プロジェクトセカイ、つんく♂リビルドシリーズ、MAISONdes…ヒットの鍵はクリエイターとアーティストの共創に

MAISONdesら、共創を生み出すプロジェクト

 そして、なかでもデジタルネイティブ世代に対し、等身大の姿で忠実に寄り添っているのが、どこかにあるアパート・MAISONdes-メゾン・デ-で生まれている楽曲だ。ボカロPのみならずジャンルを横断した新世代のネットクリエイターやアーティストがMAISONdes-メゾン・デ-に入居し、各部屋から架空の住人の物語を自由に紡いでいる。今年2月3日に第一号として101号室から、yamaと泣き虫をフィーチャリングした「Hello/Hello」が届けられた。ボーカルをyama、作詞作曲を泣き虫が担当。

【101】[feat. yama, 泣き虫☔️] Hello/Hello / MAISONdes

 以降は、さとうもか、くじら、堂村璃羽、GeG(変態紳士クラブ)、和ぬか、asmi、EMA、たなか(前職:ぼくのりりっくのぼうよみ)春野、Aqu3ra、りりあ。、南雲ゆうきといったアーティストが続いている。時に素性を明かしていない おおお や301を含めるのも、新世代にフォーカスしたMAISONdes-メゾン・デ-ならでは。TikTokでサビが使用されたダンス動画が賑わいを見せ、Billboard JAPAN発表の国内週間楽曲ランキング‟TikTok HOT SONG Weekly Ranking”(2021年7月26日に初登場首位に浮上してから4連覇を達成)をはじめ、LINE MUSICなどのストリーミングサービスでもチャート上位にランクイン、その後のバイラルヒットへつながることになった「ヨワネハキ」は、今年5月、102号室に入居した現役大学生シンガーの和ぬか、20歳のシンガー・asmiによる作品であることは特筆しておきたい。

【102】[feat. 和ぬか, asmi] ヨワネハキ / MAISONdes

〈同じような毎日を繰り返してる〉「For ten minutes,for a humdred yen/さとうもか, くじら」
〈また知らないうちに明日を台無しにしてる〉「本当は夜の端まで、/おおお, くじら」
〈最後の夜だって決めてココ来たの何回目?また振出しに戻って〉「いえない/堂村璃羽, 301, GeG」
〈路地裏の真ん中で/いつもの夕陽を薄目で眺めて/胸の内で呟いた/「いつまで続くだろう」〉「ヨワネハキ/和ぬか, asmi」

 デジタルネイティブ世代が抱えやすいゴールが見えない空白感を指で丁寧になぞるようにディープなサウンドで描いているのは、同世代のネットクリエイターやアーティスト。同じ目線に立ったまま綴られるリアリティのある歌詞だからこそ、リスナーの心へと突き刺さる。TikTokなどのデジタルネイティブ世代が“入居”するストリーミングサービスを中心にバズが起こったのもその証拠だろう。

 今回取り上げた3つのプロジェクトはどれも、アーティストやクリエイターのこれまでにないコラボを通じて新たなリスナーに作品を届けようとしているように思う。各プロジェクトならではのコラボレーションから、さらなるヒットが生まれていくことを期待したい。

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