L’Arc~en~Ciel、30周年を祝福した幕張メッセ公演を振り返る 決意の込もった新曲「ミライ」も披露

L’Arc~en~Ciel、幕張メッセ公演レポ

 今から30年前の1991年5月30日、L’Arc~en~Cielは大阪 難波ROCKETSで初ライヴを行った。hyde(Vo)が2017年に行われた東京ドーム公演で「始めた頃、夢だけはありました。あと根拠のない自信ね(笑)」と当時のことを振り返っていたが、現在に至るまでの彼らの活躍は誰もが知るもので、もはや日本を代表するロックバンドといっても過言ではないだろう。そんなL’Arc~en~Cielが5月29日、5月30日の二日間にかけて千葉 幕張メッセにて『L’Arc~en~Ciel 30th L’Anniversary Starting Live “L’APPY BIRTHDAY!”』を開催した。本稿では初日にあたる5月29日公演の模様をレポートする。

 30年の歴史を振り返っても観客が声を出すのを禁止されているライヴは初めてだろう。全員がマスクを着用し、開演を待つ人々の口数は少ない。それでもその足取りや目元の表情から楽しみにしている様子が伝わった。暗転した会場に30年間をプレイバックするように懐かしい映像が流れると、割れんばかりの拍手と歓声の代わりとなる鳴り物(一部を除いて楽器の持ち込みが可とされていた)が響き、「X X X」でライヴは妖艶に幕を開ける。さらに「Caress of Venus」で会場の熱をぐっと引き上げ、「お待たせしました。L’Arc~en~Cielです。会いたかった? 俺も会いたかった!」とhydeが挨拶すると「今日はみんなの声が聞けないけど、たまにはそういうプレイもアリかなって」と続けた。

hyde
hyde

 ここからは緑と白のレーザーライトのなか演奏された「CHASE」、歌いだしから大きな拍手が巻き起こった「winter fall」、hydeがハーモニカをひと吹きして始まった「flower」と新旧を交えたヒット曲のオンパレード。さらに「30周年ということで我々も随分大人になりました」と意気込みを語りyukihiro(Dr)の正確無比なビートに乗せグルーヴィーに「metropolis」をプレイすると、オーディエンスは30年選手だからこそ醸し出すことのできるその大人の色気に存分に酔いしれた。そして、9年ぶりに演奏され、〈願いよ風に乗って夜明けの鐘を鳴らせよ〉と歌われた「DAYBREAK’S BELL」では長い夜ともいえる状況のエンターテインメント業界の夜明けを願っているようにも感じられた。

yukihiro
yukihiro

 「みんなの想いを全部吐き出して、感情をぶつけてくれ幕張!」と煽るとステージにはいくつも火柱があがり、フロアは普段のコール&レスポンスのかわりにクラップと鳴り物で応戦するとL’Arc~en~Cielのライブの盛り上がりを誇る「REVELATION」へとなだれ込む。また、今回のライヴで特筆すべき点として通常の撮影クルーに加えドローンカメラを導入していた点が挙げられるだろう。ステージ上空や全体を高速で縦断するような臨場感ある映像、メンバーを至近距離から捉えた映像に加え、「get out from the shell」ではhydeの掌に収まり本人を映すことで、その画質の粗さと不気味さも相まって独特な閉塞感のある世界観を創造するのにも一役買っていたことをお伝えしておきたい。こうやってL’Arc~en~Cielのライヴはどんどん進化していくのだという姿勢を見せつけられた演出であった。

tetsuya
tetsuya

 中盤戦に差し掛かるとステージのトーチに火が灯り、揺らめく炎のなか「花葬」を披露。つづいて演奏された「EVERLASTING」はtetsuya(Ba)がギターに持ち替えツインギターでプレイ。また、この曲において印象的な〈止まない雨〉という歌詞の世界を再現するように降りしきる雨音と雷鳴のSEの中、ken(Gt)が叙情的なギターを奏でるとその雨が止み、雲間から青空が見えるかのように〈ほら風が動き出した まだ諦めたりはしない〉と歌う「MY HEART DRAWS A DREAM」に繋げた流れはまさに、“止まない雨はない”と決して希望を捨てず、これまで通りを取り戻し未来へと繋げようとしているL’Arc~en~Cielの4人だけでなく、彼らを愛するファン全員の夢でもあるのだと感じることができた。

ken
ken

 kenのMCを挟み、ライブはラストスパートをかけるべくアクセル全開に「Driver’s High」をド派手なパイロとともにお見舞いすると、本来であればファンがシンガロングする場面を「俺に任せろ!」とhydeが担うシーンも見られ、ここから「HONEY」、「READY STEADY GO」とキラーチューンを立て続けドロップし本編を締めくくった。

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