きゃりーぱみゅぱみゅ、10周年で見せる音楽的アップデート 80~90'sサウンドが引き出す新しい魅力

きゃりー、10周年でのアップデート

中田さんはなぜ10代の女の子の気持ちがわかってしまうんだろう

ーー最近のきゃりーさんのライフスタイルの変化などが、うまく表現されていますよね。では、アルバムのお話を伺いたいのですが、まず1曲目は「DE.BA.YA.SHI. 2021」。

きゃりー:ああ、こういう感じできたんだと思って。だいたい、オープニング曲を最後に録ることが多いんですよ。わたしの声を何パターンも重ねて、フェスの登場などで盛り上がる、まさに出囃子ソングですよね。

きゃりーぱみゅぱみゅ - キャンディーレーサー , KYARY PAMYU PAMYU - Candy Racer

ーーツアーやライブへ向かっている感じがしますよね。そして、勢いそのままに2曲目の「キャンディーレーサー」は、2周ぐらいしてかっこいいテクノサウンドとキュートなボイスエフェクトがパワフルなナンバーで。

きゃりー:中田さんはライブを意識して作ったんだと思います。はじめて聴いた時に令和のネオトーキョーのようなイメージがありました。

ーー歌詞も多国籍感あります。

きゃりー:挑戦的な楽曲がきたなと思いました。簡単に歌えるようにみえて、けっこう中田さんが求める細かいニュアンスに応えるのが難しかったです。小さい“ッ”を入れてとか、伸ばしてとか。

【楽曲使用可能!】きゃりーぱみゅぱみゅ - どどんぱ , KYARY PAMYU PAMYU - DODONPA(LYRIC VIDEO)

ーーそして衝撃的な楽曲「どどんぱ」。トライバルなビートで90年代のクラブサウンドにアッパーなリリック、すごい曲がきました。

きゃりー:「どどんぱ」に関しては、いつもはレコーディングの時に歌詞カードをもらって覚えるんですけど、それをついにもらえず(笑)。普段は中田さんがボイスチェンジをして歌っている仮歌があるんですけど、それをリスニングして「たぶん、つくちーって歌ってるよな?」とか、スマホにメモしながらグルーヴで歌いました。

ーー「作詞:きゃりーぱみゅぱみゅ」でもいいぐらいですね(笑)。

きゃりー:そうですね(笑)。海外の方とかは特に好きなんじゃないかと思うので早くライブで披露したいです。

きゃりーぱみゅぱみゅ - かまいたち , KYARY PAMYU PAMYU - KAMAITACHI

ーーそして「かまいたち」は、イントロから切ない泣きのメロディがグッとくるミドルなポップチューン。チャイナ風メロディの味付け、サビで加速するポップセンスが心地いいです。

きゃりー:可愛らしい歌詞なんですけど、言葉の詰まり具合にびっくりしましたね。「原点回避」もそうなんですけど、ここまで物語っぽい歌詞はこれまでなかったし、ピアノやギター、ベースサウンドも組み込まれていてミュージシャンっぽい楽曲だなって思いました。共通しているのは80年代センスですね。TKサウンド感やパラパラとかテクノポップな感じかな。

ーー90年代テクノもやっぱり入ってくるですね。

きゃりー:中田さんが「ジュリアナ東京でかかってた曲とか、いま聴くとかっこいいんだよ」って教えてくれて。ダサいとかっこいいの紙一重なところ、そのバランスが好きだって話をしていましたね。

ーーユーロビートにはかっこいいサウンドの曲もありましたからね。ある種、日本ではYMOカルチャーを生んだ<アルファレコード>から分岐したジャンルですから。続いては、「きみがいいねをくれたら」です。

きゃりー:「きみがいいねくれたら」は、いまの10代、特に悩める恋をしている女の子たちの思いが表現されているというか。デジタル化が進んで、誰もがInstagramやTikTokなどをやっている中で、相手を知りたい気持ちが強くなりすぎると、好きな人がどんな人をフォローしているんだろう? とか気になると思っていて。ドラマのタイアップ曲なので、そのストーリーが反映されているとは思うんですけど、それにしても中田さんはなぜ10代の女の子の気持ちがわかってしまうんだろうと。

ーー時代感があらわれていますよね。MVでの格闘シーンが衝撃だった「ガムガムガール」は改めていかがですか?

