THE PINBALLS 古川貴之×『IWGP』原作者 石田衣良 特別対談 バンドマンと小説家が語り合う、表現の本質論

THE PINBALLS 古川貴之×『IWGP』原作者 石田衣良 特別対談 バンドマンと小説家が語り合う、表現の本質論

 1997年に第1作が発表されて以降、じつに23年にわたって続いてきた人気シリーズ『池袋ウエストゲートパーク』(IWGP)。国民的人気作となったTVドラマをはじめ、舞台やマンガといったメディアミックスを重ねて広がってきた同作の世界が、今度はアニメになった。CS、BS、地上波、そしてネット配信とあらゆるプラットフォームを横断して放映されたこのTVアニメ版『池袋ウエストゲートパーク』にオープニング主題歌として「ニードルノット」を書き下ろしたのが、ロックンロールバンドTHE PINBALLSである。

THE PINBALLS「ニードルノット (Needle Knot)」Official Music Video (TVアニメ「池袋ウエストゲートパーク」オープニング主題歌)

 今回リアルサウンドではフロントマン古川貴之と原作者である石田衣良の対談が実現した。『IWGP』シリーズが生まれた背景や「ニードルノット」に込めた思いにはじまり、お互いの表現の本質論、そして表現者としての先達であると同時に、ロックからクラシックまで幅広いジャンルを網羅する音楽愛好家でもある石田からTHE PINBALLSへの貴重なアドバイスまで。予定時間を超えて展開したふたりの対話、ぜひじっくり読んでほしい。(小川智宏)

石田衣良と古川貴之、それぞれの『池袋ウエストゲートパーク』

THE PINBALLS 古川貴之×石田衣良
THE PINBALLS 古川貴之×石田衣良

ーー石田さんにとって『池袋ウエストゲートパーク』はどういう作品ですか?

石田衣良(以下、石田):できちゃった結婚みたいなものですね(笑)。最初に書けちゃって、それがなぜか続いちゃったっていう。やっぱり子どもも、20年経つと大きくなるなっていうぐらいの感じですかね。

ーー書いているうちに、どんどんキャラクターが動き始めて続くようになったみたいな感じですか?

石田:そうですね。あとは、やっぱり「入れ物」としてすごくよかったんですよ。池袋という舞台も決まっていますし、キャラクターもよくて、そこにいろんな事件を投げ入れていくと小説ができていくっていう。本当に、たまたまできた子が天才だったっていうことですよね(笑)。

ーードラマになり、舞台になり、こうして今回TVアニメにもなったわけですが、アニメ化の話をお聞きになったときはどんなことを感じましたか。

石田:アニメの世界って、ほとんどファンタジーの世界じゃないですか。人を食う鬼の話とか、異世界に転生するとか。そのなかで、今のアニメの技術でああいうリアルな、今の僕たちが生きている世界を描いたらどうなるのかなっていう期待はすごくありましたね。

【IWGP】TVアニメ「池袋ウエストゲートパーク」PV第2弾

ーー制作サイドに何かオーダーしたことは?

石田:特になかったです。とりあえず振り切って作ってほしいということと、あとはともかくみんなかっこよく、と。

古川貴之(以下、古川):楽曲を作るときに、そういうことも聞いてみたんですよ。「石田さんはどうおっしゃってるんですか」って。でも好きなようにやってほしいっておっしゃっていたというのを聞いて、すごくリラックスできました。

石田:アニメも、映画も舞台もそうなんですけど、誰かがコントロールできるようなものではないですから。基本的にはそれぞれの演出家だったり、脚本家のものになるということなので。

THE PINBALLS 古川貴之

ーー古川さんは『池袋ウエストゲートパーク』についてはどういう印象をお持ちでしたか?

古川:最初はドラマのイメージがものすごく強かったんです。でも今回オープニング主題歌をやらせていただくことになって、初めて石田先生の本も読ませていただきました。

石田:ドラマって高校生ぐらいのときですか?

古川:めちゃめちゃリアルタイムでした。16歳の頃だったので。実際カラーギャングもいましたし、ちょっとワルいものに憧れて、みんなで観て騒いでいましたね。

ーードラマのイメージで原作を読むと、タカシ(キング)のキャラクターとかが違っていてびっくりしたんじゃないですか?

古川:でも、原作を読ませていただいて、タカシが物を落としたことがないっていう、手からこぼれ落ちたものを必ず地面に落ちる前にまたキャッチできるっていう描写があるじゃないですか。そこに非常に感激しまして。文字だけでここまで、その人が魅力的だということをこれだけ伝えられるんだって。

ーーTHE PINBALLSもじつは池袋にはゆかりがあるんですよね。

古川:はい。僕ら埼玉県出身のバンドなので、池袋にはちょっと地元感を感じたりしますね。キレイでオシャレなだけじゃない、ちょっと汚さもある街で。だから山手線で池袋に戻るとちょっとほっとするぐらいなんです。

石田:確かに、普通に子供とかおじいちゃんおばあちゃんがいる街なんですよね。そういう、生活者の街みたいな場所がドラマを作る上ではいいんですよ。

ーー池袋でライブもよくやっていたんですよね、昔。

古川:池袋ウエストゲートパークで歌ったこともありますね。

石田:グローバルリング(野外劇場)ができたりして、西口公園の風景もガラッと変わりましたよね。でも、そうは言いつつ微妙にオシャレにならない感じが池袋で。昔のままのところ、いっぱい残ってますから。

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