あたらよ、「THE FIRST TAKE」で見せたアーティストとしての実像 2020年代ブレイクバンドが辿る新たな道筋

次世代のバンドシーンを担うあたらよの足跡

 バンドシーンに次世代の“物語”の土壌が固まりつつある。

 その予感を抱いたのは、「悲しみをたべて育つバンド。」をキャッチコピーに東京を拠点に活動する4ピースバンド、あたらよのYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」への登場がきっかけだった。

あたらよ – 10月無口な君を忘れる / THE FIRST TAKE

 8月27日に「THE FIRST TAKE」で公開された「10月無口な君を忘れる」は、公開から1週間で再生回数300万回を突破。ニューカマーでありながらも、大きな注目を集めている。そして、この「THE FIRST TAKE」への登場で初めて彼らのバンドとしての実像を目にしたという人も多いだろう。

 結成は2019年9月。シンガーソングライターとして活動していたひとみ(Vo/Gt)を中心に、まーしー(Gt)、たなぱい(Dr)、たけお(Ba)という面々で集まった4人が、2020年11月28日に初めて公開したオリジナル曲が、この「10月無口な君を忘れる」だ。

 最初に公開されたのは「おはよ。朝だよ」というセリフから始まるドラマ仕立てのミュージックビデオ。

あたらよ-10月無口な君を忘れる(Music Video)

 公開から1カ月で100万再生を突破するなどネット上で急速に浸透していったことを経て、2021年3月24日には同曲がストリーミングサービスや各種ストアで配信リリースされる。楽曲はLINE MUSICデイリー1位、TikTok人気急上昇チャート1位、Spotifyバイラルチャート1位を記録するスマッシュヒット。優里が弾き語りでカバーを披露するなど、支持は波紋のように広がっていき、現在のMVの再生数は2400万再生を突破している。

あたらよの【10月無口な君を忘れる】を歌ってみた【cover】
あたらよ「夏霞」

 そこから4月には「晴るる」、6月には「8.8」、8月には「夏霞」、9月には「祥月」と、コンスタントに楽曲をリリースしていく。

 アニメーションの「晴るる」、フィルム調のレトロな映像に写真を組み合わせた「8.8」、ドラマ仕立ての「夏霞」と、様々な手法を用いながら、バンドの描き出すセンチメンタルな情景を掻き立てるようなMVを発表してきた。

 ただ、この時点で、あたらよはまだライブ未経験。“コロナ前”の音楽シーンだったら、こうしたニューカマーのバンドにとっては、フェスやサーキットイベントなどのステージで場数を踏んで少しずつ支持を固めていくのがよくあるキャリアだった。しかし長引くコロナ禍の中で、こうしたイベントの開催は制限が続いている。

 一方、昨年あたりから全く無名のシンガーソングライターやバンドがTikTokでのバズから注目を集める例も続出している。ただ、よくも悪くも流行の移り変わりの波が速いTikTokにおいては、1曲の話題性をアーティストへの継続的な人気につなげていくのは容易なことではない。ネット発のバズを起点に世に知られるようになったバンドほど、ライブの現場での“地肩の強さ”が説得力として必要になってくるわけである。

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