンを渡すように、盛り上げていけたらいいなと思っています。
ーーリリックビデオの見どころや、撮影時に印象に残っていることも教えてください。
渡邉:今回のリリックビデオは、日本を代表するようなロケーションで撮影したので、海外の方にも「This is JAPAN」と思ってもらえる、わかりやすい映像になったと思います。例えば、僕のソロパートでは寿司屋のカウンターをバックにしていて。剣くんがいかつい顔でラップをしている横で、僕とJIMMYが黙々と寿司を食べていたり、結構シュールなリリックビデオになりました。
半田:僕はフィギュアとかが大好きで、ずっと行きたいおもちゃ屋さんがあったんですけど、今回撮影で行かせてもらえたので、すごくテンションが上がりました(笑)。あと、EXPG STUDIOの屋上でも撮影したんですが、自分がEXPG生だった頃にも同じ場所でダンス動画を撮影したことがあったので、今回PSYCHIC FEVERとして作品に残すことができて嬉しかったです。
ーー屋上のシーンは、JIMMYさんも良い表情をしていましたね。
JIMMY以外の7人:フゥ~~!
JIMMY:屋上のシーンを撮影している時、傍に志が待機していたので、同じ場所で撮るからには、先にかましたらなアカンなぁ! と思って(笑)。より一層カッコつけて撮影に臨みました。
半田:今回のリリックビデオではダンスを封印して、歌や表情だけで構成しているので、それも大きな挑戦になりましたね。
髙橋:実は今、ボーカルをフィーチャーした次回作も制作中なんですけど、そのリリックビデオは「Tokyo Spiral」の続編のような映像になっているので、こちらも合わせて楽しんでいただけたらと思います。