4カ月連続配信第1弾「ルルカワイマ」インタビュー
Liyuuが歌う、“Kawaii”を現実にする魔法の呪文 自分なりの表現を見つけた1年を振り返る
中国・上海出身のコスプレイヤーとして世界中から圧倒的な人気を誇り、アーティストとしても活躍するLiyuu。彼女にとって約1年ぶりのリリースであり、来年2月に届く1stアルバム『Fo(u)r YuU』へと導く4カ月連続配信の第1弾となるのが新曲「ルルカワイマ」だ。5u5h1が手がけたポップでキラキラとしたエレクトロサウンドはデビュー以来、彼女が描き出してきた世界観をアップデートしたもの。そこに児玉雨子によるガーリーな歌詞が乗せられることで、今のLiyuuの等身大をリアルに伝える楽曲へと仕上がっている。キュートな歌声は彼女の大きな持ち味であるが、主人公の心情に合わせて繊細に表情を変え、心地よい緩急を1曲の中に収めている点は、過去2枚のシングルからの明らかな成長を実感させる。アップテンポな楽曲ながらも違和感をまったく感じさせない発音で日本語を響かせているのも、ここまでの様々な経験がもたらした大きな進化なのだろう。デビューから間もなく2年。アーティスト・Liyuuの旅はここからが本格的なスタートと言えるのかもしれない。
自分なりの表現を見つけられた1年
Liyuuは2020年1月にシングル『Magic Words』をリリースし、アーティストデビューを果たした。さらに2021年に入ってからは、ラブライブ!シリーズの最新プロジェクト『ラブライブ!スーパースター!!』に声優として参加。作中に登場するスクールアイドルグループ・Liella!の唐 可可役を担当している。活動の幅が一気に広がったここ最近の状況を、自身はどう感じているのだろうか?
「2ndシングル『カルペ・ディエム』(2020年11月リリース)以降の約1年は、本当に色々なことに挑戦できた時間になりました。これまでやってこなかったことに直面すると、自分の中で解決しなければいけない課題がどんどん生まれていくんですよ。声優として日本語でのアフレコをすること、Liella!として踊って歌うこと……どれも自分にとってはすごく大変ではありました。でも、それらにちゃんと向き合いながら活動できてはいたかなと思っていて。もちろん、まだまだなところはたくさんあるんですけど(笑)」
そんな声優の経験は、ソロアーティストとしてのLiyuuにも大きな影響をもたらしているのだという。
「Liella!の活動と並行してソロとしての楽曲も作り続けてはいたんですよ。そういう時間を過ごす中で、1曲1曲に対して今まで以上に自分の感情を込められるようになってきた実感がすごくあります。振り返れば、これまでの2枚のシングル曲はレコーディングもあまり慣れていなかったので、どこか自分の中で壁を作ってしまっていた部分があったような気がするんです。でも、Liella!も含めて色々な曲を歌い重ねていく中で、徐々に自分なりの表現が見つかっていったというか。すごく心が開いた状態で歌えるようになりました。今までは自分の表現に不安を抱いてしまって、レコーディングのたびに『これで大丈夫ですか?』とスタッフの方に何度も確認していたのですが、今はその曲にふさわしい歌い方を自分で判断できるようにもなったし、曲自体の方向性をちゃんと決められるようにもなったと思います」
現状のスキルをしっかり認識した上で、自身の表現力を向上させるために様々な経験を積んだこの1年は、彼女にとって未来へと繋がるかけがえのないものとなった。
「ソロとしてのリリースは少し時間が空いてしまいましたが、私としてはそこまで焦りはなかったです。時間をかけて今できることをすべてやり、自分なりの表現の形をひとつひとつ完成に近づけたい気持ちが強かったので。焦るとなかなか成果が出ないですから。その結果、これまでとはちょっと違う自分の歌い方を見つけることができたので、ここから発表していく曲では『Magic Words』や『カルペ・ディエム』との変化をきっと感じてもらえると思います。だから、新たにリリースが決まったことが今は本当に嬉しくて」先ごろ発表されたように、来年2月9日には初のアルバム『Fo(u)r YuU』のリリースが決定した。そこに向け、10月から4カ月連続で新曲が先行配信されていくこととなる。
「楽曲はまだまだ制作中なので、4カ月連続リリースはちょっと大変です(笑)。ただ、私は元々、色々な曲調に挑戦してみたい気持ちがずっと強かったので、今回は今まで歌ってこなかったジャンルの曲をたくさん歌っています。そういう環境はすごくありがたいことですし、リリースを待ってくれていたファンのみなさんに新しいLiyuuの姿をお見せできることがすごく楽しみなんですよね。アルバムに向けた1カ月ごとのカウントダウン、どんな反応をいただけるかワクワクです」
連続配信の第1弾楽曲は「ルルカワイマ」。これまでリリースされてきた楽曲のテイストを踏襲したエレクトロポップな仕上がりは、ここから本格的に幕を開けるLiyuuワールドの序章としてふさわしい1曲と言えるだろう。作曲・編曲は、内田真礼やジャニーズWESTなどに楽曲提供をしている5u5h1が手がけている。
「タイトルから感じる通り、かわいくてポップな曲になっていますね。1stシングルの『Magic Words』や、今回と同じ5u5h1さんが作ってくださった『Cherish』(2ndシングル『カルペ・ディエム』のカップリング曲)に近い雰囲気はありますけど、やっぱり今のLiyuuらしさというか、新しく進化した1曲になっているような気がします。同じかわいいでも違ったかわいさを表現しているというか。最初、メロディのないオケだけの音源を聴いたんですけど、その段階ですでにお気に入りになってしまって(笑)。ふんわりとした丸みや跳ねるような心地よさもあって、一瞬で“歌ってみたい!”って思いました」
ここ最近のLiyuuは楽曲選びにも積極的に参加し、自身の表現したいことをしっかりと伝えている。そこには自らの出自を意識したこだわりもあるようだ。
「中国人の女の子が歌う曲に対しての、ちょっと古い印象みたいなものがあるなと感じていて。だから楽曲を選ぶときには、自分らしさを第一に考えつつ、そうした固定概念みたいなものを壊せたらいいなという思いも大事にしています。『ルルカワイマ』もそういった思いで選びましたね」
歌詞はハロー!プロジェクトをはじめとするアイドル楽曲に数多く参加している作詞家の児玉雨子。Liyuuとは「カルペ・ディエム」に続くコラボだ。
「かわいい歌詞ですよね。自分が思う“Kawaii”の世界の中、どうやったら完璧になれるのかを考えながら、小さなことにひとつひとつ悩む姿がすごくリアルだなって思いました。私はこの曲の主人公ほど追求していないような気もしますけど(笑)、でもやっぱり“今日はどんな髪型やメイクにしようかな”とか“どんなファッションにしようかな”と悩むことも多いので、すごく共感することができました。作詞をしてくれた児玉さんは以前一度お会いしたことがあるんですけど、すごく大人っぽくて魅力的な女性なんですよ。私とそんなに年齢は変わらないけど、どこか人間的な深みを感じさせてくれるというか。そんな児玉さんがこの曲ではかわいいテイストに振り切って歌詞を書いてくださったことに、単純にビックリしちゃいましたね。色々な目線で歌詞を書けるのが本当にすごいなって。今回の歌詞もきっと私のことをイメージしながら書いてくれたんだと思います」