TFG、パフォーマンスの隅々まで宿っていた“決意と信念” 心の奥底まで訴えかけた5人体制初ステージ
五感を刺激し、楽しませることをコンセプトに置いているグループ。それが、2019年に結成されたTFGだ。しかしながら7月9日、10日に渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて開催された有観客ライブ『TFG SPECIAL LIVE 2021 - SMASH+-』は、五感が刺激される以上の何かを受け取った気がした。仮に名前を付けるならば、それは“決意”や“信念”だったのではないだろうか。
メンバーが5人になってから初となるステージ。約2時間半のライブには、表現の至るところに彼らの想いが宿っていたように思う。このレポートでは、7月10日昼公演の様子をお届けしたい。
色とりどりのペンライトが煌めくなか、勢いよく吹き出すスモークと共にメンバーはステージに現れた。オープニングを飾ったのは、艶っぽい色気の香る「Dance with Me」だ。2公演目といえど、1年7カ月ぶりとなる有観客ライブに5人は少し緊張している様子もあったが、「Let’s Stay Home!」に入る頃には、そんな雰囲気もすっかり溶けきっていた。情熱的なナンバー「¡Hola! ¡Hola! ¡Hola!」も投下し、出だしからフルパワーなライブを展開。佐藤信長が深い声を響かせれば、前川優希は圧倒的なオーラで魅せる。オーディエンスが声を出せない状況ではあったが、会場にはPARFAN(TFGファンの総称)とのコール&レスポンスが反響しているようだった。
〈『好きになってしまったんだよ』〉という桜庭大翔のセリフにドキリとする「fallin」、あえて振付をつけず真摯な想いをマイクに落とす「彼方のリナリア」を経て、エモーションを掻き立てる「瞬間」へ突入。MCで前川は「今まで歩んできた瞬間に無駄だったことなんてないと歌った曲です」と話していたが、パフォーマンスの全てがその事実を物語っていた。決意の強さを誇示するロックチューン、一切迷いのないサビのユニゾン、気持ちがずっしりと乗っかったコレオグラフ。〈この夢で僕は 勝負する〉のラインが真っ直ぐに飛んできたのは、彼らの想いが歌詞とリンクしているからに他ならないだろう。
中間部では、歌唱とダンスに分かれてのユニットステージも繰り広げられた。歌唱ユニット“のぶれお”は、ヨルシカ「花に亡霊」をカバー。堀田怜央が力強い声で鮮明に情景を描き、佐藤は柔らかい質感で歌う。対照的な2人のボーカルだが、お互いの良さを引き立て合うようなステージングとなった。ダンスユニットも負けじと、各々の強みを活かしたパフォーマンスを披露。坂垣怜次がダンスの楽しさを全身で表現したかと思えば、桜庭は踊りに真面目さを滲ませ、前川は自信満々に華やかさを放つ。TFGが個性豊かであることを、ダンスを通して語ってみせたのだ。