AKB48、新番組『乃木坂に、越されました』はグループの光明となるか? 初回放送で感じた不安材料の数々

AKB48『失恋、ありがとう』初回限定盤(Type C)

 AKB48の新たな冠番組『乃木坂に、越されました 〜AKB48、色々あってテレ東からの大逆襲!〜』(テレビ東京)が7月6日深夜に初回放送を迎えた。

 2019年3月、約9年続いた深夜ラジオ『AKB48のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)が終了。同年9月、冠バラエティ『AKBINGO!』(日本テレビ系)が約11年の放送に幕を閉じる。目に見えてグループの低迷を感じるAKB48に、最後の一撃を加えたのは11年連続で出場していた『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)からの落選だった。キー局地上波レギュラー0という窮地に立たされたAKB48に手を差し伸べたのがテレビ東京である。

 番組の本格スタートは、本日7月13日の放送回から。#0の初回放送は番組のプロローグとして、AKB48の歴史を振り返る特別版が放送された。

 テレビ東京スペシャルプロジェクト「乃木坂の上の雲」と題したVTRでは、前田敦子、指原莉乃、山内瑞葵の3名を軸にして15年余りのグループの歴史を振り返っていった。しかし、そのほとんどが前田と指原を中心にしたパート。57枚目シングル曲「失恋、ありがとう」で初のセンターに選ばれるものの、コロナ禍によって涙の1年を過ごした山内にフォーカスが当たるのは、ラスト4分弱。その中には1年半ぶりのリリースとなる58枚目シングル『根も葉もRumor』の選抜発表も含まれていた。

 オンエアを観た率直な感想は「誰をターゲットにした番組なのだろう」ということだ。はっきり言ってしまえば、視聴者のほとんどが長年AKB48を追いかけてきた熱心なファンであろう。それでも少なからず『乃木坂に、越されました』という自虐的なタイトルに釣られてやってきた坂道ファン、さらにしばらくAKB48からは離れていたが久しぶりに観てみようかな、というかつてのファンも視聴していたはずだ。

 そういった層に向けて、今のAKB48の魅力をアピールするVTR、例えばIZ*ONEでの活動を終えたばかりの旬な本田仁美や先述した山内にもっとフィーチャーする時間があってもよかったのではないか。その方がお馴染みの映像を垂れ流したり、時代に逆行した常套句で乃木坂46を煽るよりは効果的だったように思う。世代交代やスキャンダル云々以前に、こうしたAKB48を取り巻くセンスや体質がそもそもの低迷の原因だと考えられる。「最近はほかのグループがこうだから私たちはなんとかでって、そういうことじゃなくてもっと明るい話をファンの人が聞けるようにしないと」と過去に指原が指摘しているのは、今のAKB48に向けたいいヒントである(※1)。

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