櫻坂46「流れ弾」MVが評価された理由 緻密に練られた演出とクリエイティブを検証

 今作の監督を務めた池田一真氏はグループ結成初期から関わっている映像ディレクターで、過去に「サイレントマジョリティー」や「世界には愛しかない」のMVを撮っている。そのため、彼女たちをどう撮れば映えるのかを熟知した存在と言えるだろう。例えば、今作の中盤あたりでメンバーたちがヘッドバンギングするシーンでは、「すごく怒っている表情で」「狂気的な笑顔で」「溺れた感じで」と一人ひとりに違った指示が出たという。(※1)メンバーたちが狂喜乱舞する本作を象徴するシーンだ。あるいは、同グループの初期より振り付けを担当しているダンサーのTAKAHIROは『シブヤノオト』(NHK総合)にて、今作のダンスのポイントに「社会と個人の対立構造」、「エネルギーを放出させる大きな動き」、「すべてを削ぎ落として表情でみせる」という3点を挙げていた。それによって、パフォーマンスとしても他とは一線を画す大胆なものになったと感じる。

欅坂46 『サイレントマジョリティー』
欅坂46 『世界には愛しかない』

 こうした点によって、今までにも増して躍動感があり、ダイナミックな魅力が生まれた本作品。終始ほぼダンスで表現されたMVだが、その裏には緻密に練られた演出と、メンバーたちをより魅力的に映し出そうとする周りのスタッフたちのクリエイティブなアイデアが詰め込まれているのだ。

 櫻坂46は現在、今回受賞した賞とは別で「MTVヨーロッパ・ミュージック・アウォーズ 2021」の「ベスト・ジャパン・アクト」にノミネートされている。国内の賞とは異なり、海外からの評価が加味されているこの賞に選ばれた理由も、上記に挙げたアーティスト性やクリエイティブな姿勢が大きいはずだ。女性グループの新人として国内シーンに鮮烈な印象を残し、日本のアクトとして海外からも評価された櫻坂46。長きに渡るメンバーたちとクリエイターたちの努力と信念が、ここへきて実を結び始めている。

(※1)『日経エンタテインメント!2021年11月号』



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