THE PINBALLS、最後の瞬間まで灯し続けたロックバンドの炎 希望の余韻残したラストライブを観て

THE PINBALLS、ラストライブレポ

 また、曲数を重ねるごとに湧いてくる気持ちがあったのか、古川は少しずつ想いを言葉にしていく。9曲目「SLOW TRAIN」のあとには「(観客に対して)声出せないんでしたっけ。でもとっても気持ちよくて。ライブ自体が久しぶりですから。みんなの、人がいる感じがすごく温かいです」と今の心境を語りつつ、昔のライブでは“やってやるぞ!”という気持ちが先行していたが今は歌うことが気持ちいいのだとし、「こんなに幸せな場所をくれたのは(メンバーの)3人とみなさんだと思いますので、本当に感謝しています」と伝えた。15曲目「way of 春風」演奏後に語られたのは「15周年のライブでもあるので活動休止じゃなければもっと喜んでもらえたと思うけど……でも、伝えたいのは、楽しいんですよね。みんなのこと好きだし」という素直な想い。さらに、「この3人は15年間ずっと頑張ってきました。だから、諦めたからバンドをやめるわけではないです。未来に進むためにみんなで出した答えだということは伝えておきます」と続けた。そんななか、「(涙声になりながら)めちゃくちゃなボーカルについてきてくれたと思います。この最高のステージで朝まで歌い続けたいって曲を歌います」と語られたのが「蜂の巣のバラード」。そして「バンドが終わって1人で家に帰っても、何も終わりじゃないからね。最初から1人じゃないってことを言いたかったんだよね!」という言葉からの「ひとりぼっちのジョージ」。“ここではないどこか”への憧れを歌ったTHE PINBALLSの楽曲たちが今、メンバー4人、そしてこのバンドを愛したファンが未来へ進むための架け橋に変わっていく。

 「ニューイングランドの王たち」の熱演で本編は終了。そのあとは止まない拍手に応えてアンコール、ダブルアンコールと続いていったのだが、ファンに「重大事件が発覚しました、石ちゃん(石原)が泣いてた」と報告し、「2ndアルバムを録ったときに石ちゃんが泣いてくれたことを思い出したなあ」「そんな一生懸命やってくれて、俺も泣くじゃん、っていう」と続ける古川のどこか嬉しそうな様子が印象に残った。正真正銘のラストは「真夏のシューメイカー」。真っ赤な照明の中で演奏されたこの曲は、炎が噴出する演出があったわけでもないのにステージから何か熱いものが発せられているように感じた。最後の瞬間を迎えてもなお生命の炎を燃やし続けるバンドサウンドは希望に似た余韻を残した。そんな希望に想いを馳せつつ、私たちはこれからを生きていく。THE PINBALLSがこの世界に生み落とした楽曲、そして楽曲に託された“落ち込む時もあっていい。でも、明日はやろうぜ”というメッセージを胸に。

※1 参考:https://thepinballs.org/news/cd1c16ae-dd62-4d27-b294-1d11212dc5b2

当日セットリスト プレイリスト公開中
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■アーカイブ配信
THE PINBALLS 15th Anniversary Oneman
「Go Back to Zero」
2021年11月24日(水) 
Zepp DiverCity
OPEN 18:00 / START 19:00
※即日SOLD OUT
《ライブ配信》
チケットは購入URL:https://w.pia.jp/t/thepinballs-pls/
チケット料金:アーカイブ¥2,500
※12月1日(水)23:59までアーカイブ有り

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