TETSUYA(L’Arc~en~Ciel)、作家としての野心とソロ活動の展望 「世の中からまだ正当な評価を受けてない」

ラルク TETSUYA、作家としての野心

「0から1を生む作家の意見は尊重すべき」

ーーそのバランスのなかに、今作はTETSUYAさんの“死生観”をすごく感じたんですよ。

TETSUYA:死というところでいうと、僕は生きてる間よりも、死んでからのほうが正当な評価を受けるんじゃないかな。そんな気がしてますよ。僕はすごくいいものを作ってるという自信があるんですけど、それに対して、世の中からまだ正当な評価を受けてないと思ってるんですね。だから、死んでからかな(苦笑)。

ーーいやいや。「Eureka」で〈強く願う ただそれだけ/全ては やがて上手くいくよ〉と歌っているじゃないですか。アルバムの最後に聴くこのフレーズが、今作で最も強い意思をもったメッセージとなって、胸に刻み込まれていくんですよね。

TETSUYA:よくできてますね(笑)。でも、そういうところはあんまり頭では考えてなくて、自分の感覚にしっくりくるかどうかなんです。「なんか気持ち悪いな」と感じたら、その気持ち悪さがなくなるまでいろいろ試して作るだけなんですよ。引っかかるところって、よくないんですよね。

ーーそれはラルクになるとどうなるんですか。TETSUYAさんがしっくりこないなと感じていても、他のメンバーはしっくりきているという場合もありますよね。

TETSUYA:ありますよ。そこは楽曲に対して強い思いを持ってる人の意見を最優先します。例えばミックスの段階で「この音、出すぎじゃない? 全体のオケに馴染ませた方がいいんじゃないかな」と僕が思っても、楽曲に対する思いの強い人が「いや、この音はこれ以上は絶対下げたくない」となったら、その思いが勝ちますね。

ーーバンドではそうなると。

TETSUYA:バンドというか、結局は作家の思いが一番勝ちますよ。作家は作った張本人ですから。その本人が「この音は絶対に下げたくない」って思えば、それは尊重すべきだと思う。だって、0から1を作ってる人ですから。そこが一番大事じゃないですか。バンドで、他のメンバーが作曲したものをブラッシュアップしていく作業というのは、2を3にしたり、3を4にしたり、足していくだけだから簡単なんですよ。それよりも0から1を生むことのほうがよっぽど大変で重要な作業ですから。だから、作家の意見は尊重すべきなんです。あるものをアレンジするのなんて簡単でしょ?

ーーなるほど。

TETSUYA:最初のものを生み出した原作者が一番重要で。原作があってこそ、それがアニメ化されたり映画化されたりしていくわけだから。ソロに関しては、僕がすべての原作者。全曲の作詞作曲を僕が一人でやってるんで、僕がこうしたいっていうのに反対する人はいないですから。そういう意味では、ソロのほうが自由にできますよね。

「誰がために鐘は鳴る」「白いチューリップ」など意外な制作秘話

ーー「白いチューリップ」は数量限定でパッケージ化されるシングルの表題曲でもありますが、なぜこういうタイトルに?

TETSUYA:これは最初にタイトルがあったんです。僕が一番好きな海外ドラマに『FRINGE/フリンジ』という作品があるんですけど、そのシーズン2に「白いチューリップ」という回があって、そのお話が僕はすごく好きで。前後を見なくても、この1話だけでも感動するんですよ。感動する物語ってじわじわ泣けてきますけど、この「白いチューリップ」は一瞬でそうなるんです。泣く直前までは、全然泣くようなお話ではないんですけど、あるシーンがくるとその一瞬で涙が溢れるっていう。瞬間湯沸かし器的な(笑)。

ーーいきなりドカーンと涙腺が刺激されると。

TETSUYA:なんの前触れもなく、突然ダーッて涙が出るんです。それで白いチューリップの意味を調べたら、花言葉が「失われた愛」だったから、いつか「白いチューリップ」というタイトルで曲を書きたいなとずっと思ってたんです。

ーー「白いチューリップ」はラブソングなんですか。聴いているともっとそれを超えたものを感じましたが。

TETSUYA:これは誰か一人のことを歌ってるわけではないです。2人か3人のことをミックスしています。

ーーそれは天国に行ってしまった方々?

TETSUYA:はい。全員天国にいる人ですね。

TETSUYA – 白いチューリップ

ーー「白いチューリップ」はMVも幻想的で。これは合成ではなく、実際に現地に行って撮ってるんですよね?

TETSUYA:そうです。「Make a Wish」も撮っていただいた監督さんなんですけど、すごいロケ場所を探してくれるんですよ。「Make a Wish」の時に「これどこで撮ったの? っていう場所で撮影したい」と言ったら、探してきてくれた。そういうチームです。

ーー「誰がために鐘は鳴る」はヴォーカルにエフェクトをかけたエレクトロな曲調が新しかったですね。

TETSUYA:今までの僕に一番ないタイプの曲だと思うんですけど。これはもともとKEYくん(SHINee)用に書いた曲なんですよ。

ーー「POWER」というナンバーをTETSUYAさんが楽曲提供してましたよね。

TETSUYA:あのときオファーをいただいて何曲か書いたんですよ。「誰がために鐘は鳴る」はそのなかの1曲です。「POWER」は僕のなかではオールドスクールな感じのロックっぽい曲だったから、それが採用されて意外でした。むしろ「誰がために鐘は鳴る」のほうがロックを意識せずに作った曲だったんで、こっちの方がいいのにと思っていました。先方から「Aメロ、Bメロはあんまり動かないで抑えて、サビで弾けて欲しい」というオーダーがあったんで、この曲はサビ前までわりと抑え目なんです。僕の曲にはあまりないですよね。

ーーそれで、サウンドアレンジに合わせてヴォーカルにもエフェクトをかけたと。

TETSUYA:はい、いつも使ってるマイクとは違うものを使いました。僕、マイクいっぱい持ってるんですよ。普段はあまり自分の声、曲調に合わないから使わないマイクだったんですけど、この曲には合うなと思って使ってみました。

ーーでは最後に、今後のソロ活動の展望を教えてください。

TETSUYA:次のアルバムは10年後……にはならないように活動していきたいと思います(笑)。

■アルバム概要
TETSUYA 3rd Album『STEALTH』
2021年10月6日(水)発売
・通常盤【CD】¥3,300(税込)
・初回限定盤【CD+Blu-ray】¥5,280(税込) [デジパック仕様]
・UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤【CD+DVD】¥11,000(税込)
※LPサイズジャケット仕様・LPサイズ二つ折りブックレット付き

【CD】
01. REGRET
02. Make a Wish
03. I WANNA BE WITH YOU
04. 誰がために鐘は鳴る
05. 白いチューリップ
06. FATE -Album ver.-
07. 愛されんだぁ I Surrender
08. READY FOR WARP
09. ARIGATO
10. Time goes on ~泡のように~
11. Eureka
[Bonus Tracks] ※初回限定盤、UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤のみ収録
12. milky way~砂時計~Link -LIVE 2019 “THANK YOU” 4950-
13. 瞳の住人 -LIVE 2019 “THANK YOU” 4950-
【Blu-ray】
※初回限定盤のみ収録
●Music Clip 6曲収録
●The Making of “白いチューリップ -Music Clip-”
【DVD】
※UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤のみ収録
●Xmas LIVE STREAMING 2020

TETSUYA Official Web Site

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