超特急、結成10年目にして初の試み「コント×超特急」 たくさんの元気や笑顔を届けるための挑戦

結成10年目の初の試み「コント×超特急」

 超特急がフジテレビのコント制作チームとタッグを組んで作り上げる、「コント×超特急」。地上波の番組やネット配信、ソーシャルメディアとも連動させながら、超特急の5人が初めて本格的なコントに挑戦していくという企画だ。これまでも彼らのファンである8号車を楽しませるためのアイデアを日々模索し、個人としてもグループとしても、様々なメディアを通して全力で個性を爆発させて来た5人。トーク力や笑いに対するポテンシャルの高さも至るところで目にして来ただけに、結成10年目にして挑むこの初の試みは、8号車にとってもメンバーにとっても待ちに待った企画と言えるのではないだろうか。

 4月29日、本来ならば有観客で行われるはずだったリアルイベントが、急遽無観客のWEB配信ライブとして開催された。観客の笑いがない中でコントをやり切ることは、おそらくベテランのお笑い芸人であってもかなりハードルの高いミッションだろう。しかしその一方では、客席のリアクションに左右されることなくネタに集中出来るとも言えるわけで、この日の5人はまさにその利点を最大限に活かしながら笑いを誘い、時に暴走しながら(笑)、初のコントライブに挑んでいたように思う。

 舞台は、チャラい男を絵に描いたような3人組――リョウガ、ユーキ、カイが喫茶店で延々と身のない会話を繰り広げるシーンからスタート。スベってもボケ続け、ダジャレにダジャレを重ねながらウェイウェイ言ってる3人は待ち合わせに遅れているタカシからの電話で『泥水みたいな恋をした』という映画の話を聞き、ノリで見に行くことにする。そこからコントの舞台はこの映画の内容へとスライドし、リョウガ扮する“粟くん”とタクヤ扮する”布ちゃん”のラブストーリーが始まっていった。

 大学からかっぱらって来たという備品のトイレットペーパーを大事そうに抱え、好きな言葉は「半額シール」だと微笑む布。いきなりホテルに誘うも断られ、「好きな言葉は仕送り。仕送りは人類が生み出した最大の発明です」なんてことを笑顔でさらりと言う粟。あり得ないようなレベルの接点で意気投合した2人は音楽の趣味も一致していたようで、夜のダンスタイムがずっと続けばいいのに(通称:ヨルダン)の話題で盛り上がっていく。2人は偶然にもそのヨルダンが出演する音楽番組を観覧予定だったということで、次の舞台は、全ての会話をLINEスタンプで成立させるヨルダンのボーカルsujikoに扮したタカシが「MAJIなんなんだ」を歌う音楽番組の出演シーンへ。センターで歌うタカシはもちろん、司会役のカイ、アシスタント役のユーキ、プロデューサー兼キーボード役のリョウガなどそれぞれの役作りがとにかく細かくて、どこを見ても笑ってしまう。粟と布がデートする競馬場のシーンで登場して来た、クセの強いキャラクターたちも然り。競馬新聞を片手に絡んでくる予想屋のユーキ、オネエキャラで2人の仲を邪魔しに来たカイ、姫君と呼ぶ等身大の抱き枕を抱えたオタクのタカシなど、キャラ設定はどれもアクが強めでやり過ぎなくらいだけどむしろ清々しいほどの突き抜けっぷりだ。カメラが抜くからこそ強調される面白さもわかっているし、逆にカメラを向けさせるくらいの勢いで立ち回ることもできる5人だからこそ成立する掛け合い。もし会場にたくさんのお客さんがいて、何も気にせず大声でリアクション出来るとしたら、おそらく笑い声や歓喜の悲鳴(!)でセリフが聞こえなくなっていたのでは(笑)? 現場ではきっと、それほどの熱量が生まれていたはずだ。

 競馬場の床に捨てられた馬券を拾って万が一に賭けたり、売れそうな粗大ゴミに目星を付けたり、落ちているパチンコ玉を集めたり。そんな風にしながら同棲生活を続けて来たが、いつしか価値観がずれ始める2人。仕事を優先し始めた粟に対して布が「私は、楽しいことだけしてたいよ」と大真面目に言うセリフがあったが、一瞬コントであることを忘れてしまうほどの迫力と説得力。幕間に舞台裏で繰り広げられたフリートークの場でユーキも「続きが気になって仕方ない!」と言っていたくらい、たとえ“泥水”のようであっても(笑)、2人の純愛はいつの間にか目が離せないものになってしまっていた。

 そのフリートークの場では、タクヤが粟と布のキスシーンは本当にしようと言ったけどさすがにやめてくださいと言われたことを明かしたり、カイが競馬場のシーンはほぼアドリブだったなどの裏話も披露。リアルタイムで寄せられる8号車からの反応を拾っていくなど、生配信ならではのコミュニケーションタイムも設けられていた。また事前収録された『THE FIRST TAKE』は、歌ではなく、出されたお題に一発撮りのモノマネパフォーマンスで応えるというコーナー。他にもメンバーカラーのジャージで5人が踊るジングルのような映像を差し込むなど、コント“ライブ”でありながらコント“番組”としても楽しめる構成になっていた。

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