「color」「夏の午後はコバルト」インタビュー
Awesome City Club、「勿忘」ヒットで得た新たな価値観とポップスへの探究心
Awesome City Clubの快進撃が止まらない。
6月29日に「color」、7月6日に「夏の午後はコバルト」(カンテレ・フジテレビ系火曜よる9時連続ドラマ『彼女はキレイだった』のオープニングテーマ)をリリース。いずれも質の高さとエッジーなこだわりが共存した、Awesome City Clubらしいポップソングに仕上がっている。
「勿忘」(映画『花束みたいな恋をした』インスパイアソング)のヒットによりさらに知名度を上げ、本格的なブレイクを手にしつつある3人。今回のインタビューでは、「color」「夏の午後はコバルト」を中心に、現在のモードや活動状況の変化について聞いた。(森朋之)
TikTokでバズって『フジロック』GREEN STAGEに立つバンドって、他にいない
ーー「勿忘」のヒット以降、地上波の音楽番組をはじめ、メディアへの露出が一気に増えました。「いろんなところで見ます」と、よく言われていると思いますが。
atagi:そうですね(笑)。
モリシー:ハハハハ(笑)。
atagi:これまでの活動は制作とライブが主だったから、まったく違うフィールドを体験できるのは新鮮ですね。
ーーテレビ出演のときは、前方でatagiさんとPORINさんが歌ってて、やや後方の真ん中でモリシーさんがギターを弾くというスタイルで。
PORIN:あの形態も「勿忘」からだよね。
モリシー:うん。あの形で演奏したことがなかったから、最初は「自分が真ん中って……」みたいな感じだったんですけど(笑)、今はちょっと板についてきたのかなと。
ーー当然、「勿忘」が多くの人に聴かれている実感も?
モリシー:すごくありますね。僕がやってるコーヒースタンド(東京・永福町の「MORISHIMA COFFEE STAND」)にも「『勿忘』を聴いて、オーサムを好きになった」というお客さんがけっこう来てくれたり。広まってる実感はありますね。
ーーPORINさんはどうですか? 楽曲、ビジュアルを含めて、Awesome City Clubの存在が確実に広まっていると思うのですが。
PORIN:青髪が流行ってるらしいですよ(笑)。『ミュージックステーション』の並木万里菜アナにも「PORINさんの影響だと思いますよ」と言っていただけたりして。
モリシー:そうなんだ(笑)。
PORIN:渋谷とかで、オーサムのMVがビジョンに映ったり、街鳴りもしていて。MVで共演した小学生の女の子に「学校で『勿忘』を知らない子はいない」と言われたのも嬉しかったです。
ーー幅広い層に認知されていると。ヒット曲ですね、まさに。
atagi:自分たちのことだけではなく、曲単体が聴かれるスパンが長くなってる印象もありますね。半年くらいかけて、ゆっくりトップチャートが入れ替わるというか。一度定着したら、根強く聴いてもらえるのかも。
ーーバンドの知名度が上がったことは、その後の楽曲制作や活動にも影響はありますか?
atagi:影響がないと言ったらウソになるでしょうね。まず(「勿忘」のヒットによって)自分たちの一つの像を作り出せたと思ってるんですよ。オーサムの曲をずっと聴いてくれてる人はわかると思うけど、僕らの曲にはいろんなフォーマットがあって。それが伝わりづらさ、わかりにくさにもつながっていたんだけど、一つのスタイルを示せたことは心強いなと。音楽のジャンルというより、男女のボーカルの在り方とか、そういう部分なんですけどね。「男女が歌うんだから、こういうストーリーがしっくりくるよね」みたいな。
ーー一つの型があれば、それに沿うこともできるし、あえて外れたこともできる。
PORIN:そうですね。
atagi:こういうスタイルのバンドは、少なくともバンドシーンにはなかなか見当たらなくて。以前はそれがコンプレックスだったんですけど、今は気にしてないし、これからも枠に捉われない音楽をやっていきたいですね。
ーーモリシーさんの音楽的な志向も幅広いんですか?
モリシー:そうですね。そこまでこだわりはないので。
atagi:そう? めっちゃあると思うけど。
モリシー:(笑)。でも、曲に合わないギターは弾かないでしょ。
PORIN:そうだけど、根っこの音楽もしっかり持ってるんじゃない?
ーーモリシーさんの音楽的なルーツはどんな感じなんでしょう?
モリシー:ギターを弾くようになったきっかけは、B’zの松本(孝弘)さんですね。高校生の頃にブルースのセッションをやるようになったり、いろんな音楽を聴くようになって。でも、「これがルーツ」というのはないかも。
atagi:J-POPのギタリストとは違うけどね。カントリー、ブルース、ロックとか、洋楽のエッセンスを取り入れているので。
ーーモリシーさんのギタープレイも、オーサムの音楽的な幅広さにつながっているんでしょうね。いまやオーサムはJ-POPとバンドシーンの壁も超えていて。
PORIN:TikTokでバズって、『フジロック』のGREEN STAGEに立つバンドって、他にいないと思うんですよ。すごく不思議だけど、自分たちにとっては良い方向に進めてる感じがありますね。これがAwesome City Clubなんだろうなって。
atagi:確かにね。