超特急、8号車と過ごすライブという“居場所” 1年4カ月ぶりの再会果たした「Hoopla!」レポート

超特急「Hoopla!」レポート

 昨年2月に行われたファンクラブツアー以来、1年4カ月ぶりとなる超特急の有観客ライブ。『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2021 SPRING「Hoopla!」』と名付けられたこのツアーの初日は、ステージと客席、双方から寄せられる想いが会場を満たす、なんともあたたかい公演となった。音楽と笑顔でひとつになり、しっかり手を取り合うようにして再出発ともいうべき一歩を踏み出した5人と8号車(超特急ファン)。もちろんこの日を待ちわびていた両者の興奮は最初から爆発していたし、再会出来たことへの喜びも、言葉や声を超える熱気となって渦巻いていた。「騒ごうぜ!」というタイトル通りのテンションがそこにはあった。だけどアンコールを終えた時に残ったのは、お互いの存在や気持ちをちゃんとまた確かめ合うことが出来たというある種の安心感や、彼らにとっても8号車にとってもかけがえのない、ライブという場所に戻ってこられた喜びを噛みしめるような空気感だったからだ。一方的に作り込み、完成度だけを重視してパフォーマンスしていくのではなく、超特急らしい優しさというか、誰1人置いていくことなく連れていくからね、という根本的な愛が作り上げた初日でもあったように感じた。

 今回レポートしている初日を含め、3日間の公演が行われた神奈川・ぴあアリーナMM。その後の兵庫・神戸ワールド記念ホールもそうだが、どちらも巨大な会場ということで、セットはとにかく華やかでポップだし、どの角度から注目しても視覚的な楽しさが途切れないように組まれている。前半戦は照明の攻め具合も絶妙で、実際の会場で見るライブだからこその心地いい眩さが、ワクワクする気持ちをさらに高めてくれた。「What’s up!?」で「みんな、会いたかったよー!」の声とともに打ち上がった花火や、「Kiss Me Baby」で立ち込めたスモーク、「Drive on week」のレーザーなど、ライブ会場にいるからこそ体感出来る演出も目白押し。メンバーにとっても、「超えてアバンチュール」などでステージへ向けられるペンライトの圧倒的な光のレスポンスは、目の前にいる8号車のダイレクトな声援となって感じられていたはずだ。他にも、「Pretty Girl」では客席に背を向けた女の子のマネキンに仕込まれたカメラに向かい、5人が全力でアピールしながらバラを渡す演出があったり、新旧のナンバーを織り交ぜたメドレーで魅了していったりと、見どころも聴きどころも満載のセットリストで進んでいく。夏気分全開の5人による映像に続き、舞台裏に組まれた夏仕様のセットから「Summer love」を始めるあたりは、年末のオンラインライブでの経験も生かされてのことだろうか。「ライブといえば、これ!」というベーシックな演出に加え、より自由に、自分たちらしいライブのやり方を見つけながら前進しているのがよくわかる前半戦だった。

 MCでは、今回の衣装はタクヤが担当したことや、「Hoopla!」のロゴのデザインをカイが手掛けたことなどをトーク。またカイが髪色を変えたことや、タカシが「最初はマネージャーからも気づかれなかった(笑)」というくらいバッサリ髪を切ってイメージチェンジしたことなどにも触れていたが、この「5人のワチャッとした感じを見守る8号車」という景色も久しぶりで微笑ましい。その一方で、本来であればこの会場は去年のツアーで立つはずだった場所ということから、演出などを手がけるユーキが「シンプルに楽しんでほしいと思った。楽曲は今回がたぶん最多。宝箱のように詰め込んだ、スペシャルで2度とないものになっていると思う」と、このツアーにかける思いを口にしていたのも印象的だった。

 次のブロックでは「8号車が選んだランキングコーナー」ということで、「会えない時期に聴いた曲ベスト5」、「セクシー曲ベスト5」のそれぞれ1位となった「a kind of love」と「We Can Do It!」を披露。納得したり突っ込んだりしながら、8号車と一緒にアンケートの結果を楽しんだ。「もう一度見たい、聴きたい曲コーナー」では、まずカイとリョウガによる「LIBIDO」を。思わず突っ込みたくなるような色気たっぷりのパフォーマンスで、昭和歌謡のムード漂う曲の世界観を作り上げた。タクヤの「Cosmic岬」は1stアルバム『RING』のツアーでお披露目された楽曲ということで、今回はその時の映像をバックに歌うという場面も盛り込まれていた。ユーキとタカシによる「キャンディ・ナイト」も同ツアーで披露されていた楽曲だが、おそらく衣装は当時使っていたものだろう。8号車にとっては、懐かしくて嬉しいサプライズになったのではないだろうか。

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