大塚紗英、青春時代を救った音楽創作との歩み 表現の根底にある葛藤と家族への思いを語る

大塚紗英、青春時代を救った音楽創作との歩み

アーティスト兼タレントのDAIGOさんがめっちゃ理想

ーーそうなんですね。歌い手としての自信は、現在どの程度ありますか?

大塚:え〜っ、全然ないですよ(笑)。作ることばかりが好きなので、そこは自分の課題なんですよね。同業の仲間たちに聞くと、みんな歌が好きだから、歌っていくために曲を書き始めたという声が圧倒的に多くて。一方、私はもともと歌いたくない、人前に出たくない、立ちたくない(笑)、けど自分で表現したいという人だったので。ただ、ここまでやってみて歌は好きなんだなとは思いました。歌も作品づくりだと思ったら、だいぶ気が楽になりましたね。

ーーここでちょっとアルバムの話題から脱線します。最初にルーツのお話を伺いましたが、それでは現在進行形で聴いていて、作曲家的視点やシンガーソングライター視点で良いと思うアーティストはいらっしゃいますか?

大塚:口にすると悔しいところがあるんですけど(笑)……Official髭男dismさんって本当にすごいですよね。たぶんあの方々もいろんな音楽を聴いてきて、いろんなタイプの曲を書けると思うんですけど、その上で相当削ぎ落としていますよね。めちゃくちゃJ-POPだし、今までの日本のポップスのフォーマットにがっちりハメているのに、ヒゲダンにしかできないことをやっていて、聴いたらすぐにヒゲダンだとわかる。私はデフォルトがイロモノなので(笑)、ちょっとすごすぎますよね。実は私の恩師が末光篤さんというアーティストさんなんですけど、若い頃に末光先生から「お前はデフォで変わってるから、J-POPとか今はあまり聴かなくていいよ」と言われて。調子に乗ってそれを実践して、我が道を突き進み勝手に作ってきて、これってこういうジャンルだったんだとあとから知ってきたタイプなんです。

 最近TikTokを始めたんですけど、毎日「歌ってみた」動画を投稿していこうと考えていて。イマドキの若い子が何を聴いているのかまったくわからないので、レーベルのスタッフさんに候補曲を送ってもらったんです。そこでの発見が、今は本当に多くて。すごい方は世の中にたくさんいることを再認識できて、その中で自分はどうやって生きていこうかと。別にその人たちと競いたいわけじゃないんですけど、自分にしかできないことをやらなきゃ自分が活動する意味はないと思っているので、今は毎日そこと向き合いながら悔しい思いをしている最中です(笑)。

ーーそういういろんなチャレンジに貪欲な大塚さんが、この先どんな音楽を作っていくのかが気になります。

大塚:自分的には本当に出し尽くしちゃったから、次は……違うベクトルだとわりと思いつくんですけど、しばらくはこれを求められると思うので、このハードルを超えていくのは大きな課題だなと思っています。

ーーここからガラッと変えるのは全然ありだし、それができるし許されるアーティストじゃないかなという気もするんです。

大塚:ありがとうございます。私、いろいろ決めつけちゃうところが自分のよくないところなんですよ。『アバンタイトル』のときは多面的に音楽性が優れているところを見せるのが正義だと思い込んでいたし、今回の『スター街道』ではオモロくてキャッチーで、自分のビジュアルイメージが固まることを正義だと考えすぎている。そうやっていい子でいようとしちゃうところがあるので、自分でこうするべきだと決めちゃうとアイデアが湧く力が弱まっちゃうので、特にここ半年ぐらいはどんどん悪い子になってきていて、自分の言うことすら自分で聞けなくなっています(笑)。

ーーきっとこのアルバムの曲をライブで届けることで、曲の響き方自体も変わってくるでしょうし、お客さんとの相互作用によって大塚さんの中から芽生えるものも変わってくると思うんです。

大塚:確かにそうですね。実はSNSを通じて曲タイトルを発表したときに、「疲れました、こんな会社」が一番反響をいただいたんですよ。私のことを知ってくださっている方って、声優さんとかアニメが好きで、それをたどっていく中で出会ったという方が圧倒的に多くて、皆さん夢を見たいと思っていたんです。そうやってその人たちを嫌な気持ちにさせないようにと勝手に自分で気を遣っていんたんですけど、「疲れました、こんな会社」が一番響いたことで「たまたま好きなジャンルが一緒なだけで、みんな同じように働いていて、同じように会社に対して抱えているものがあるんだ」と改めて気づけました。

