Sexy Zone、Kis-My-Ft2、Da-iCE、DISH//……独自の道を切り開く、10周年迎えた男性グループの功績
DISH//が極めた踊れるロックバンドの道
ジャニーズ一強とも言われていたボーイズグループシーンに、新たな風を吹きこんだ存在のひとつが、スターダストプロモーションが仕掛けたEBiDAN(恵比寿学園男子部)である。その筆頭に立ち、超特急と共に道を切り開いてきたのがDISH//だ。古くはチェッカーズ、そのほかTOKIOや関ジャニ∞も向き合ってきたバンドスタイル。DISH//は、それらとはまた異なる“歌って踊れる”、見ても聴いても楽しいロックバンドとして成熟してきたのである。
活動初期こそ、彼らは“楽器を持ちながら”歌い踊るボーイズグループだった。演奏もするが、パフォーマンスの主軸は歌とダンス。2015年に開催されたDISH//初となる日本武道館公演も、演奏に比重を置いた内容ではなかった。
しかし、2017年元旦の日本武道館公演にて、ドラマーに泉大智が加入したことにより一気に風向きが変わる。メンバーが抱えていた葛藤を昇華するかのように、踊れるロックバンドとして再出発を切ったのだ。
2020年、あいみょんが提供した「猫」を「THE FIRST TAKE」で披露したことで大旋風を巻き起こしたのは記憶に新しいが、現在のDISH//は堂々たるロックバンドだ。ボカロPのくじらやマカロニえんぴつのはっとりといった新進気鋭のクリエイターから楽曲提供を受けつつも、メンバー自身も作詞作曲を行っている。今年2月にリリースされたアルバム『X』に収録された「ルーザー」は、作詞を北村匠海、作曲をメンバー全員が担当し、DISH//が歩んできた10年を感じさせるエッジなロックナンバーへと仕上がった。今後も彼らは、その演奏力を研ぎ澄ませながら、ダンスロックバンドとして培ってきたパフォーマンス力を活かし、オーディエンスを魅了してくれることだろう。
実力でねじ伏せてきたDa-iCEの生き様
前述したアーティストたちは、ジャニーズやスターダストといった大手事務所の所属だった。一方でDa-iCEは、正真正銘ライブハウスから叩き上げられたグループだ。光が当たるタイミングを待ちながら、ライブハウスで奮闘するボーイズグループたちの憧れであるといっても過言ではない。クオリティの高いエンターテインメントには、世間に訴えかける力があると、この10年間で立証してきた。
Da-iCEの持ち味は、なんといっても4オクターブのツインボーカルと圧倒的なダンスパフォーマンスである。一般的なダンス&ボーカルグループはその名の通り、ダンス担当、ボーカル担当が完全に分業されていることが多いが、ボーカルを務める花村想太と大野雄大はパフォーマーと同様にダンスもこなす。しかも、それでいて歌が全くブレないのだ。ピッチを的確に狙っていくことはもちろん、アタックやリリースなどの配慮も忘れず、ハモりの場面では抜群の重なりを響かせる。かつ、圧倒的なスキルで高難易度の楽曲をさも難しくないように魅せてしまうのだから驚きだ。
また、クリエイティビティの高さもDa-iCEの魅力のひとつだ。NissyやFlowBackへ楽曲提供している工藤大輝を筆頭に、メンバーが制作に参加。それぞれが遺憾なくセンスを発揮し、それがDa-iCEの表現として昇華されていく。
8月にリリースされた「Kartell」も、Da-iCEの感性が強く反映された快作となった。攻撃的なサウンドの奥に力強い希望も感じさせるトラック、意図的にカタカナを使い、皮肉たっぷりに綴られたリリックは、この10年という長い月日の中で様々な不条理を実力でねじ伏せてきた彼らの気高さを鮮やかに描写している。時代のスポークスマンであったジェームス・ブラウンが成熟させたファンクをチョイスしている点も興味深く、ここからの10年でさらなる一手を仕掛けようとしている気概も感じざるを得ない。
各々の紆余曲折を越え、10年という節目を迎えたボーイズグループたち。彼らの功績が後発で生まれたグループの道しるべとなっているのは言うまでもない。蓄えた力を発揮し、また新しいドラマをそれぞれが描き出してくれるはずだ。