EXILE TAKAHIRO、新生EXILEを牽引する“深みのある美声” スランプ乗り越え挑戦し続ける、LDHを象徴するボーカリスト

EXILE TAKAHIRO、LDHを象徴する歌声

 EXILEのボーカルとして実力を磨きながら、2013年6月26日にはシングル『一千一秒』でソロデビューを果たしたTAKAHIRO。EXILE TRIBEの中ではクセが少なく、耳馴染みのいい美声と言えるだろう。『EXILE VOCAL BATTLE AUDITION 2006 ~ASIAN DREAM~』の時はボーカル経験がなかったこともあり、さらに素直な歌い方だったが、歌手や俳優としてキャリアを積むにつれて色気のある息遣いや哀愁が加わるように。年々歌声に深みが増している。

 とはいえ、今のスタイルに辿り着くまでには長い時間がかかったようで、2006年のEXILE加入以降、7年に渡ってスランプに陥っていたというから驚きだ。過去のインタビューでも「しゃべっている声は出るんですけど、メロディーになった瞬間にその域が出ない」(※10)と、発声障害に似た不調に悩まされた過去を明かしていた彼は、今年5月に出演した『人志松本の酒のツマミになる話』(フジテレビ系)でも、デビューして目まぐるしく変わる環境の中で「自分のモニターの環境とか、音作りが上手くできなくて、自分の思っている歌が全く歌えなくなってきた」と、歌手としての自信を失っていたことをカミングアウト。その後、自力で障害を乗り越え、スランプを抜け出したと自覚したのはつい3~4年前だという。「今がピークで楽しい」と語る姿に、ホッとしたファンも多いことだろう。

 また、EXILE TAKAHIROのソロとしては「運命のヒト」(『EXILE VOCAL BATTLE AUDITION 2006 ~ASIAN DREAM~』で加入が決定したEXILE楽曲のセルフカバー)や「一千一秒」のような切ないバラードが印象的だが、もともとロック好きで生粋のGLAYファンだったことから、2012年4月にはGLAYのHISASHIをはじめとする豪華メンバーと、ロックバンド・ACE OF SPADESを結成。新生EXILEにおいても楽器演奏を得意とするEXILE SHOKICHI・EXILE NESMITHとの3ボーカルになったことから、エモーショナルなシャウトが映えるロックチューン「RED PHOENIX」を発表した。さらに2007年には、アルバム『EXILE EVOLUTION』収録の「Dream Catcher」で初めての作詞に挑戦。ドラマ『戦力外捜査官』(日本テレビ系)で俳優デビューした2014年には、ソロとして発表した2ndシングル『Love Story』に初めて作詞作曲を手がけた「Feelings」が収録された。先述した通り、加入時から悩み続けたスランプから解放されたのが2013年頃だとすると、初挑戦尽くしの1年が、彼に良い刺激を与えてくれたのかもしれない。

EXILE TAKAHIRO / 「運命のヒト」 (Music Video)
EXILE TAKAHIRO / 一千一秒 -short version-

 末っ子キャラとして可愛がられていた加入時から一転、現在のEXILE TAKAHIROのキャラクターはムードメーカー。EXILE TETSUYAが「TAKAHIROくんは、常に元気で、いると周りの人間が自然に笑顔になる。元気をくれますね」(※11)と語るように、バラエティ番組に出演する機会も多い明るい性格だ。だが、その本質は古風で硬派な九州男児。後輩の中では『HiGH&LOW』の雨宮兄弟役としても知られる登坂広臣(三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)と特に仲が良いのだが、本人曰く「グループは似た2人だとダメなんですよ。僕と登坂でEXILEみたいなのをやれたかというとやれていないと思う。自分ら2人とも柔ではなく剛のタイプ」(※12)とのこと。一見ふざけているように振る舞いながらも、打ち解けた仲間とは全力で向き合う熱い男のようだ。その上で、後輩が増えてきたEXILE TRIBEにおける自分の役割は、「自分が感じてきた悩みとかを話してあげること」。後輩達から良い刺激を受けつつも、自分が悩んだ経験を踏まえて「みんなが絶望的に苦しむ方向に行かないようにケアしていきたいですね」(※14)と見守っている。

 自分自身がEXILEのファンだからこそ、EXILEの歴史、名曲、先輩達の想い、“Love, Dream, Happiness”の精神など、全てを受け継ぎ、走り続けるEXILE TAKAHIRO。今では“ボーカルも踊る”ことが定番とされるEXILE TRIBEだが、EXILEの中央で、凛とした佇まいで歌う彼の存在が、EXILEのアイデンティティを象徴している。

EXILE / RED PHOENIX(from Single「RISING SUN TO THE WORLD」/ EXILE TRIBE)

※1:https://www.j-wave.co.jp/original/tokiohot100/guest_past/past_20061217.htm
※2、6、8:https://www.tokyoheadline.com/386338/
※3、7:https://www.nikkansports.com/entertainment/news/1881464.html
※4:https://www.j-wave.co.jp/original/tokiohot100/guest_past/past_20061217.htm
※5:https://thetv.jp/news/detail/205820/
※9:https://times.abema.tv/onlinelive/news-article/8651664
※10、12〜14:https://hochi.news/articles/20201225-OHT1T50101.html
※11:https://www.vivi.tv/post19855/

■斉藤碧
エンタメ系ライター。
ダンス&ヴォーカルグループ、アイドル、ロック、ヴィジュアル系、俳優などジャンルレスで執筆中。V系雑誌「Stuppy」では編集も担当。
Twitter(@stmdr38)

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