雨宮天、『テレ東音楽祭2021』声優アーティスト初出演の快挙 TrySail&ソロ活動で培われた“クリスタルボイス”の魅力
声優の雨宮天が、6月30日夕方5時40分から生放送される『テレ東音楽祭2021』(テレビ東京系)に初出演を果たした。V6や関ジャニ∞を中心としたジャニーズグループや、乃木坂46を筆頭とする坂道シリーズ、LUNA SEAやWANIMAといったロックバンド勢などが出演するなか、2014年から数えて第9回目を迎えるこの番組において、声優アーティストが出演したのは初めてのことだ。
そこで今回は、雨宮天がどのような音楽を経て、ソロシンガーとして成長してきたかを詳らかにしていきたいと思う。
彼女のデビューは、10年前の『第2回ミュージックレインスーパー声優オーディション』に麻倉もも・夏川椎菜とともに合格したことから始まる。2014年12月に2人とともに結成したTrysailは、継続的な活動とヒットソングに恵まれ、現在活動している声優ユニットでも随一の人気を誇っている。
ただし、雨宮は2014年8月にソロ活動を開始。実はグループとしてではなく、ソロデビューが先んじていることに、彼女への期待値が高いことがうかがい知れると思う。そんな彼女のデビューシングル曲となった「Skyreach」は、現在でもファンから厚い支持を受ける1曲だ。
自身がアカメ役としてヒロインを演じたTVアニメ『アカメが斬る!』のOP曲に起用された同曲は、2000年代にSEX MACHINEGUNSを支えたギタリストのPANTHERとドラムスHIMAWARI、ベースにはSIAM SHADEのリーダーでありベーシストのNATCHINが参加。ハードロックテイストなサウンドのなかで、彼女の歌声はクールな響きを持ちながら、いまからすれば少し初々しさすら感じられるだろう。
続いて、ソロデビュー直前に知名度を上げた重要な楽曲を取り上げたい。初のメインヒロイン役・藤宮香織を演じたTVアニメ『一週間フレンズ。』のED曲、スキマスイッチの「奏(かなで)」のカバーである。雨宮は柔らかなタッチでこの曲を歌い上げ、藤宮香織のピュアなマインドをしっかりと表現した。作品内容とも相まってリスナーの心に掴んだ名カバーは話題となり、2014年7月5日には『MUSIC FAIR』でスキマスイッチ本人とクリス・ハートを交えて歌唱することになる。当時新人だった声優にして、大きなステージであったのは言うまでもないだろう。
その後、数多あったライブのなかでも「奏」を歌うことは非常に稀だったわけだが、2020年7月に雨宮天公式YouTubeチャンネルを通し、自身の弾き語りによるカバー動画がアップされると、チャンネル内でも高い再生回数を記録。動画では、彼女らしいクリアな歌声で、言葉一つ一つを大切に発し、丁寧にメロディラインをなぞって歌っていく雨宮。「雨宮天にとって生涯忘れることのできない大切な曲」(動画内の概要欄より)とあるように、本人にとっても忘れがたい楽曲なのは間違いない。その後、9月27日に行なわれたオンラインライブでも同曲を弾き語りカバーし、再度ファンの心を熱くさせた。
雨宮天が演じてきたキャラクターや自身のビジュアルも相まってか、彼女にはクールかつシリアスなイメージが定着している。彼女のソロ活動にもそういったイメージが引き継がれており、これまで3枚出したアルバムには「BLUE」が一貫してつけられていたり、クールでシリアスなムードを保った楽曲でほぼ統一されている。ソロシンガー雨宮天の5年とは、持ち前のクリアな歌声をシリアスなムードで存分に発揮する5年だったと言えよう。