『BEST BROTHERS / THIS IS JSB』インタビュー
三代目 J SOUL BROTHERS 登坂広臣&ELLY、自然体でいることへの自信 10年間で積み重ねてきたファンと7人の信頼関係
昨年デビュー10周年を迎え、1年遅れのアニバーサリーイヤーを駆け抜けている三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE。そんな彼らが、デビュー記念日である11月10日にベストアルバム&ニューアルバム『BEST BROTHERS / THIS IS JSB』をリリースした。ファン投票によって選曲されたベストアルバム『BEST BROTHERS』には、シングルベスト、アルバムベスト、MVベスト、ライブベストをそれぞれ収録。オリジナルアルバム『THIS IS JSB』には、アニバーサリーイヤーを通して発表した楽曲と、新曲「Honey」が収録されている。10周年を迎えてもなお、「メンバーと音楽を作るのが楽しい」という登坂広臣とELLYに、三代目 J SOUL BROTHERS愛を語り尽くしてもらった。(斉藤碧)
【オリジナル動画】三代目JSB 登坂広臣&ELLY、自分らしい瞬間
「“人類みなBROTHERS”と言える世界規模の活動をしたい」(ELLY)
ーーまずはデビュー10周年、おめでとうございます!
登坂広臣&ELLY:ありがとうございます!
ーー2021年は1年遅れのアニバーサリーイヤーとなりましたが、今年の活動を振り返ってみていかがですか。
登坂広臣(以下、登坂):12月にも追加公演が控えていますが、今年は有観客でのアニバーサリーライブ『三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2021 “THIS IS JSB”』を行うことができましたし、ファンの皆さんからの投票でベストアルバムの楽曲を決めるという、今まで僕らがやってこなかった新しい挑戦もできて、すごく充実した1年になりましたね。コロナ禍で迎えた10周年ではありましたけど、こんな時期だからこそ、ファンの皆さんとより深い関係を築き上げることができたんじゃないかなと思っています。
ーーしかも三代目JSBのデビュー日であり、ベストアルバム&ニューアルバム『BEST BROTHERS / THIS IS JSB』のリリース日でもある11月10日は“いい友の日”だそうで。
ELLY:いい友の日、今の僕らにピッタリですよね! 良い日にデビューしたなぁ。
ーー公式サイトに載っている「人類みなBROTHERS」というパワーワードも気になりました。
登坂:「人類みなBROTHERS」、インパクトがすごいですよね。この言葉はスタッフさんが提案してくれたんですけど、メンバーもみんな最初はビックリしていました(笑)。
ELLY:でも言われてみれば、たしかにそうだなって思いましたね。そもそもファンとの関係性って、言葉にするのが難しいんですよ。正確に言えば友達とも違うし、それ以上の特別な存在だと感じているので。とはいえ、この地球に生きている人はみんな、きっと分かり合える可能性を持ってると思うから。大げさに聞こえるかもしれないですけど、「人類みなBROTHERS」と言えるくらいの距離感で、世界規模の活動をしていけたらと思っています。
ーー昨年からYouTubeや「CL(LDHの動画配信コンテンツ)」などで配信していたメンバー会議も、皆さん自然体でファンの方との距離の近さを表していましたよね。登坂さんは、ファンの方の投票で完成した『BEST BROTHERS』(シングルベスト)の収録曲を見て、「『LOVE SONG』、13位じゃなくて3位なの?」と言っていましたが(笑)。
ELLY:あはははは!
登坂:「LOVE SONG」は意外でしたね。ただ、シングルベストにしろアルバムベストにしろ、選ばれる理由がちゃんとわかる曲が揃っているなとは思いました。例えばシングルベストで「starting over」が1位になったことも、メンバーは誰も予想していなかったですけど、初のドームツアーのテーマソングですし、その歌詞がコロナ禍ではまた違った意味合いで響いたり、新たにファンの皆さんの歌声を収録した「starting over ~one world~」(アルバム『THIS IS JSB』にも収録)を配信させていただいたり……という流れがあっての1位なんだろうな、とか。アルバムベストで2位の「PRIDE」は、(今市)隆二が作詞してるからだろうな、とか。“シンプルに曲が好き”という理由だけでなく、ちゃんと僕らの活動を見て選んでくれたんだろうなっていうのがわかって嬉しかったです。
ELLY:僕はアルバムベストで1位になった「RAINBOW」が印象的だったんですが、この曲も僕や臣(登坂)が作詞に参加していたり、自分達のことを歌いながらもファンのみんなとの関係性も表現できている曲だから、選んでくれたのかなと思いました。今回みんなに選んでもらったことで、改めて大切な1曲だと感じています。
ーーデビュー曲「Best Friend's Girl」がR&B調のバラード、代表曲「R.Y.U.S.E.I.」がメンバー全員で踊るダンスミュージックと、この2曲だけを見ても方向性がかなり異なりますが、三代目JSBの音楽性の変化についてはどう感じていますか。
ELLY:バラードから始まり、世間的には2014年の「R.Y.U.S.E.I.」あたりから“三代目JSB=ダンスミュージック”のイメージがついたと思うんですけど、実際はそれ以前からライブを意識した曲を作っていて。ファンのみんなには早い段階からいろんな一面を見せてきたんじゃないかなと思っています。その一方で、ボーカルも一緒に踊る姿を全面に打ち出したり、僕らがやっていることをお客さんにも一緒にやってもらうというのは「R.Y.U.S.E.I.」が初めてだったので、この曲を機に“僕らのパフォーマンスを見せる”から、“みんなに参加してもらう”に変わったのは大きな変化でしたね。コロナ禍ではリモートでの参加型ライブが主流になっているので、なおさらそう思います。
ーー先ほど名前が挙がった「RAINBOW」など、2016年以降の三代目JSBの楽曲にはELLYさんのラップが入っているものが多数あります。ELLYさんのヒップホップ志向やラップがグループにもたらした影響もかなり大きいのではないでしょうか?
