TOMORROW X TOGETHER、勢い止まらぬ人気拡大の背景 グローバルで成功収める柔軟な活動スタイル
TOMORROW X TOGETHERの日本1st EP『Chaotic Wonderland』が、11月22日付のオリコン週間アルバムランキング(2021.11.08〜2021.11.14)で17万1000枚を売り上げ、1位に輝いた。昨年5月に発売した2ndミニアルバム『The Dream Chapter: ETERNITY』から3rdミニアルバム『minisode1 : Blue Hour』、日本1stアルバム『STILL DREAMING』、韓国2ndアルバム『The Chaos Chapter: FREEZE』に続き、今作を含めて計5つのアルバムが連続でオリコン週間アルバムランキング1位になっている。(※1)
今作の収録曲は4曲。タイトル曲の「0X1=LOVESONG (I Know I Love You) feat. 幾田りら [Japanese Ver.]」は楽曲制作にパン・シヒョクとBTSのRMが参加しており、最近アメリカのポップス界隈で流行の兆しがある、重層的なコーラスワークが効果的に使われたポップロックテイストがエモーショナルな楽曲だ。韓国語のオリジナルバージョンには女性シンガーSeoriとラッパーのph−1、Woodie Gochildによるリミックスバージョンが存在するが、今作の日本語バージョンではYOASOBIのボーカル ikuraとしても活動する幾田りらを迎えた。
幾田自身が「調和と同時に自分ならではのものが表現できるようにという気持ちで挑んだ」とコメントしていたように、独特の透明感のあるイノセンスな歌声でオリジナルとは少し異なる雰囲気を与えている。幾田のボーカルが加わったことで、特に海外ファンの間では新海誠監督のアニメーション映画『君の名は。』を思い浮かべたというツイートが多く見られた。実際、日本版のMVでは空から落下するシーンや流星群など新海誠作品へのオマージュを思わせる場面を見ることができる。『君の名は。』が韓国で公開された当時にパン・シヒョクPDが賞賛のツイートをしていたこともあり、共通する世界観を感じたファンは少なくないようだ。
TOMORROW X TOGETHERはデビューから夢みがちだったり、現実と夢想の境目が曖昧だったりで、一見混沌として情報量の多い若者特有の精神状態を表すような“chaotic”な世界観を表現してきた。「0X1=LOVESONG (I Know I Love You) feat. 幾田りら [Japanese Ver.]」MVでの眼帯・血塗れのシャツ・散らばる羽根といった、刹那的で時に破滅を追い求めるような、日本のアニメや漫画といったサブカルチャーにも通ずるモチーフも、元々の世界観とうまく調和している。
2曲目の「Ito」は先輩であるBTSが主題歌を担当しているテレビ東京のドラマ『らせんの迷宮』のオープニングテーマ。GReeeeNが手がけた彼らにとって3曲目の日本オリジナル曲で、GReeeeNらしいユニゾンとTOMORROW X TOGETHERならではのファンタジックなボーカルの雰囲気が調和している。メンバー本人もレコーディング時に感情が高まったとコメントしていたように、日本オリジナル楽曲ならではのJ-POPらしいエモさを十分に味わうことが出来る。リリース時には歌詞の〈君は僕の半分のイト/重なりあって絆となる〉の半分同士の糸をTOMORROW X TOGETHERとMOA(TOMORROW X TOGETHERファンの総称)の関係になぞらえた、「#MOAはTXTの半分のIto」というハッシュタグがSNSを盛り上げた。
3曲目の「MOA Diary(Dubaddu Wari Wari)」はメンバーが制作に参加した、TOMORROW X TOGETHERのファンダムであるMOAに贈るファンソングの日本語バージョン。ファンソングの歌詞にはメンバーの想いが直接込められているものだが、日本語バージョンをリリースすることで日本のMOAにも想いをもっと直接届けたいという気持ちが伝わるキュートでスウィートなナンバーだ。4曲目の「Magic」は『The Chaos Chapter: FREEZE』収録された英語曲。2019年あたりから人気が継続しているニュートロブームを意識したスペイシーなディスコファンクで、アメリカABCの情報番組『Good Morning America』でパフォーマンスが披露された。