『TIF2021』総合プロデューサーが語る、エンタメ業界に求められる意識と覚悟 今目指すべきアイドルフェスの在り方とは
エンタメ業界も甘えをなくす意識が必要
ーー去年の『TIFオンライン』も少し振り返ってみたいと思います。開催から1年が経ちましたが、改めてどのようなフェスでしたか?
菊竹:去年は本当に急遽オンラインに切り替えたので、忙殺されてあまり当時の記憶がないんですが……今振り返るとオンラインでできること、とにかく思いつくことは全部やり切ったなと思うフェスでした。もちろん上手くいったこと、いかなかったことはあるんですけど、1つの配信プラットフォームで各ステージをスムーズに行き来できるようにしたり、背景を全部グリーンバックにしてCG合成のステージを作ってみたり、VTuberのステージを新設してみたり。とにかく思いつくことを全部やり切ったとは思っています。
ーー具体的に良かった点と反省点をそれぞれ教えていただきたいです。
菊竹:良かった点としては、これは面白そうだなと可能性を感じて今年も行う「バーチャル TIF」です。一方で反省点としては、オンラインだからこそもっとコンテンツを増やせると思い、逆に増やしすぎて視聴者の皆さんを置いてけぼりにしてしまったなという部分もあると思っていて。なので、今年はなるべくシンプルなタイムテーブルを心がけました。
――昨年に続き開催される「バーチャル TIF」ですが、どんなところに手応えを感じたんでしょう?
菊竹:僕自身がやってみて面白かったというのももちろんありますけど、何よりも出演していただいたバーチャルアイドルの皆さんが喜んでくれたのが一番ですね。あとはビジネス的に中国市場における可能性を感じたというのも大きいです。バーチャルアイドルは中国との相性が良いんです。なので、今年もbilibiliさんとタッグを組んで中国に向けて配信しますが、そこはどんどん規模を大きくしていきたいなと思います。
ーー中国市場ではバーチャルアイドルの人気がすごい?
菊竹:そうなんですよ。その時々でルールは変わっているのでしょうが、そもそも日本のタレントやアーティストが日本から中国へ生配信を実施すること自体がハードルが高い。それがVTuberになると諸々スムーズになるんです。だから、バーチャルアイドルたちは結構中国と相性が良くて、日本以上に認知度が高い子もいます。中国に向けてバーチャルアイドルたちが先行してルートを作り、ゆくゆくはリアルなアイドルも進出できたらいいなと思っています。
ーー今年の『TIF』は様々なコンテンツとコラボされていますよね。TWIN PLANETとタッグを組んで新しいアイドルを生み出したり、『痛快TVスカッとジャパン』(フジテレビ系)の出演権をかけたソロTIFが開催されたりと、例年以上にアイドルの可能性を引き出すようなプログラムが組まれているように感じます。
菊竹:アイドルの子たちが輝いているところにスポットライトを当てる、その手伝いができればいいなというのは基本的な考え方で。『TIF』当日はグループのパフォーマンスが主役なので、センターやキャプテンだったら個人でも注目されると思うんですけど、それ以外の子はなかなか個人で注目される場が少ないのかなと。なので、“ソロTIF”という大枠を作って、スポットライトが当たる企画を作ろうと思ったのがきっかけです。
ーーアイドル一人ひとりの可能性に光を当てる、結果的にそれはその子を応援しているファンにも喜んでもらえるものになりますよね。
菊竹:そうですね。でもこれらの企画はアイドルの子たち本人に熱がないと意味がないので。逆に熱があるものに関しては、僕らも応援していきたいです。
ーーちなみに今年は「TIFコミュニティ」なる新しいアクションも発表されています。
菊竹:「TIFコミュニティ」は『TIF』のオンライン上のプラットフォームというか会場のようなもので、実際はお台場でライブを見てファン同士で話したり、さらにミーグリ(ミートアンドグリート)して、というようなリアルのアクションが「TIFコミュニティ」の中ではオンラインで体験できる感じです。「TIFコミュニティ」に行けばオンラインでライブを見られるし、スレッドを立ててみんなで並行して会話もできる、そんなイメージです。もちろんそれだけではリアルには敵わないと思うので、逆にリアルの会場ではできないようなテクノロジーを用いた見せ方、例えばマルチアングルの配信だったり、NFT(分散型台帳技術=ブロックチェーンを使った“唯一無二の本物”と証明することが可能なデジタル資産)の技術を使ったサイン企画など、とにかく新しいことを「TIFコミュニティ」の中に織り込んでいき試していく。そういう場を作れたらと思っています。
ーーこれは答えづらい質問かもしれませんが、今現在フェスやイベントなどエンタメが置かれた状況というのは去年よりも厳しい状態にあると思っています。政府、自治体、主催、観客、そしてそのどれでもない第三者、それぞれ立ち位置が違うのは当然として「こうも意見が違うのか」と。菊竹さんは素直にこの状況についてどう考えていますか。
菊竹:おっしゃる通り難しいですよね、皆言ってることが違って。政府は補助金まで出して、頑張れ、経済を盛り上げてくれと背中を押しておいて、片や自治体は感染が広がるのでやめてくださいと。『TIF』はアイドルが皆に応援されるイベントにしたいし、我々もファンに応援されるイベントにしていきたいというのは根本的に変わらない。でも今の時流が、アイドル関係なく、エンタメに対して風当たりが強いのであれば、それはきちんと受け止めて、エンタメ業界もこのタイミングでさらに甘えをなくす意識が必要だなと思います。何よりファンあってのエンタメですから。もちろん制作者だったり主催者のエゴだけで突き進んでも良くないなと思っています。ファンがついてきてくれないと意味がないですから、きちんと世論に耳を傾けて、その都度タイミングにあったコンテンツを作っていかなければいけないなと思っています。
――色々と難しい状況にはありますが、『TIF2021』は純粋にアイドルとファンが結びつく場所になればいいなと思っています。とはいえ、やはり一番は感染対策や会場近隣へのケアになりますよね。
菊竹:そうですね。その辺は最後まで丁寧にやっていかなければいけないですし、むしろ今年は内容的に『過去最もつまらないTIF』になってもいいと思っているくらいなので。それでもお客さんと共に、無事開催することが大切だと思っています。
※1:https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/1009757/1009761.html
『TOKYO IDOL FESTIVAL 2021』
日程:2021年10月1日(金)、2日(土)、3日(日)
※台風16号の接近に伴い10月1日は中止
会場:お台場・青海周辺エリア
主催:TOKYO IDOL PROJECT
<チケット販売中>
単日券各日:¥8,800(税込)※10月2日、10月3日のみSOLD OUT
3日間通し券:¥24,800(税込)※SOLD OUT
※「キラキラチケット」「Tシャツ付きチケット」はSOLD OUT
チケット購入サイト:http://r-t.jp/tip
<チケットに関するお問い合わせ先>
楽天チケット:https://ticket.rakuten.co.jp/inquiry
<オンラインチケット>
チケット:2021年9月9日(木)13時〜販売開始
・10月1日(金)1日チケット:¥4,900(税込)
・10月2日(土)1日チケット:¥4,900(税込)
・10月3日(日)1日チケット:¥4,900(税込)
・3日間通しチケット:¥13,000(税込)
『TOKYO IDOL FESTIVAL 2021』公式サイト