KOTORI、4人で向き合って鳴らした音 『PLAY FOR THE FUTURE TOUR』両国国技館公演を観て
4人が向き合う配置をいかした息の合ったセッションをゆったりとした雰囲気で奏でた「雨のあと」ののちのセクションもコンセプチュアルだった。「僕らなりのラブソングを3曲」と言ってまず演奏されたのは「ふたり」。力のこもる演奏で空気を変えると、不器用ながらもストレートな「ラブソング」では力のあるベースが身体に響く。そして続いた「東京より愛を込めて」はツアーの中でも場所や時期によって意味合いを変えてきた曲だろう。3曲のラブソングはライブという非日常の場で日常に寄り添うように、目の前にいるオーディエンスに向けて情熱的に届けられた。
ライブはオーディエンスを巻き込んで佳境に突入。代表曲「トーキョーナイトダイブ」でパワーのあるドラムとボーカルがバンドを牽引するとそのまま「オリオン」へ。ドラムのフィルが短いながらに気持ちをかき立てる。間髪入れずに「春一番」で会場を温かく染め上げる。
〈僕らは手を取り生きていけるよ〉と気持ちがこもる「REVIVAL」ではドラムが走り抜けるような生命感をみせ、展開が二転三転する「I’ll Never Walk Alone」へと続いていく。「RED」の後半で気持ちを高め勢いづくと「EVERGREEN」へとなだれ込み、「素晴らしい世界」で拳を挙げるオーディエンスと一体になって横山が賞賛の歌詞を歌い上げる。この時期にツアーを周れたことへの感謝を述べた横山は、「皆さんの人生とともに僕らの音楽がありますように」と言葉を残すと、「光」を演奏。全国を巡り様々な人に触れたバンドの願いが体現されたような楽曲だ。感動的にエンドを迎えた本編の一方で、アンコールで演奏された「YELLOW」では上坂が膝をついてギターをかき鳴らし、4人で向かいあって音をぶつけ合う。ツアーの記憶を持ち帰ると同時に力強い表現で確実に爪痕を残し、4人は次なる会場に向けてステージを去っていくのだった。