EXILE TAKAHIRO、新生EXILEを牽引する“深みのある美声” スランプ乗り越え挑戦し続ける、LDHを象徴するボーカリスト

EXILE TAKAHIRO、LDHを象徴する歌声

 1999年、パフォーマーのHIRO(EXILE HIRO)を中心に、MATSU(松本利夫)、ÜSA(EXILE ÜSA)、MAKIDAI(EXILE MAKIDAI)、ボーカルSASAの5名で、EXILEの前身グループ・J Soul Brothersを結成。2001年、SASAの脱退に伴い、ボーカルのATSUSHI(EXILE ATSUSHI)とSHUNが加入すると、“愛・夢・幸せ”を歌うEXILEの壮大な物語が幕を開けた。だが、2006年3月29日、SHUNのグループ脱退と共にEXILE第一章が完結。それでも、人気絶頂の彼らは活動を止めることなく、同年6月には、ÜSAやMAKIDAIが所属するヒップホップユニット・RATHER UNIQUEの一員だったパフォーマーのAKIRA(EXILE AKIRA)が加入。EXILE第二章の最後のピースとなったのが、新ボーカルを選出するためのオーディション『EXILE VOCAL BATTLE AUDITION』を勝ち抜いたTAKAHIRO(EXILE TAKAHIRO)だった。加入当初は末っ子として愛されていたものの、オリジナルメンバーが全員勇退した新生EXILEにおいては、グループの顔としてメンバーを牽引している。その軌跡と魅力について、EXILEの歴史と絡めながら紹介していく。

 EXILE TAKAHIROは、1984年12月8日生まれ。山口県出身で、長崎県佐世保市で育った。小学生の時から10年に渡って続けていたという沖縄空手では、中学生の時に日本武道館で行われた全国大会に出場(※1)。同じく、小学生から始めたという書道も八段の腕前で、2014年には特技の絵画と合わせて個展を開催するほど。小学1年生の時には、『ドラゴンボール』の孫悟空に憧れ、「神社に行って練習してましたよ、『かめはめ波、出ろっ!』て」(※2)という可愛らしいエピソードもありつつ、子どもの頃から文武両道を地で行く存在だったようだ。だが、意外にも憧れの仕事や現実的な夢はなく、美容室を経営していた両親の背中を追うように、自分も美容師の道へ。高校卒業後は福岡県の美容専門学校に進学し、専門学生時代には福岡県の美容技術選手権で優勝したことも(※3)。その実力が買われ、就職を機に20歳で上京すると、表参道にある有名美容院で働くようになった。

 一方で、彼の運命を変えるEXILEと出会ったのは、まだ地元で暮らしていた高校生の時。2001年にHIRO率いるEXILEがシングル『Your eyes only ~曖昧なぼくの輪郭~』でデビューすると、いち早く興味を持った妹がEXILEとTAKAHIROを引き合わせ、TAKAHIROはどんどんEXILE沼にハマっていった。その結果、メンバーのプロフィールや雑誌を読み漁り、「メンバーの皆さんの癖とか好きな食べ物とかは知ってました」(※4)という熱狂的なEXILEファンが誕生。東京で美容師として働いていた頃も、EXILEのライブチケットが運よく入手できた際には、“EXILE熱”を理由にお店をサボってライブに足を運んだこともあるそうで(※5)、生で観たEXILEのパフォーマンスに感化され、歌手に憧れるようになったという。また、上京をきっかけに「地元にいるときはテレビの向こう側に過ぎなかった世界が、そんなに遠くないところにあるっていう感覚になってきた」(※6)ことも、芸能界に興味を持った理由の1つ。これまでは美容師として自立することだけを考えていたTAKAHIROだったが、改めて「人生について考えたときに『一度きりの人生、後悔はしたくない』と思って、以前から興味があった歌手を目指すことにした」(※7)と語っている。

 しかし、美容師として働きながら新たな夢に挑戦することは難しく、歌手を目指すために美容院を退職。2年というリミットを決め、日給をもらえる力仕事のバイトをしながら、オーディションに臨んだ。「特にレッスンは受けていなくて、力仕事の現場で大きな声でEXILEの曲を歌っては、うるさい!って怒られていました」(※8)と、当時を振り返る。そんな中、2006年6月にEXILEが新ボーカルを選出する『EXILE VOCAL BATTLE AUDITION 2006 ~ASIAN DREAM~』の開催を発表。同年9月22日、現在DEEP SQUADのリーダーを務めるTAKA(当時はCOLOR)や、現在はEXILE/EXILE THE SECONDのボーカルを務めるEXILE NESMITH(オーディション後に新生J Soul Brothersに選出)など、実力者が顔を揃える最終決戦・日本武道館にて、新ボーカルの座を射止めた。メンバーに決定した直後から、いきなり分刻みのスケジュールが押し寄せ、デビューして3日後には音楽番組『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』(フジテレビ系)の生放送に出演。本名の田﨑敬浩ではなく、EXILEのボーカリスト=EXILE TAKAHIROとしての日々が始まった。

EXILE タイムマシーン #1

 その後も、EXILEは出会いと別れを繰り返しながらモンスターグループへと進化していく。まず、2009年にはJ Soul Brothers(二代目)の全メンバー(KENCHI、KEIJI、TETSUYA、NESMITH、SHOKICHI、NAOTO、NAOKI)が加入し、EXILE第三章が開幕。2013年いっぱいでリーダーのHIROが勇退すると、2014年には『EXILE PERFORMER BATTLE AUDITION』を勝ち抜いた岩田剛典、白濱亜嵐、関口メンディー、世界、佐藤大樹が加入。第四章が開幕したのも束の間、2015年にはEXILEの黎明期を支えたMATSU、ÜSA、MAKIDAIが勇退した。それから5年半が経った2020年11月、最後のオリジナルメンバーとなるEXILE ATSUSHIがソロ活動専念を発表し、次世代のメンバーのみで構成される新生EXILEが誕生した。そのため、それまではソロ活動や派生ユニットで各々の個性を発揮しつつ、EXILEとしては“オリジナルメンバーが築いたEXILE”を守りながら活動してきた彼らだったが、現在はEXILE TRIBEのリーダーを務めるEXILE AKIRAと、彼の唯一の同期であるEXILE TAKAHIROを中心とした“攻めのEXILE”に変化。楽器演奏あり、DJあり、パフォーマーによるラップあり……と、メンバー一人ひとりのストロングポイントを活かしたパフォーマンスで、新たなEXILE像を創り始めている。EXILEに加入したばかりの頃、慣れないアーティスト生活の中で「お互いを励ますための面白画像を送り合ったりもしていました(笑)」(※9)というEXILE AKIRAとEXILE TAKAHIROが大所帯となったEXILE TRIBEを率いていると思うと、実に感慨深い。

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