登坂:大きいと思います。新しい三代目JSBを見せられたので。
ELLY:後輩グループを見ると、今の時代ラップは当たり前にできるものになっているなと思うんですけどね。ヒップホップムーブメントが起きている中で、僕らは僕らで新しいものを取り入れながらやれていて素直に楽しいです。でも、三代目JSBの音楽性に関しては、やっぱりボーカルの存在が大きいんじゃないかな。臣も今市くんも歌のバリエーションが豊富だから、その振り幅がベストアルバムの楽曲の振り幅にも繋がっているなと思います。
「自分達がいるだけで成立するという自信がついた」(登坂)
ーーおふたりはソロアーティストとしても精力的に活動されていますが、ソロとグループでも、歌や活動への向き合い方は違うんでしょうか。
登坂:そうですね。岩ちゃん(岩田剛典)も最近ソロデビューしましたけど、歌をメインにしている3人(登坂、今市、ELLY)に関しては、ソロでは自分がやりたい音楽に真摯に向き合っていて。自分がやりたい曲を作るとか、その時やりたいプロデューサーと一緒にやるとか、0から自分の色で染めていく感覚でやっていると思います。それに対して三代目JSBは、自分の色よりもグループの色が優先。ジャンルの振り幅が広いので、歌を入れる以前に、曲作りの段階からソロと三代目JSBでは向かう先が全然違っていて。いろんな楽曲の色に染まっていけるのが、グループの面白さだと思っています。だから隆二もELLYも、ソロとグループでは歌が全然違って聴こえるんですよ。個性がより際立っているというか。逆に三代目JSBの曲でも「ソロだったらこのラップは入れないだろうな」ということがよくあります。
ELLY:三代目JSBで歌う時は僕主導ではなく、楽曲主導。基本的にはデモが上がってきて、トップラインがあるところに「ELLYのラップを入れてほしい」と依頼をもらうのですが、なるべくデモの色に近づけるように作っています。でも、ソロをやったからこそ視野が広がって、三代目JSBでもいろいろなアイディアを提案できるようになったので、全く関係ないわけでもなくて。グループもソロも、良い影響を与え合っているなと思います。
ーーELLYさんは『THIS IS JSB』収録の「TONIGHT」では作詞作曲にも参加していますよね。どんなことを考えて作っているのでしょうか。
ELLY:ソロの時も自分を俯瞰で見ながら制作しているんですけど、三代目JSBで作詞作曲する時も、グループを俯瞰で見てますね。それは振り付けやライブ演出を考える時も同じで、「こう踊ったらいい感じに見えるかな?」とか「最初にボーカルが前に歩いてから始まったら、曲の始まりがカッコよく見えるかな?」とか、そんなことを考えながら作っています。
ーーでもベストアルバムの選曲のように、実際にライブをやってみたら、メンバーが予想していなかった展開になる場合もあるのでは?
登坂:ライブをやってみて発見したことといえば、ファンの皆さんが意外とR&Bの楽曲が好きだっていうことですね。アルバムベストに収録されている「SOUTHSIDE」のように、シングルになっていなくても人気曲として上がってきますし、ライブベストに収録されている「君となら」も、みんなは聴きすぎてあまりR&Bだと感じていないかもしれないけど(笑)、曲だけ聴くとR&Bだし。ライブでの人気とは違いますが、「Back In Love Again」は一度もライブでやっていないのにアルバムベストで上位に入っているし。ライブで既存曲をR&Bリミックスで披露した時もかなり反応がいいので、こういう曲が求められているんだなって思いました。
ELLY:R&Bの曲をライブでやると、俺たちもなんかしっくりくるよね。なんでなんだろう……理由はわからないんですけど(笑)、R&Bのパフォーマンスって割とシンプルなんですよ。佇んでいるだけでも自然と魅力が滲み出ちゃう! みたいな感じがあるなぁって、自分で映像を観ていて思いました。
ーーこれまでの活動で得た自信や余裕が、オーラとして滲み出るわけですか。
登坂:そうだと思います。昔は何をするにしても「僕らを見てほしい」「認めてほしい」っていう気持ちが全面に出ていたし、余裕がなかったんですよね。だから、時には鎧みたいな衣装を着たりして、三代目JSBのスタイルを確立しようと模索してきました。でも、今は自分達がいるだけで、パフォーマンスだけで成立するという自信がついたから、白Tシャツ1枚でも大丈夫。外側を飾るよりも、7人それぞれが積み重ねてきたものが内側から醸し出されるほうが、魅力的だなと思っています。それはパフォーマンス以外にも言えることで、たとえ自分が発信したことが、自分の思惑とは違う形でファンの人に届いたとしても、「そういうキャッチの仕方もアリだよな」って思えるようになりました。