きゃりー:海外の方が見ている日本のイメージを感じる曲ですよね。「かまいたち」の次だったので、オリエンタルが続いたように思います。。

ーーきゃりーさんがMVの格闘シーンでボコボコにされて、ぶっ飛んでいたのが印象的で。

きゃりー:(笑)。そこは映画好きなところが大きいかもですね。監督さんとも共通の話題で盛り上がっりました。アクションは大変でしたけど、カメラマンさんなどの技術もすごいので、コツさえ掴めばうまくいくもんなんだなって。

「じゃんぴんなっぷ」は自分の心境に一番近い曲

ーーそれは経験値として重要そうですね。そして「パーフェクトおねいさん」はタイトルが強い! シンガーソングライター風、80年代シティポップ調を感じる軽やかなんだけど、ちょっと切なさも織り交ぜられたナンバーです。

きゃりー:実は、この曲がアルバムで1曲目にレコーディングしたんです。最初のアルバムにも「ピンポンがなんない」という曲が入っていたんですけど、そういう謎な曲を出してくるところが、私的に中田さんの好きなポイントで。中田さん的にも久しぶりののレコーディングだし、肩慣らしみたいな感じだったのかなと。中田さん曰く、“パーフェクトおねいさん”って、みんなに憧れられていてパーフェクトなイメージだけど、本当はお姉さんが一番辛いんだって言ってました(笑)。あと、後半の間奏がびっくりするほど長いんですよ。なので、ライブの演出をどうしよっかなって。もし、コロナが明けていたら客席をパレードして回りたいなと勝手に想像しています(笑)。

ーーライブのイメージが湧いてきます。そして「じゃんぴんなっぷ」もいい曲で。懐かしさのあるキャンディポップなシンセサウンドが逆に新鮮。独特な歌詞の世界観も、きゃりーさんが見事に乗りこなしていて。

きゃりー:カッコよすぎない抜け感が大事だったんですよね。〈お部屋でダンシング〉とか〈お風呂でコンサート〉とか、コロナ禍ならではの歌詞もあって。こういう状況下でのライフスタイルを充実させるように受け取れますよね。

ーーたしかに。〈リビングコンサート〉も良いですね。

きゃりー:〈リビングコンサート〉は、なんかちょっと泣けますね。でも、〈時を忘れるまで さあキミの身も 戻ってきた景色〉というフレーズを聞くと、コロナ以前の風景が戻ってきつつあるんだなって。未来の映像が予想できるんですよ。アルバムの中でも特にテンションの高い曲なんですけど、実は一番グっときた曲で。緊急事態宣言が続いて、結局フェスも1公演しか出られなかったし……自分の心境に一番近い曲でした。

ーーこれをライブツアーでお客さんの前で歌えることを考えるとエモいですよね。そして「夏色フラワー」は、一気に風景が変わるナンバー。オトナめいた80年代サウンドを彷彿とさせる、新境地と言えるポップミュージックに仕上がりました。

きゃりー:この曲が急に出てきたときは謎でした。きゃりーぱみゅぱみゅって、こんなに甘酸っぱい曲を歌う人でしたっけって(笑)。中田さん曰く、80年代や90年代、トレンディドラマのエンディングのイメージって言ってました。テレビがブラウン管の時代、ドラマ『男女七人夏物語』的なイメージ? その世代の方だったら懐かしく感じると思います。それに歌うのがめっちゃ難しかったんですよ。高音のパートもあるし、音程を合わせるのも難しいなあって。あと、中田さんはタイトルでボケてくる時があるんですけど、すごく爽やかなタイトルと綺麗な歌詞で意外でした。中田さん、恋でもしてるのかなって(笑)。今の世代の子なら、恋愛リアリティーショーのイメージが近いかもしれないです。

ーー若い世代だとそうかもしれません。40代以上だったら松田聖子さんが浮かびます。

きゃりー:あ、わたしも最初聴いた時に聖子ちゃんカットが浮かびましたよ。

ーーそして、ラストはまさかのCAPSULEのカバー曲「world fabrication」。2005年、アルバム『NEXUS-2060』収録ナンバー。ジャジーなビッグバンドなアレンジが印象的で、歌詞がとても切ないけどキラキラ感もあります。

きゃりー:切ない曲なんですけど、“きゃりーがいま歌うから説得力があるんだよね”って中田さんが言ってました。わたしもデビューから10年間経って、歌詞にある、幸せな部分も切ない部分も知っているんです。中田さんは、そのふたつの思いを、この曲に向けているのかなって。

ーーもともと、きゃりーさんはCAPSULEファンでしたね。

きゃりー:そうなんですよ。この曲を聴いたとき、こしじま(としこ)さんの美しくて優しい女性的な雰囲気に対して、私はどうやって歌ったらいいんだろうって思ったんですけど、いつも通り元気よく明るめに歌うことにしました

ーー見事きゃりーの曲にしていて、このアルバムを締めくくる素晴らしいナンバーとなりました。充実したアルバム作品になりましたね。

きゃりー:ありがとうございます。来年はツアー『きゃりーぱみゅぱみゅ 10th ANNIVERSARY JAPAN TOUR 2022』があって、今はその準備も進めています。やりたいテーマを3つくらい考えているんですけど、どうなるのか楽しみに待っていてください!

