DREAMS COME TRUE×『ソニック』30年越しコラボの軌跡 ゲームミュージックとJ-POPの融合から生まれたグローバルポップ

 DREAMS COME TRUEからニューシングル『次のせ〜の!で - ON THE GREEN HILL –』が届けられた。吉田美和、中村正人が出演した伊藤園「お〜いお茶」のCMソングとして話題を集めた表題曲は、時間とジャンルを超えた壮大なコラボレーションによって成り立っている。

DREAMS COME TRUE「次のせ〜の!で - ON THE GREEN HILL - DCT VERSION」(Official Video)

 まずはサウンドメイク。タイトルにある“ON THE GREEN HILL”は、約30年前に中村が初めて手がけた、ゲーム『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』BGMのひとつ「Green Hill Zone」に由来している。つまりこの曲は、30年の時を経て実現した、“ドリカム×ソニック・ザ・ヘッジホッグ”のコラボでもあるのだ。

 1991年に発売されたセガのメガドライブ版ゲームソフト『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』は、ハリネズミをモチーフにした“ソニック”が躍動するアクションゲーム。すでに大ヒットしていた『スーパーマリオ』の対抗馬として制作されたソフトだったが、日本よりもアメリカやヨーロッパで広く認知され、誕生30周年を迎えた現在に至るまで多くのファンを獲得し続けている。昨年公開された映画 『ソニック・ザ・ムービー』のヒット(続編は2022年4月に公開予定)によって、さらに幅広い層にも浸透しているようだ。また、東京2020オリンピックで『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』の楽曲「Star Light Zone」が使用されたことも記憶に新しい。

 このゲームの音楽を手がけたのが、中村正人。アルバム『LOVE GOES ON…』(1989年)のリリース後に制作されたというサウンドトラックは、ファンク、ソウル、ロックから世界の民族音楽などを取り入れた作品。中村は『フットルース』や『フラッシュダンス』などのMTVムービーを参考にしたというが、“同時に鳴らせるのは6音”までという制限のなかで、映画の劇伴のようなスケールと広がりを表現したことはまさに偉業と言っていい。サンダーキャット、フライング・ロータスなど海外のアーテイストから高く評価されているのも、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』のサントラの質の高さを証明している。そして、このサントラを象徴する楽曲の一つである「Green Hill Zone」を全面的にフィーチャーして制作されたのが、「次のせ〜の!で - ON THE GREEN HILL - DCT VERSION」というわけだ。

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