堂本剛、なにわ男子&Lil かんさいへの楽曲提供に意欲 歌い手のストーリー描く創造力に注目

 「後輩のために」という一方で、堂本剛本人にとっても新しいチャレンジとなることは間違いない。「自分が1人で曲作りたいなってときに、キラッキラした曲、“アイドル!”みたいな曲って、やっぱ書けても書かないじゃないですか」と本人が話すように、作った曲すべてを気軽に発表できるわけではない。キャリアを重ねていけば、どうしても「期待」という名の先入観がつきまとう。

 例えば、マイナー調を得意とするKinKi Kidsには、やはり哀愁漂う歌詞とメロディ、そして堂本光一との歌声のハーモニーが“KinKi Kidsらしさ”として定着している。また、ENDRECHERIなどの別名義で紡がれてきたファンクミュージックについても然り。「堂本剛の手掛ける楽曲ならば」というイメージが、私たちの中にしっかりと根づいていることに気付かされる。

 だが、その枠組みを遥かに超えるだけの音楽的才能の持ち主であることも事実。だからこそ、これまで堂本剛は楽曲提供という形で、新たな一面を見せてきた。例えば、嵐の二宮和也が作詞、堂本剛が作曲を手掛けた「Regress of Progress」は、二宮が「今度一緒に曲でも作りましょう」という声掛けから生まれたもの。

 ギター1本で奏でられるこの曲は、アイドルのソロ楽曲というよりは、硬派なミュージシャンらしさ漂う楽曲だ。不器用な男の切なさ、素直になれない無骨さ。普段飄々として見える二宮の“本気”を披露する、スイッチとなるような1曲である。

 また、KAT-TUNの亀梨和也が歌った「離さないで愛」は、大人の色気が香ってくる楽曲。〈キスして壊して〉と破壊的な愛情を綴る歌詞は、“ジャニーズのセックスシンボル”の異名を持つ亀梨の本領発揮と呼ぶにふさわしいもの。その世界観を存分に表現したPVも圧巻だった。

 そして、今井翼に提供した「虜」はロックサウンドに〈あなた様〉〈あたしには キスくれぬ〉と女性視点の歌詞と古風な言い回しという組み合わせが斬新。エレキギターをかき鳴らしながらも、まるでミュージカルのセリフのように心情が伝わってくる歌は、舞台経験豊富な今井の魅力を存分に引き出すものだ。

 さらにジャニーズから飛び出し、2016年にはももいろクローバーZに「桃色空」も提供。今この瞬間の彼女たちの輝きを見届けることができる喜びと、夕暮れの限られた時間にだけピンク色に染まった空を見つけたときの幸福感とがリンクする、エモーショナルな楽曲。ピュアな歌声と相まって、さらに聴く人の心をキュッと締め付けた。

 誰が、いつ、どんなふうに歌うのか。堂本剛の書く楽曲には、歌の世界観が存在する前に、歌う人のストーリーを感じずにはいられない。その人が、今この楽曲を歌う意味がある。そう考えると、なにわ男子やLil かんさいといった、これから羽ばたこうという若きアイドルたちにふさわしい歌があること。それを書きたい、と堂本剛の創造力がうずくのも頷ける。

 今のなにわ男子、Lil かんさいにしか歌えない「恥ずかしいくらいキラッキラしてるやつ」とは、一体どんな歌なのだろうか。逆に、堂本剛が今だから言葉にできるデビュー前後の記憶のかけらがあるかもしれない。それらの楽曲を紐解くことで、堂本剛自身が抱いてきたアイドルの概念や想いを咀嚼できるのではないか。そんな楽しみを胸に、楽曲提供が実現する日を楽しみに待ちたい。



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