乃木坂46 生田絵梨花は卒業後も安泰? 10年のアイドル活動で切り開いたミュージカル女優への道

 そんな生田のミュージカル女優としての実力は、乃木坂46の活動にも遺憾なく発揮されていく。生田にとっての初のソロ曲「あなたのために弾きたい」は、生田がピアノを弾きながらその伸びやかな歌声と美しいナチュラルボイスを響かせる楽曲。「命の真実 ミュージカル「林檎売りとカメムシ」」は、そのタイトルが示す通りに、ミュージカル調の言わば生田ありきの1曲と言えよう。『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)をはじめに様々な番組で絶賛されている生田の歌唱力は、今のアイドルシーンにおいてトップレベル。名実ともにその歌声が認められる場となったのが、2017年開催の生田にとって初のソロコンサートでもある『MTV Unplugged』のステージだった。『FNS歌謡祭』や『MUSIC FAIR』(以上、フジテレビ系)での、歌手 生田絵梨花としてのコラボステージは、アイドルファン以外にも認知されるきっかけの出演に。

 今年、5月には亀田誠治が実行委員長を務める『日比谷音楽祭2021』に参加。錚々たるバンドメンバーと共に「君の名は希望」を弾き語り、いきいきとした笑顔でトップバッターの大役を務め上げた。そこで2曲目に歌ったのが、斉藤由貴「卒業」。今年3月にリリースされたトリビュートアルバム『筒美京平SONG BOOK』で、生田がカバーした楽曲だ。「卒業」に生田を指名したプロデューサーの武部聡志は、「原曲の匂いを残しながら、いくちゃんが一番輝く落としどころをふたりで探していきました」とインタビュー(※1)の中で語っている。その飽くなき挑戦心が如実に表れていたのが、2020年配信された『乃木坂46時間TV』(ABEMA)でのバイオリンとギター弾き語りの初挑戦だった。努力が滲み出た生田の演奏は、閉塞感漂うコロナ禍において、観るものに大きな感動と勇気を与えた。

 そんな生田は、24歳ですっかり乃木坂46では年長組に。久保史緒里や遠藤さくらなど、生田を尊敬するメンバーに挙げる後輩は大勢いる。だが、同じ1期生のメンバーの前では10年前と変わらない……いや、それ以上の我がままっぷりを発揮。特に、秋元真夏の前では「お前のものは俺のもの」状態のジャイアンになってしまう、乃木坂46きってのムードメーカーでもあった。時には天井に張り付いてみたり、ほっぺたに付いたご飯粒を可愛く取ってみたり。『乃木坂工事中』(テレビ東京系)でのバラエティ面においても、生田がいなくなってしまうことは大きな損失であるが、愛らしいキャラクター性が爆発していた2021年お正月放送の『笑点 お正月だよ!大喜利まつり』(日本テレビ系)のように、バラエティにも引き続き顔を出してもらいたいものだ。

 乃木坂46の結成から10年。グループは多くの卒業生を送り出してきたが、これほどまでに卒業後の輝かしい活躍が想像できるメンバーもいないだろう。人生において、乃木坂46のステージが第1幕であれば、旅立つ先の舞台は第2幕。12月は万雷の拍手が生田に届けられる。

(※1)https://cocotame.jp/series/018491/

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