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すいそうぐらし、歪でストレートな恋心が幅広い共感を得る理由 懐かしさと新しさを兼ね備えた令和歌謡に
すいそうぐらしの楽曲は、どれも冒頭にキラーワードが置かれているのが象徴的だ。先に述べた「私だけが好きだった。」の〈「連絡先、消すね」〉はもちろん、「嘘でも好きって。」の歌い出しは〈終電逃したフリをした〉。「それでも好きだよ。」は〈一緒になれなかった人ほど/思い出してしまうよ〉。少しでも長く一緒にいるために小手先のテクニックを使った経験がある人は少なくないだろうし、叶わなかった恋ほど、思い出の中でいつまでも美しく見えるものだ。どちらもインパクトの強く、幅広い共感性を集める言葉が使われている。
都会の狭い部屋で暮らしている様子が、まるで水槽に閉じ込められているように見えることが名前に由来するすいそうぐらし。その言葉は、言いたいことを言えないもどかしさも込められているという。彼らが活動を開始した2020年末の世の中は、コロナ禍による外出自粛のさなかでもあり、まさしく水槽に閉じ込められたように「外に出られず、会いたい人に会えない」という期間でもあった。すいそうぐらしの歌う、歪だけれどストレートな恋心は、制限のかかった息苦しい状況下で、恋しい思いを募らせていた多く人の心に深く刺さったのではないだろうか。
今まさに火がついたばかりのすいそうぐらしは、ここからさらにスターダムを駆け上がっていく予感を秘めている。まさにネクストブレイクの存在である彼らを、今の段階からぜひチェックしておきたい。