荻原梓のチャート一刀両断!
米津玄師、“攻めた”音作りのラブソングでシングルチャート首位に NMB48、三代目JSBも好調
参照:https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2021-06-28/
最新のオリコンチャートによれば、米津玄師の『Pale Blue』が156,438枚を売り上げ1位を記録。続いてNMB48の『シダレヤナギ』が133,931枚で2位、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEの『100 SEASONS / TONIGHT』が66,199枚で3位となった。1位の米津が2位に僅差で競り勝つ週となった。
「Pale Blue」はテレビドラマ『リコカツ』(TBS系)の主題歌として書き下ろされた米津玄師の最新シングル曲。『馬と鹿』以来となる約1年8カ月ぶりのパッケージシングルで、同曲は週間デジタルシングルランキングでも1位を記録している。男性ソロアーティストの作品がCDとデジタルの両方で同時に週間1位を獲得するのは、自身が『Flamingo / TEENAGE RIOT』で記録して以来2年8カ月ぶりの快挙だそうだ。(※1)
表題曲のサウンドは、近年の米津作品に関わっている坂東祐大による繊細かつダイナミックなオーケストレーションを土台として、序盤から中盤にかけての重厚感あるアレンジから、終盤に3拍子に変化して踊るようなワルツ調へと変化。全体的に現代的な要素よりもクラシカルな側面が強く、ピアノやストリングス、ティンパニといった伝統的な音を駆使して歌い手の心象を極めてドラマチックに描き出している。
歌詞は、各種メディア等のインタビューにて「久しぶりにラブソングに真っ向から向き合った」と語っている通り、恋をした・する主人公の内省的な世界観が表現されている。特に、〈ずっと 恋をしていた〉の過去形から、最後に〈ずっと 恋をしている〉と現在進行形になり、景色が鮮やかに移り変わる展開が見事だ。また、恋というものを“痛み”や“苦しさ”といった言葉を伴う形で登場させている点にも彼特有のアプローチの仕方を感じる。いわゆる「モノクロの世界が君と出会ってカラフルに〜」的な、ありがちな表現は安易に用いず、極力詩的に、それでいて生々しく恋する気分が綴られる。結果、〈忘れられないくらいに抱きしめて〉と、ここまでストレートに彼が言い切るのも珍しいほどに、聴き手を引き込むパワーを持った作品に仕上がっている。