imdkmのチャート一刀両断!
GRAPEVINE、AJICO......ベテランが放つ“瑞々しさと頼もしさ” ロックバンドが席巻したアルバムチャート
参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2021-06-07/
2021年6月7日付のオリコン週間アルバムランキングで首位を獲得したのは、『TVアニメ「鬼滅の刃」竈門炭治郎 立志編 オリジナルサウンドトラック』で、推定売上枚数は24,039枚。続く2位にはKen Yokoyamaのニューアルバム『4Wheels 9Lives』が15,868枚でランクインした。さらに3位 つばきファクトリー『2nd STEP』(15,638枚)、4位 the GazettE『MASS』(13,558枚)と、派手な数字はないものの初登場で1万枚台なかばを売り上げるリリースが続く。ほか、初登場のリリースとしては6位に=conect『きっとあの日、僕は死んだ』(7,559枚)、7位 KUZIRA『Superspin』(6,975枚)、8位 GRAPEVINE『新しい果実』(6,843枚)、9位 ポルカドットスティングレイ『赤裸々』(6,139枚)、10位 AJICO『接続』(4,710枚)がある。
トップ10をざっと見ると、実に6作がロックバンドの新譜だ。この連載で取り上げた週に限った話にはなるけれど、ここまでロックが並ぶのって珍しいかもしれない。興味深いのは、2位のKen Yokoyamaが5年8カ月ぶりの新譜でベテランの健在ぶりを発揮しつつ、新鋭のKUZIRAが<PIZZA OF DEATH>からの1stフルアルバムでランクインしていることだ。いわゆるメロコアやメロディックパンクの根強い人気を感じるし、バンド側もベテランから若手までしっかり存在感を放っているのは頼もしい。いまも脈々と紡がれる系譜が、たとえば昨今2000年代のロックやポップパンクがリバイバルしているような動きとクロスするタイミングが訪れたりするのだろうか? と無責任な連想が浮かんでしまう。
頼もしさといえば、GRAPEVINEの『新しい果実』が聴かせる成熟したグルーブも、あえて相反するような表現を同居させるなら、熟れた末にこそ生まれる瑞々しさを感じさせて素晴らしい。前作『ALL THE LIGHT』でようやくきちんと聴き始めた程度の浅い浅いリスナー歴だけれども、引き続きグッと心を掴まれた。前作ではエレクトロニクスも柔軟に交えて多彩なサウンドを聴かせていた(そのあたりもあって関心を持ったのだった)のに対して、本作ではそうした要素がむしろ希薄。「バンド」らしい編成&演奏のスロー~ミドルテンポの楽曲(一番速くても「リヴァイアサン」のBPM130台なかば)が並んでいるが、どの曲も異様なほどの緊張感がみなぎっていて、エッジの立ち方は前作よりも強まっていると思う。