lyrical schoolが生み出す“ヒップホップ濃度高め”のグルーヴ FNCY&valknee招いた『MAGIC JAM vol.2』

lyrical school、ヒップホップ濃度高めな一夜

 今年の春に開催されたライブツアー『lyrical school oneman live tour 2021』に続いて行われる、lyrical school(以下、リリスク)夏のツアー『lyrical school summer tour 2021』。その第一弾として、7月17日に東京・恵比寿LIQUIDROOMにてライブイベント『MAGIC JAM vol.2』が開催された。

 2020年11月の『MAGIC JAM vol.1』は、フィロソフィーのダンスとのジョイントライブという形で行われたが、今回の『MAGIC JAM vol.2』はデイタイム(昼公演)の“1st JAM”と、ナイトタイム(夜公演)の“2nd JAM”という2部構成での開催となった。“1st JAM”ではばってん少女隊とアップアップガールズ(2)、“2nd JAM”ではFNCYとvalkneeをゲストアーティトとして迎え、それぞれ“アイドル”と“ヒップホップ”でテーマを分けたリリスクらしいラインナップとなっている。今回はFNCY、valkneeが出演したヒップホップ濃度高めの“2nd JAM”をレポートしたい。

 “2nd JAM”のオープニングを飾ったのは、独自な世界観のリリックやビジュアル&ファッションスタイルで話題を呼び、ズバ抜けた個性と才能でZoomgalsとしても人気を集めている女性ラッパー・valknee。彼女はリリスクのEP『OK!!!!!』と最新アルバム『Wonderland』にそれぞれ作詞で参加しており、リリスクファンにとってもすでにお馴染みの存在と言えるだろう。

 今年3月に30歳の誕生日を記念してリリースされたシングル曲「Sweetie30」からスタートしたvalkneeのステージ。ライブが進むにつれて、フロアとの間にあったわずかな緊張感も徐々にほぐれていき、アイドル好きを公言している彼女ならではのアイドル愛溢れる「SUPER KAWAII OSHI」から「偽バレンシアガ」、さらにMCを挟んで「悪夢」への流れは1つのピークとなった。またMCでは、リリスクの作品に参加できたことが、アイドル好きの彼女にとってどれだけ嬉しいことだったかを熱く語っていた場面がとても印象に残っている。ラストはこれからリリースされる新曲「LIP LACQUER」を披露し、ほどよい熱気に包まれたところで、valkneeからFNCYへとバトンが引き継がれていく。

valknee

 それぞれソロでも活躍するZEN-LA-ROCK、G.RINA、鎮座DOPENESSの3人によるユニット・FNCY。ZEN-LA-ROCKはアルバム『BE KIND REWIND』収録の「LOVE TOGETHER RAP」で作詞を担当していたり、古くは映画『リリカルスクールの未知との遭遇』にも出演するなど、リリスクとは以前より繋がりがある。さらに今年6月にアルバム『Tolerance』をリリースしたばかりのG.RINAは、リリスクと同じく<ビクターエンタテインメント>に所属していたりと、この2組の間には浅からぬ縁があるようだ。

 まず、ZEN-LA-ROCKが一人でステージに上がってDJブースに入ると、前日に亡くなったばかりのラッパー ビズ・マーキーの代表曲「Just A Friend」をプレイ。ユーモア溢れるキャラクターで日本のヒップホップファンからも愛されていた彼への追悼という、FNCYならではのヒップホップ愛に満ちた演出で幕を開けた。今年9月に2ndアルバムのリリースを控えているFNCYだが、今回のライブはこれまでリリースされた1stアルバム『FNCY』やEP、シングルなどの曲で構成されており、1曲目「New Days」から3人の見事なコンビネーションでオーディエンスの心を一瞬のうちに鷲掴みにする。緊急事態宣言下のライブで歓声が出せない状況ながら、オーディエンスを盛り上げるためのテクニックも実に見事。緩急つけながらラストの「AOI夜」まで高い盛り上がりをキープして、FNCYのステージは終了した。

FNCY

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