lyrical schoolが考えるアイドルとラップグループのバランス感覚 それぞれが確信する「今の5人だからできること」

リリスクが考える“バランス感覚”

 ラップ&アイドルというジャンルを切り開いてきた先駆者であるlyrical school(以下、リリスク)が、新たな幕開けとなるEP『OK!!!!!』を完成させた。

 2017年春からスタートした、yuu、minan、hime、hinako、risanoという5人の新体制のもと、2枚のアルバムやシングルのリリース、さらに数々のライブパフォーマンスも重ね、文字通りの“新生”リリスクとして成長と変化を遂げてきた彼女たち。すでにライブではお馴染みの「Bring the noise」やリードシングルでもある「OK!」を含む全5曲を収録した今回のEP『OK!!!!!』は、純粋に“ラッパー”としてのリリスクの魅力を存分に引き出した作品にもなっている。インタビュー中でも語っているように、新体制となった3年目の今だからこそ到達した今作。彼女たちがこの作品に行き着くまでの経緯や、個々の曲のポイントについても、本人たちの言葉によって詳細に迫ってみた。

 なお、今回の取材は新型コロナウイルスの感染拡大が広がる中、政府による緊急事態宣言が発令される以前に、メンバーの安全を十分に配慮した上で行なわれました。出演予定であったライブがいくつも中止になるなど、アーティストとしての活動が大変な状況ではありながら、明るく前向きにインタビューに臨む彼女たちの姿勢に、こちらも勇気をもらいました!(大前至)【インタビュー最後に読者プレゼント&オリジナル動画あり】

新体制後の関係性にも変化「やりたいこととか、方向性が固まってきた」

左から)risano、hime、minan、hinako、yuu

ーー2度目のメジャーデビューとなった昨年リリースのアルバム『BE KIND REWIND』を経て、2020年初リリースとなるEP『OK!!!!!』ですが、結構攻めている感じがしますね。

minan:毎回、アルバムはプロデューサー(キムヤスヒロ)がコンセプトを練って、長い時間をかけて1枚を作っていくのですが、今回はEPなので、メンバーの好きなこと、やりたいこと、挑戦したいことを全部やってみようというイメージで作りました。

ーーリリスクはラップグループとアイドルとの異なる二つの要素を同時に実現している稀なグループなわけですが、今回は特にラップグループとしての部分がすごく強くなってきているなと。例えば、今作では歌のパートの割合が少ないですよね?

minan:たしかにサビの歌やメロディ部分がいつもよりだいぶ減っています。その辺りもEPだから出来ることなのかなと。あとは、今のリリスクのメンバー編成になって、そろそろ3年目になるのですが、この体制でやりたいこととか、方向性が固まってきたんです。だからこそ、今ここで“攻め”のスタイルが出せてきているのかなと思いますね。

ーー今のメンバーになってからの3年の中で、グループ内に変化はありましたか?

risano:めちゃくちゃ変わりましたね。

hime:それこそ最初の1年目とかは、結構アイドル寄りだったんです。歌モノももちろん多かったし。振付もしっかり付いてたので、ライブパフォーマンスとしてもそうだし、衣装とかもアイドルっぽくスカート履いたりしていたので。

hinako:今は振付とかもないので、フリースタイルでパフォーマンスしています。けど、最初の頃は本当におどおどしていて。

yuu:ガチガチでしたね。

hinako:ステージ上に立っていても何も分からなくて、「どうしよう! どうしよう?!」って。今は5人全体の雰囲気を見ながら目と目でコミュニケーションを取り合ったりするパフォーマンスが段々と出来るようになりました。

risano:私は結構何も考えずに、がっつり前に出ちゃったりするので、そういう時は他のメンバーが空気を読んでくれたり。みんなで臨機応変に考えながら、その場その場で動けていますね。

ーー「この人が前に出るぞ」っていうのをちゃんと気配で感じているわけですね?

risano:そうですね。たまに事故るけど(笑)。

ーーやはり、新しく加入した3人によって、グループが大きく変わったっていうのはありますか?

minan:そういう部分は大きいと思います。あとは、その前の編成の時はhimeが一番新しく入ったメンバーだったんですけど、後輩っていう立場だったから、やりたいこともなかなか言えなかったと思うんですよね。それが新体制になってガラッと一新して、個人のやりたいことをどんどん言えるような環境になって。今はhimeがやりたいこともかなり反映されてきているかなと思います。

ーーhimeさんは、先輩として3人が加入してからの変化をどう見ていますか?

hime:歳は一番下なんで、自分が先輩とは思っていないんですが、ラップ色を強くしていきたいとか、振付を無くして自由にパフォーマンスしてみようって思ったのは、今の5人だったらそういう形がハマるかもしれないし、良い方向にいくかもしれないと思えたからなんですよね。もし、この3人じゃなかったら、もしかしたら今も前みたいに振付を付けて、スカート履いてもっとアイドルっぽくなっていたかもしれない。本当に今の5人だから、今回のEPが出来たのかなとも思います。

