RIRI、Friday Night Plans、Doul、RAKURA……才能で海外と日本の壁を打ち破る本格派R&Bシンガー
また昨今、新たなムーブメントの発信地となりつつある福岡から2人の10代シンガーが登場したことも大きなトピックスだ。
2020年デビューのDoulは音楽のみならずファッションや映像においても、自己プロデュースを徹底するアーティストだ。毎月ペースの新曲リリースでその音楽を世に放ち、Spotifyによる「RADAR:Early Noise 2021」にも選出され、多方面から注目を集めている。挑戦的なアティチュードを込めたリリックやローの効いた声質と耳を奪われる滑らかなライミングなど、年齢で括る意味すらも無効化する程に圧倒的な表現力を誇っている。
今年に入ってからの新曲でも多様な自己演出が光る。最新ナンバー「We Will Drive Next」スローなテンポになめらかなボーカルが絡みつき、次第に激しく重たいギターが轟き始めるドープな1曲だった。自分をどう見せるか、聴かせるか。その最重要な一点に立脚したアーティストシップはどこまで届いてしまうのだろうか。
最後に紹介したいのはRAKURA。昨年、高校在学中にデビューし、制作はZOOM中心で進めるなど今の時代を象徴するようなフレキシブルな活動で幕を開けたシンガーだ。
幼少期から劇団で活動し表現力を磨き、ティーンになってからは先述のRIRIやSIRUP、iriといった現行のJ-R&Bシーンに影響を受けた彼女の魅力はその多彩な表現力にある。語尾やフェイクに至るまで歌唱の引き出しは数多く、晴れた青空も妖しげな夜をも表現してしまう歌声は勿論のこと、曲世界をダンスでも見事に拡張するなどマルチな才能を開花させつつある。
サウンドプロデューサーRa-Uが手がけるトラックのバリエーションも相まって、1stアルバム『In me』は、1人のシンガーのEPとは思えないほど彩り豊かな作品になっている。これまで培ってきた振れ幅を存分に体現しながらラストの「the song」でアコースティックギターの調べで母への感謝を歌うというナチュラルな部分も見せ、様々な一面をアピールする一作となった。
5月からはEP収録曲のEnglish Ver.のリリースを開始。原曲ではニューウェーブサウンドにカッチリとした日本語詞がはまっていた「Runaway」も、英語詞に置き換わりその攻撃性が倍増するなどその変化もユニーク。6月17日には「Teenage-Dream -English Ver.-」をリリース。元より英語として聴いてもおかしくないようなスムースな歌唱が特徴的だったが、このバージョンではうねるような言葉運びで弾けるメロディをよりポップで軽快なものにブラッシュアップさせているように聴こえる。YouTubeで公開しているMVには、すでに海外リスナーからのコメントも数多く寄せられているが、今後はさらに元来のグローバル志向を伸ばした活躍に期待したい。
今回紹介した4名に共通するのは自らの嗜好を貫き通すセルフプロデュース力、それを実現するためのアプローチ力だろう。境界が融解、評価基準がフラットとなったこの広大な世界へで大活躍する瞬間は目前に迫っているのだ。
■月の人
福岡在住の医療関係者。1994年の早生まれ。ポップカルチャーの摂取とその感想の熱弁が生き甲斐。noteを中心にライブレポートや作品レビューを書き連ねている。
note:https://note.com/shapemoon
Twitter:https://mobile.twitter.com/shapemoon
■リリース情報
「Runaway -English Ver.-」
Lyrics:Matthew Masaru Barron , Ra-U
Music & Arrange:Ra-U
Music Label:asistobe
ストリーミング&ダウンロードはこちら
「Teenage-Dream -English Ver.-」
Lyrics:Matthew Masaru Barron , Ra-U
Music & Arrange:Ra-U
Music Label:asistobe
ストリーミング&ダウンロードはこちら
RAKURAオフィシャルサイト
http://rakura-official.com