晋平太&ゆゆうた&虹色侍ずま&TATSUYAによるBUZZ LA ZARU O EMAI、“即興”で魅せた1stワンマンレポ

バズマイ、1stワンマンレポ

 しかし時には上手くいかないことも。「カマキリ」をテーマにやってみるものの、カマキリの真似をしながら「シュッシュ!」と歌う歌詞がダサいとボツにされた。それも含めて即興だからこその生々しい面白さかもしれない。そして「四字熟語がいい」という話から、客席と配信視聴者から四字熟語のお題を募り、「幽体離脱」という曲をオシャレでジャジーなピアノに合わせ披露。そもそも四字熟語ではないこととシュールな歌詞によって、演奏はクールなのに面白いという絶妙なバランスの楽曲になった。そして四字熟語の「十人十色」をテーマに続けて即興ソングを披露。ポップで明るい曲調で会場を温かな空気で包んでいく。

 ライブも後半へ。ここからさらにフロアを盛り上げる楽曲が続く。「即興バンドをやっているのに、YouTubeで一番数字が伸びている動画」と自虐しつつ、椎名林檎「丸の内サディスティック」をオリジナルの歌詞でカバーし盛り上げる。そして「全員ブチ上げ」をテーマに〈一等賞 全員優勝〉というサビの歌詞が印象的な即興ソングで、観客のテンションをブチ上げる。本編最後は彼らが最初に即興で作った楽曲「LINE(即興)」を披露。アンコールでメンバーが出てくると、ライブの感想や想いをそのまま音楽にするかのように「アンコール」をテーマに即興ソングを歌い演奏する。ファンはピースを掲げたりと最高潮の盛り上がりとなった。

 作り込まれた、凝った演出のライブも素晴らしい。丁寧に時間をかけて作られた楽曲も最高だ。それと比べると即興ソングによりその場で方向性が変化していくバズマイのライブは、他にはない異質なライブかもしれない。だが「その場で音楽が生まれる瞬間を目にする」という新しいライブの形を作ったとも言える。それは唯一無二で魅力的だった。ライブの前半で「これを武道館でやることが目標」と晋平太は語っていた。それは夢物語ではないかもしれない。バズマイは“即興バンド”というコンセプトが故に先が想像できないライブをやるが、彼らの魅力がさらに広がり大きな会場でライブをやる姿は想像できるのだから。それぐらいに凄みと個性を感じるライブだった。

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