『TIFオンライン』総合プロデューサーに聞く、開催までの経緯と配信でのこだわり 今と未来のアイドルシーンへ向けた思いも

『TIFオンライン』総合プロデューサーに聞く、開催までの経緯と配信でのこだわり 今と未来のアイドルシーンへ向けた思いも

 10月2日〜4日の3日間にわたり『TOKYO IDOL FESTIVAL オンライン 2020』(以下、『TIFオンライン』)が開催される。元々、会場となるお台場 青海周辺エリアが『東京2020オリンピック』で使用されることなどを考慮し、例年通りとなる夏ではなく、同会場にて今年秋に開催される予定であった『TOKYO IDOL FESTIVAL 2020』(以下、『TIF』)。だが、新型コロナウイルスという未曾有の危機に直面。事態の収束を願いつつも、感染予防の点などから中止を余儀なくされ、オンラインアイドルフェスとしての開催にシフトすることとなった。

 リアルサウンドでは『TIF』の総合プロデューサー・菊竹龍氏へインタビューを行い、いかにしてオンライン開催へ踏み切ったのかを中心に話を聞いた。2019年に開催10周年を迎えた『TIF』が、今年どのような思いと信念を持って行われるのか、開催直前のこのタイミングでぜひ知ってもらいたい。(編集部)

“11年目の本来のコンセプト”から“オンライン開催に至った経緯”まで

――昨年10周年を迎え、早々と今年の開催、そしてオリンピックの影響も考慮して初の10月開催とすることもアナウンスされていました。まずは11年目を迎える今年の『TIF』をどんなフェスにしようとしていましたか?

菊竹龍(以下、菊竹):今思うと遠い昔のような気がするんですけど。今年の『TIF』は、本来であればお台場で開催するので、どうしてもオリンピックの直後になるんですよね。なので、「(オリンピック直後)どうなっているんだろう、この国やこの土地は?」と思ったんです。色々な夢が生まれ、文化が生まれ、熱狂が生まれたその後に、どんなカルチャーを一から始められるんだろうと。そんな風に思ってたのが1年前ですね。去年でちょうど10年という節目をやり切って、ある程度の成功も収められた。なので、2020年の今年は初心に戻って、初めて出演したり、これからデビューする子たちにスポットライトが当たるようなイベントにしたいとは思っていました。ですが、結果として当初思っていたこととは結構真逆になってしまったなとは思います。

――当初はオリンピックが終わったお台場という場所で、ある意味もう一度まっさらな状態から『TIF』を始めようと思っていたんですね。

菊竹:そうですね。ゼロから。

――ゼロから打ち出していく、つまりはフェスとして開催初年度に立ち戻るような感じですね。

菊竹:そうです。去年10周年の際は、AKB48からBiSH、アイドリング!!!も復活するみたいな、そういうお祭り的な部分をやり切った年だった。結果成功したので、逆に11年目は一からやりたいなと思っていました。

――そういうゼロベースから始めようと思っていたところに、新型コロナウイルスの猛威がやってきてしまったんですね。ですが、元々オリンピックを考慮して本来の開催時期から10月にスライドしていたわけで。私たちも「ギリギリ、このまま開催できるんじゃないかな」と思っていたんですが。

菊竹:思ってました、僕も。なんなら10月にしてラッキーだと思っていました。

――その願いも届かず、結果オンラインという形で開催されることになりました。実際、オンラインで開催する決断に至った経緯や決め手はなんだったんでしょう?

菊竹:僕も当初は「いける」と思っていたんですよ。完全には無理かもしれないけど、お客さんも入れて、配信もして、みたいな形でやろうと思っていて。その可能性をずっと模索して、色々シミュレーションをしていたんです。自粛中、ずっと自宅で悶々と悩んでいたんですけど、その中でふと、「このイベントの魅力ってなんだろう?」って考えたときに、それはやっぱり、灼熱の中で何万人のファンたちが肩を組んで、みんなで熱狂するーーあの熱気が『TIF』の醍醐味であり、魅力なんじゃないかなと思ったんです。でも、その熱気って、今一番危険じゃないですか。お客さんを入れるとしても、ソーシャルディスタンスを守って、マスクやフェイスシールドをして、コールもできないとなると、このイベントが10年やってきた魅力って伝えられるのかな、届けられるのかなって思ったんです。だったら、中途半端にやるよりも今年は思いっきりオンラインに舵を切る、思いっきり振り切ってオンラインでできることをやろう、というのが決断した経緯ですね。

――観客を入れて開催するというのは、具体的にどのくらいまで考えていたんですか?

菊竹:7月の頭くらいまでは、お客さんを入れる方法を考えていましたね。自粛期間も明けて、アイドルシーンも「力を合わせて頑張ろう」「ちょっとずつでも進んでいこう」という感じの時期だったんですよ。その時に『TIF』がお客さんを無理やり入れて開催して、もし万が一のことが起きたらアイドルシーンの足を引っ張るなと思って。イベントを開催したら、少なからず影響を与えてしまうなと思った、そのぐらいのタイミングに決めましたね。

――ちなみに、他のイベントやフェスの開催の有無も気にしていたんですか?