ーー僕もこの曲タイトルを見たときに、昔会社を辞めたときのことを思い出しました(笑)。

大塚:あはははは!(笑)

ーー「辞表がお守りみたいなこの感覚、わかるな」と。いざとなったらこれがあるし、どうにでもなるなと(笑)。このタイトルに共感できたことで、アニメファンや声優ファンというところを飛び越えて、1対1の人としてつながれている感がより明確になったんじゃないでしょうか。

大塚:うれしいです。もちろんアニメや声優と関係なく、この曲タイトルに共感できる方に届いてほしいですし、声優アーティストという肩書きに一歩引く人もいるかもしれないけど、常に来るものは拒まずでいたいですし。私自身、声優アーティストと言われることは別に嫌ではないんですよ。ただ、声優をちゃんと頑張っていることも評価されたいし、シンガーソングライターとして見られる土台もしっかり作りたい。だから、今は一旦「声優」と「アーティスト」を分けて考えて、ひとりの人間が2つの異なることをやっている感覚なんです。そういう意味では私、アーティストでもありタレントでもあるDAIGOさんがめっちゃ理想なんですよね。DAIGOさんはアーティストとしても本当にすごくていろんな曲も書けるし、歌ももちろん素晴らしいし。一方で、バラエティ番組に出演したときは常に面白い。DAIGOさんは最初2つに分かれていたものを最終的にひとつに合体させた人だけど、私はそれを最終目標として声優業界でそれを成し遂げたくて。今はそのプロセスを具体化していこうみたいな時期ですね。

■リリース情報
2ndミニアルバム『スター街道』
発売&配信中
購入はこちら

<ライヴ盤(CD+Blu-ray+PHOTOBOOK)>
¥6,050(税込)

【CD】
M1.僕がキスしたらスタンガン
M2.37兆2000億個の細胞全てが叫んでる
M3.田中さん
M4.檸檬サワー
M5.キミをペットにして飼いたい
M6.疲れました、こんな会社

【Blu-ray】
大塚紗英ワンマンライブ『SAE Vo.yage! vol.0 ~出航!~』

【PHOTOBOOK】
豪華36ページフォトブック

<MV盤(CD+Blu-ray)>
AVCD-96722/B
¥3,850(税込)

【CD】
※全形態共通
【Blu-ray】
田中さん -Music Video-
田中さん -Making of Music Video-

<通常盤(CD)>
¥2,750(税込)

【CD】
※全形態共通

<Event Information>
◆「スター街道」発売記念・インストアイベント
<タワーレコード渋谷店5F イベントスペース>
■日時:2021年08月11日(水) 17:00スタート
詳細:https://towershibuya.jp/2021/07/12/155527

<AKIHABARAゲーマーズ本店 イベントスペース>
■日時:2021年8月12日(木)サイン会:16:00開場 / ライブ&トーク18:30開場
詳細:https://www.gamers.co.jp/contents/event_fair/detail.php?id=1812

◆「スター街道」発売記念・購入者限定配信ミニライブ
開催日時:2021年8月31日(火)19:30開場 / 20:00開演
ご購入されたCDにシリアルコードが封入されております。
詳しくは同紙をご覧ください。

■関連リンク
HP:https://saechigo-crew.com/
Twitter:https://twitter.com/osae1010
Instagram:https://www.instagram.com/o_t_s_u_k_a_s_a_e/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCfxVCmWSjk7H6tCjjbSyHXw
TikTok:https://www.tiktok.com/@o.t.s.u.k.a.s.a.e

サイン入りチェキプレゼント

大塚紗英サイン入りチェキを1名様プレゼント。応募要項は以下の通り。

応募方法

リアルサウンド公式Twitterと公式Instagramをフォロー&本記事ツイートをRTしていただいた方の中から抽選でプレゼントいたします。当選者の方には、リアルサウンドTwitterアカウント、もしくはInstagramアカウントよりDMをお送りさせていただきます。
※当選後、住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
※当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。 

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<締切:7月28日(水)>

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