ーーここからは今回のEPから1曲ずつお話を聞いていきながら歌詞の中で皆さんの好きなフレーズやパンチラインなどもあれば伺いたいと思っています。まずは1目の「OK!」ですが、非常にリリスクらしい、聴いて元気の出てくる曲ですね。

lyrical school /OK! (Full Length Music Video)

minan:「OK!」を制作してくれた方達は何年も前からリリスクに曲を提供してくださっているので、歌詞も楽曲の感じも、“リリスクらしさ”を存分に引き出そうと思って、作ってくれたのかなって。

hinako:歌っていてもめちゃめちゃ楽しい曲です。私の好きな歌詞は〈死ぬまで生きてく Yeah! Yeah! Yeah!〉の部分で、〈死ぬまで生きていく〉って、もう最高じゃないですか。人生を表したような一言で。ライブでも噛み締めながら歌ってます。

hime:私はminanさんが歌っている〈気に入らないなら変えちゃえ/失敗したなら再チャレンジ 倍チャレンジ〉っていうところが好きです。「それって今のリリスクだな」って思うんです。前のスタイルが気に入ってなかったというわけじゃないんですけど、「私らしく変えちゃっても良いかな?」って思って、ライブスタイルとかも変えて。上手くいかなかったところも、努力して再チャレンジして。その分、場数も倍踏んで、倍チャレンジしていったし。だから、ここのラインとかは、私たち5人を表してもらっているなと思います。

ーー歌詞を作っている側も、今のメンバーの気持ちを汲み取っているということなんでしょうかね?

minan:それは本当に、めちゃくちゃ汲み取ってくれています。

risano:私が自分が作詞した時に「こういう曲を書きたいな」って思うような、「そうそう、こういう曲!」みたいな感じの歌詞が多いですね。

minan:あと「この子がこれを言うと、説得力があるな」と思わせるように、そのメンバーらしい歌詞を振ってくれていたりもしますね。

ーー個人的には、曲の最後のほうにある〈人生は何秒 あと何度夏は来るの? 世界って終わるの?〉の部分が、本当に偶然ですけど、今の新型コロナで世の中が混乱している状況と照らし合わせて、少しドキッとする部分がありますね。

minan:たしかにそうですね。でも、うちのグループって、世界が終わる系の歌をこれまでにもたくさん歌っていて。前にも『WORLD’S END』(2018年)というアルバムも出していますし。

ーーけど、このタイミングだからこそ、この曲のポジティブなメッセージが深く届きますね。

minan:はい。逆に気持ちが乗ると思います。

ーー次は「HOMETENOBIRU」です。Young Hastleとの「Cookin’ feat. Young Hastle」という曲でも本格的なトラップに挑戦していましたが、この曲はvalkneeが歌詞、ANTICがトラックを担当していて「Cookin’」以上にかなりハードなトラップチューンに仕上がってますが、この曲を最初に聴いた時、どう思いましたか?

risano:「えっ!これ、やるの?!」って(笑)。

minan:これまでにも挑戦したことがないような曲だし、レコーディングまでの準備もタイトだったので、大変だった部分もありましたが、初挑戦だったのですごく楽しかったです。

hinako:歌詞を書いてくれたvalkneeさん本人が仮歌を歌ってくれていたんですが、その歌い方をどういう風に自分たちで表現できるんだろうと悩みました。今まで使ったことのない声の出し方とか、声に表情を付けるというか。そういうのも初めてだったので、レコーディングは大変でした。

hime:私は以前からトラップに挑戦してみたかったんです。ヤンハス(Young Hastle)さんの曲も楽しかったですが、今回のvalkneeさんも前からファンだったので、すごく嬉しかったです。

ーーちなみに、曲のタイトルでもある“褒めて伸びる”っていうのは、実際、みなさんにも当てはまる感じでしょうか?

hinako:そうですね(笑)。褒められて伸びます。

ーーー褒めて伸びると言いつつ、セルフボースティングというか、自分がどれだけすごいかって自分自身を褒めているわけですけど、それを言葉として発する気分はいかがですか?

risano:ちょっと抵抗が……。

hime:あったの?(笑)

risano:あるある。ちょっと恥ずかしい気持ちがあった。でも、観せる側だから、ライブでも堂々とやってやろうっていう気持ちで今はいますね。

yuu:私も普段はこういう自分ではないんですよ。けど、自分のバースでは〈調子乗っていいんじゃない〉みたいな、普段は抑えている強い自分を出していて。だから、演技じゃないけど、新たな自分を見せられるっていう感じで歌っています。個人的に今回のEPで一番好きな曲なので、ライブで早く披露したいです。

hime:私が好きなのは〈褒めた分だけ伸びてくHigher〉です。私はMall BoyzのTohjiさんが好きなんですが、この〈Higher〉はMall Boyzの曲のタイトルから取ってるんじゃないかなって。valkeeさんと「普段聴いている曲って、多分、同じような感じだよね?」っていう話をしたこともあって。だから、この曲がすごく好きっていうのもありますね。

ーーちなみに個人的に好きなのは〈君にとって一番のアイドルじゃない?〉っていうところで。

hime:あっ、私もそこ、言おうと思ってました。

hinako:(私が)歌ってま~す(笑)。

hime:これを歌っているメンバーがhinakoっていうところが良くて。

risano:たしかに!

hime:同じグループにいながら、hinakoが一番のアイドルだなって思っていて。だから、本当に歌の割り振りなども含めてこの部分が一番強いなと思いますね。

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