DISH//「僕らが強く。」はバンドの次なる代表曲に マカロニえんぴつ はっとりと作り上げた“僕らの”歌に込めた思い

DISH//「僕らが強く。」は次なる代表曲に

 DISH//が昨年8月に発表した「僕らが強く。」が、リリースから1年を前に、再び脚光を浴びている。本作は、コロナ禍が始まって間もなく制作された楽曲で、彼らにとって3枚目の配信限定シングル。北村匠海(Vo/G)のエモーショナルな歌声とメッセージ性の強い歌詞が印象的なミドルテンポのロックナンバーだ。大ヒットとなった「猫 〜THE FIRST TAKE ver.〜」に続くシングルとあって、配信前からTwitterでトレンド入りを果たすなどSNSを中心に話題となり、MVは公開から1週間足らずで100万再生を突破。さらに、今年4月29日放送の『奇跡体験!アンビリバボー 誰でも知ってる大ヒット曲の誰も知らない秘密SP2』(フジテレビ系)で取り上げられたことを機に再び注目を集めるようになり、改めてDISH//の次なる代表曲になるのでは、と目されている。

DISH// 『僕らが強く。』MUSIC VIDEO

 本作の作詞作曲編曲は、マカロニえんぴつのフロントマンであるはっとりが手がけた。制作にあたっては、DISH//のメンバーがコロナ禍で「今、伝えたいこと」「想うこと」をそれぞれがはっとりに手紙やメモにして届けたという。それを受け取ったはっとりは“再会”と“愛”をテーマに曲作りを進め、タイトルに掲げた「僕らが強く。」というワードは、北村匠海の言葉の一節を引用したそうだ。

 また、リリース後にはスペシャルサイトでコード譜も公開。SNSに「歌ってみた動画」をアップするユーザーに向けてのものだったが、その後「僕らが強く。~共に歌い、共に奏でよう。~」というプロジェクトとして本格始動。コロナ禍でコンクールやインターハイが軒並み中止になった学生の方々に、演奏することの喜びや力強さを再び感じてほしいという願いを込め、同曲の楽譜を無償で提供するという同企画は、メンバー自らが提案し実現に至っている。異例の試みは瞬く間に拡散され、「素晴らしい企画!」「先生に提案してみんなで演奏したい」など学生たちからの感謝の声はもちろん、「学生だったら絶対に応募していた」「DISH//の思いが伝わる」といった学生以外のファンからの後押しもあり、募集開始から3日間で400件を超える応募が殺到、大反響を巻き起こした。1つの企画を超えて多くの人の心に届いた「僕らが強く。」に、DISH//、そしてはっとりはどのような思いを込めたのか。

 昨年春、新型コロナウイルスが日本でも蔓延し始めると同時に、人々の行動にも“自粛”が求められるようになった。それまで当たり前にできていた、人と会い、好きな場所に出かけて楽しむという行為が突然“自粛”すべきことになり、戸惑わなかった人などいたのだろうか。アーティストとしてライブやイベント出演を数多く見送ったDISH//のメンバーにとっても、それは同じ気持ちだったはず。外出や人との接触が感染につながる病がもたらしたのは、想像もできない“孤独”。制作にあたったはっとりは、「コロナ禍で人と人との繋がりを見つめ直す機会が増えました。いま自分に何ができるのか、誰と会い何を伝えたいのか、そんなことを考えながら楽曲を書き始めた」と語る。

DISH
「僕らが強く。」

 そんなはっとりとDISH//の思いが最も表れているのが〈笑ってたいんじゃなくてね、笑い合ってたいのだ〉〈分かってないことをちゃんと分かち合ってたいのさ〉という部分の歌詞だ。コロナ禍にあっても誰かと生きることをあきらめず、必死に手を差し伸べる。〈友よ涙よ希望よ歌よ、何も死なないでくれお願いだ 逃げ場所を守るためだったら僕も行く、僕らも戦うよ〉と不安な心に寄り添う。ひとりでは乗り越えられないことも、一緒なら立ち向かっていけると鼓舞しながら、〈何度も出会えるからね〉と離れ離れになった人々をつなぎ、いつかまた会おうと約束を交わす。そんな「共に生きていこう」というメッセージは、DISH//のパフォーマンスと一体になることで力強さを増し、孤独の中にいる人を確かに勇気付けた。リリースに際して北村は「この曲は、僕らからの一方的な応援歌ではありません。共に歌いたい歌です。是非聞いてくださる皆さまと共に歌えたらうれしいです」とコメント。歌い手と聴き手の境界をも超え、「僕らの」歌として共有したい、そんな力強い思いが伝わってくる。

 現在、『奇跡体験!アンビリバボー』での反響を受け、「僕らが強く。~共に歌い、共に奏でよう。~」プロジェクト第2弾の募集を受付中。前回同様、コロナ禍で思うような活動ができない学生や音楽サークルに向け、同曲の楽譜を無償で提供する。すでに「仲間やチームメイトとの思い出に使いたい」などのコメントと共に多くの応募が寄せられており、終わりの見えない日々の一筋の光として、この曲が広まっていることが伺える。願わくばいつの日か、大観衆と共に「僕らが強く。」を歌うことができるその日まで。DISH//は音楽を鳴らし続ける。

■渡部あきこ
編集者/フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。

■プロジェクト概要
「僕らが強く。~共に歌い、共に奏でよう。~」プロジェクト(楽譜無償提供企画)第2弾
<募集期間> 2021年4月29日(木)~5月13日(木)
詳細はこちら

DISH// オフィシャルサイト
DISH// OFFICIAL Twitter

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