■リリース情報
きゃりーぱみゅぱみゅ
5thフルアルバム
『キャンディーレーサー』(中田ヤスタカ プロデュース)
2021年10月27日(水)発売

【初回限定盤】COCP-41612 ¥4,180(税抜:¥3,800)
ハードカバーデジパック仕様(64Pブックレット付)
【通常盤】COCP-41613 ¥3,300(税抜:¥3,000)

[収録曲]
1. DE.BA.YA.SHI. 2021
2. キャンディーレーサー
3. どどんぱ
4. かまいたち
5. 原点回避
6. きみがいいねくれたら 
7. ガムガムガール
8. パーフェクトおねいさん
9. じゃんぴんなっぷ
10. 夏色フラワー
11. world fabrication

【店舗別オリジナル特典】
・Amazon.co.jp『メガジャケ』
・楽天ブックス『クリアポーチ』
・セブンネットショッピング『モバイルスタンドキーホルダー』
・店舗/ECサイト『レンチキュラーステッカー』
ご予約・ご購入はコチラ:https://nippon-columbia.lnk.to/CANDYRACER
※特典は無くなり次第終了となります。

「原点回避」
2021年8月17日 配信
作詞/作曲:中田ヤスタカ
M1.原点回避
M2.原点回避(instrumental)

<「原点回避」ミュージックビデオ>
https://www.youtube.com/watch?v=cSCqfW1aJEY
<「原点回避」配信先URL>
https://lnk.to/GENTENKAIHIPR

■ツアー情報
『きゃりーぱみゅぱみゅ 10th ANNIVERSARY JAPAN TOUR 2022』
1月16日(日)神奈川県 厚木市文化会館 大ホール
1月29日(土)群馬県 ベイシア文化ホール
2月5日(土)鳥取県 米子コンベンションセンターBIG SHIP
2月6日(日)岡山県 岡山市民会館
2月11日(金・祝)茨城県 日立市民会館
2月23日(水・祝)京都府 宇治市文化センター 大ホール
3月5日(土)福岡県 福岡市民会館 大ホール
3月6日(日)熊本県 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
3月11日(金)広島県 広島上野学園ホール
3月12日(土)島根県 安来市総合文化ホール アルテピア 大ホール
3月19日(土)北海道 函館市民会館
3月21日(月・祝)北海道 カナモトホール(札幌市民ホール)
3月26日(土)石川県 金沢市文化ホール
3月27日(日)新潟県 新潟市民芸術文化会館・劇場
4月3日(日)千葉県 千葉県文化会館 大ホール
5月7日(土)東京都 LINE CUBE SHIBUYA
5月13日(金)山形県 シェルターなんようホール(南陽市文化会館)
5月15日(日)秋田県 湯沢市文化会館
5月21日(土)栃木県 栃木県総合文化センター メインホール
5月28日(土)愛媛県 西条市総合文化会館 大ホール
5月29日(日)高知県 高知県立県民文化ホール オレンジホール
6月4日(土)大阪府 フェニーチェ堺 大ホール
6月5日(日)奈良県 なら100年会館 大ホール
6月19日(日)愛知県 愛知芸術劇場 大ホール
6月25日(土)宮城県 東京エレクトロンホール(宮城県民会館)
6月26日(日)青森県 八戸市公会堂
7月16日(土)宮崎県 都城市総合文化ホール(大ホール)
7月18日(月・祝)長崎県 アルカスSASEBO 大ホール

◆きゃりーぱみゅぱみゅ 公式サイト http://kyary.asobisystem.com
◆きゃりーぱみゅぱみゅ10周年特設サイト http://kpp10.jp
◆きゃりーぱみゅぱみゅ OFFICIAL Twitter https://twitter.com/pamyurin
◆きゃりーぱみゅぱみゅ STAFF Twitter https://twitter.com/kyarystaff
◆きゃりーぱみゅぱみゅ Instagram https://www.instagram.com/kyarypappa/
◆きゃりーぱみゅぱみゅ STAFF Instagram https://instagram.com/kyarystaff/

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