菊竹:めっちゃしてましたよ。ニッポン放送の特番『エンタメ・音楽業界トップ鼎談~いま、音楽にできること~』を聞いたり、ライブシーンの状況はずっとチェックしていましたね。

――その都度状況を把握してどうすればいいのか考えていたんですね。

菊竹:そうですね。正解がないので、まぁ、みんな一緒ですよね。そこから目を背けられないですよね、ずっと。

プラットフォームからチケット金額までーーオンラインならではのこだわり

――オンラインにて開催する上で、ここだけは実際のフェスと同じにしようとこだわった部分などはありましたか?

菊竹:それこそ、自粛期間中も色々なオンラインフェスを見たんです。やっぱり、それぞれ良し悪しはあるんですけど、ただの対バンには見せたくなくて。複数ステージが同時多発的に発生している姿がフェスの魅力だと思っているので。

――確かに、PCなど一つの画面で出演者が切り替わっていくだけの画は、結果的に対バンのような見え方になりますね。

菊竹:あくまで自分はそう感じたんです。なので、我々のイベントの魅力でもある、複数ステージが同時多発的に行われ、そこを回遊できるシステムというのは一番変えたくなかったところですね。だから、オンラインフェスの初期の段階で開催された『ONLINE YATSUI FESTIVAL! 2020』(6月20日、21日に開催)って、すごかったなと思うんですよ。6月の段階でオンラインに踏み切って、複数のレーンを同時多発で行って、しかも全部無料。かじりついて見ていたんですけど、本当に僕の目指すところに近いなと思ったんです。唯一難点があったとしたら、無料でやったということもあって、それぞれ視聴するプラットフォームが違ったんですよね。ニコ生を見てて「次こっちのステージ見たいな」と思ったら、今度はLINE LIVEを立ち上げないといけない。今度こっち見たいなと思ったら、次はツイキャスを立ち上げなきゃいけない。結果「何個ブラウザを立ち上げるんだろう」という気になって、それはすごい勉強になりました。なので、『TIFオンライン』は回遊式にこだわって、一つのプラットフォームでステージの切り売りもしない。しかも1日券と3日通し券しか売らずに。

 でも、めちゃくちゃクレームがきたんですよ。「(チケットが)高い」と(笑)。「1日券が6900円? 高いよ、オンラインで」と。でも、オンラインでのチケット相場って大体3500円ぐらいだと思うんです。

――そうですね。大体それくらいの認識で間違いないと思います。

菊竹:でもそれって、一つのライブで約1時間半とか2時間、ということは時給換算すると約1900円ぐらいなんです。だけど、『TIF』は1日10時間、さらにそれを6ステージもやってるんですよ。ということは60時間、1日券が6900円だから時給換算すると、もう100円くらいなんです。

――ワンコインですね(笑)。

菊竹:ここはちゃんと書いておいてください(笑)。こだわりはそういうところですかね。

――わかりました(笑)。先ほどオンラインにおける視聴のプラットフォームについてお話されていましたが、個人的にも配信ライブを見ていて、結果的にDVDなどの映像作品とあまり変わりないなと思うことがあります。『ONLINE YATSUI FESTIVAL! 2020』の視聴経験も参考になったとのことですが、今回のオンライン開催ではそのプラットホームの整備という点もかなり考えたんでしょうか?

菊竹:本当におっしゃる通りで、配信された映像をサラッと見ちゃうと、ただYouTubeを見ているのと変わらなくなるじゃないですか。だから、「どうしたらいいかな」って考えたとき、世界観を作らなきゃいけないと思ったんですね。フェスの世界観を作って売り出さないと、なかなかこのイベントに没入できないなと。それで、その世界観を作ろうと思ったとき、既存の配信プラットフォームではこれまでと全部一緒になってしまう。そうなったとき、色々な方とお話していると、SPWN(スポーン)という配信プラットフォームがあって。その方々と話をしたら、「基本的に配信の裏側の部分を作ります。なので、表の部分は『TIF』さんの世界観でカスタムして演出しますよ」という話をいただいて。こういう形だったらフェスの世界観を作り込めるかなと思って、今回は独自の『TIF』ライブストリーミング配信プラットフォームを作り、展開しようと思いました。ちょっとまだ作成中なんですけど、アプリの方も作っていて、そのアプリだとグラフィックとかをCGで全部作り込んで、画面をアップして、自分が進みたい方向に進めて、SKY STAGEを見たい時はSKY STAGEに、SMILEに行きたいときはSMILEに入っていく、みたいな能動的な参加ができるようになる予定です。やっぱり配信って“ながら見”になっちゃうじゃないですか。それはそれでいいと思うんですけど、その一方で、どうやって没入感を作れるかとなったとき、直感的な操作ができるかどうかが重要な気がするので、そこもうまく取り入れて。何が正解かわからないですけど、そういう風な形で挑戦してみたいなと思います。

――まさにオンラインだからこそ、ひたすらやり切るということですね。

菊竹:そこで色々挑戦して、たぶん成功するものがあれば、失敗するものもあると思うんです。けど、来年もしリアルに開催できるとしたら、今年のトライ&エラーの付加価値を継承していきたいなと思います。

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