Awesome City Club、トライ&エラーを経て辿り着いた『Grow apart』 生配信で語った音楽的な充実
Awesome City Club(以下ACC)が2ndフルアルバム『Grow apart』の配信リリースを記念し、初のYouTube生配信を行った。「Awesome Home Club」と題された生配信には、メンバー4人がそれぞれの自宅から参加。ニューアルバムの制作エピソード、思い入れのある楽曲などについてリラックスしたトークが展開された。この配信の内容をもとに、アルバム『Grow apart』を紐解いてみたい。
atagi(Vo/Gt)、PORIN(Vo/Syn)、モリシー(Gt/Synth)、ユキエ(Dr)の乾杯から始まった生配信。最初の話題は、“アルバムタイトル『Grow apart』の由来”だった。『Grow apart』は“すれ違い”“離れて成長する”という意味。1stフルアルバム『Catch The One』(2018年12月リリース)の後、メンバーの脱退、レーベル移籍に直面したACC。「この1年5カ月の間に出会いと別れがあって、いい意味でも悪い意味でも“すれ違い”に縁があった。それ自体をテーマにしてアルバムを作ろうと」(atagi)というのが本作のコンセプトだ。
続いては、メンバーそれぞれの思い入れのある楽曲を紹介。ユキエはアルバムの冒頭を飾る「トビウオ」。心地よいグルーヴをたたえたギターリフ、最新鋭のダンストラックとバンドサウンドが融合したナンバーだ。「何度もしつこく言ってるけど(笑)、『トビウオ』を1曲目に持ってこれたのがいいよね」というユキエに対してPORINは「これまでのACCへの期待を裏切りたい曲を(1曲目に)持ってきたかったんだよね」とコメント。atagiも「いまの音楽業界の流れ、R&Bマナー、ブラックミュージックとはまったく違うアプローチの曲。新しいことをしていると思う」と手ごたえを感じているようだった。
モリシーの“推し”は、「Black & Blue」。厚みのある低音を押し出したサウンド、憂いと切なさが滲み出るメロディが印象的なミディアムチューンだ。「atagiくん、(アレンジャーの)ESME MORIくんと一緒に3人で作ってるときの感じが楽しくて。新鮮さがあったんだよね」と制作時のエピソードを披露。作詞を担当したPORINは「“悲しい曲にしよう”というのは最初からあって。歌詞をメロディにハメるのが難しかったんだけど、atagiさんの歌のニュアンスでいい感じになりました。〈言って、今度いつ会える?〉を女の子の声を入れられたのも良かった。男性目線の曲なんだけど、結局、(女性も)同じことを思っているっていう」と語った。
atagiが挙げたのは、アルバムのリード曲「最後の口づけの続きの口づけを」。男女のツインボーカルというACCの特徴を活かしたポップチューンだ。「この曲が出来るまで、アルバムの完成が見えなかったよね。いままでのACCのデュエットソングを意識しながら、音楽のトレンドの変化に食らいついて、新しいことにチャレンジできたのがデカいなって」というatagiのコメント通り、既存のACCのパブリックイメージを踏まえつつ、サウンドメイク、歌詞の両面においてさらにアップデートさせた楽曲に仕上がっている。
そしてPORINは、自ら作詞した「Okey dokey」をリコメンド(メンバーは“オキドキ”と呼んでいるそうです)。5周年を迎えたACCの現状をストレートに反映したこの曲は、アルバム『Grow apart』において、メンバー自身の生の感情がもっとも強く表れた楽曲と言えるだろう。
「この5年、私たちはいろんなことを経て……泣きそうになるね。本当にACCって。不器用だし、“いい感じかも”というときに2歩くらい下がったり、追い風に乗り切れないこともあって。いろいろあったけど、5年間音楽を続けて、ACCがここにあるのは奇跡だなと思うし、オールOKだなって」と楽曲に込めた思いを話したPORIN。それに対してatagiは「〈時代は僕らに追いつき 新しい波生まれる〉という歌詞がすごいと思った。すごい覚悟だし、PORINだから書けた歌詞だなと」と称賛を送った。
この後は、本作に参加したアレンジャー、トラックメイカーの話題へ。アルバム『Grow apart』には、久保田真悟(Jazzin'park)、ESME MORI、トオミヨウ、田中隼人、永野亮(APOGEE)などのクリエイターが参加、ACCのサウンドの進化に大きな影響を与えている。このことについてユキエは「『アンビバレンス』を作ったときに、初めてESME MORIさんとタッグを組んで。そのときにトラックメイカーと一緒にやることに前向きになれたから、感謝だね」とコメントした。
また、「atagiとPORINの声の重なり方が気持ちいい」というファンのコメントに反応し、「最初の頃は(声が)ぶつかりまくってたけどね(笑)。それも5年間の成果」(PORIN)、「完全な調和ではなく、分離していても気持ちいいところにいけるようになったというか。今回のアルバムからも各メンバーの円熟味を感じてほしい」(atagi)とコメント。アルバム『Grow apart』の音楽的な充実をアピールした。
さらに、この日の生配信のために制作されたという「最後の口づけの続きの口づけを」の“Stay home session”(メンバーの演奏をリモートでつないだアコースティックセッション)を公開。コメント欄には「最高!」「ぜひアーカイブで残してほしい」という声が並んだ。
「シンプルに、超いいアルバムになったと思うよ。自分たちにワクワクできていることも嬉しい」(atagi)という新作『Grow apart』。バンドの体制の再構築、音楽的なトライ&エラーを経て辿り着いた本作によってACCは、新しいキャリアに向かって進み始めることになりそうだ。
■アルバム情報
『Grow apart』
配信はこちら
パッケージ情報
発売日:未定
・初回生産限定盤(CD+Blu-ray)
価格:¥4,300(税抜)
・CD
価格:¥2,800(税抜)
【CD】
1. トビウオ
2. アンビバレンス
3. 最後の口づけの続きの口づけを
4. Heart of Gold
5. バイタルサイン
6. タイムスペース
7. Black and Blue
8. but×××
9. ブルージー
1O. Okey dokey
11. STREAM
【Blu-ray】
Awesome talks –Nice Buddy Tour 2019- 2019.12.24 @ SHIBUYA WWW X
1. 青春の胸騒ぎ
2. 4月のマーチ
3. アウトサイダー
4. 君はグランデ
5. ブルージー
6. タイムスペース
7. アンビバレンス
8. pray
9. Don’t Think, Feel
10.SUNNY GIRL
11.今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる
EN1.Catch The One