カンザキイオリが明かす、活動を続けていく上での原動力 「湧き上がる感情こそが創造の源」

カンザキイオリが明かす、創作の原点

(創作において)一番大切なのは“どれだけ感情を込めたかどうか”

ーー『映画大好きポンポさん』は、クリエイティブにおける楽しさはもちろん、そこで生じる葛藤や苦悩がリアルに描かれています。映画と音楽で違いはあれど、クリエイターとして共感できる部分はあったかと思いますが、劇中で特にグッときたシーンや好きなキャラクターを教えてください。

カンザキ:映画撮影の時、ナタリーちゃんが役を演じたリリーが振り向き、そのシーンにビビッと来たジーンくん、のシーンにぐっと来ました。正確にはその後のポンポさんが、この時のためにここまで来た、という意味合いのセリフ。一瞬の光を求めて作品を作る。すごい共感できます。これだ! と思った時は、快感ですよね。キャラクターはジーンくんが好きです。創造に命をかける生き方は、僕もこれから見習いたい。

劇中でジーンが制作する映画『MEISTER』のワンシーン

ーージーンやポンポは創作に対して狂気的とも言える情熱を向けていますし、劇中で作られる映画『MEISTER』では、家族をないがしろにしてでも音楽に生きる指揮者の再起が描かれていました。「幸福は創造の敵」という今作のキャッチコピーにも通じますが、カンザキさん自身、“満たされないからこそ創作活動が行える”というような感覚はありますか?

カンザキ:どうだろう。例えば、幸福じゃない時って、憎しみや悲しみで揉まれ、めちゃくちゃ伝えたいことが溢れ出る時があると思うんです。それが創造に反映され、魂のこもった作品ができる。だけど、幸せな時に感情が篭らない、というわけではないと思うんです。幸せな時は愛や温もりが創造に反映される。幸福じゃない時の方が感情が創造に込めやすいというだけで、必ずしも敵というわけではないと、私は思います。

 私も満たされない時、たくさんの曲を書きました。突き動かされるまま歌詞を書き殴り、がむしゃらに曲を作り。そうやってできた曲は誰かの心を揺れ動かすものができました。でも私が時々幸せな時にできる曲だって、沢山感情を込めて、突き動かされるままに作り上げた最高の曲なんですよね。だから私はどちらも違うとは言えなくて……。だから一番大切なのは、「どれだけ感情を込めたかどうか」だと思うんです。憎しみを、悲しみを、愛を、優しさを、伝えたい人に、どれだけ感情を込めて創造することができるかが大切な気がしています。

ーーカンザキさんの創作活動を続けていく上での原動力/原点にある感情を教えてください。

カンザキ:最初、作曲をし始めたのは、作曲家への憧れと、日常からの脱却だったような気がします。日常から逃げ出して、違う世界を見たい。あの頃憧れた作曲家になり、日常からも逃げ出すことが成功し、今創作活動を続けているのはなんででしょうね。やめたい時もある。苦しい時もある。でもなんか、溢れ出ちゃうんですよね。創作活動をしない人生を考える時も全然あるんですが、創作活動、したくなっちゃうんですよね。なんなんでしょうね。私も分かりません。これからゆっくり探すことにします。

ーーこれまでの活動において、映画に3曲書き下ろしたのは初めての経験かと思います。『映画大好きポンポさん』での仕事を通して得たもの、音楽家として新しい発見はありましたか?

カンザキ:絶対に妥協しないことでしょうか。それは『映画大好きポンポさん』を見て感じたことなのですが……。妥協しても飯は食えます。曲を作っている身分としてもそう思います。でも妥協しない方が、楽しいし、達成感があるし、何よりそうやって生きる人間が、一番美しい。

ーーこれから取り組んでいきたいこと、アーティスト/クリエイターとしての展望を教えてください。

カンザキ:私なんでもやりたくなっちゃう性格なので、全然音楽じゃないことをやり始めるかもしれません。例えば今は筋トレにハマって、ムキムキマッチョになりたい。2カ月前なんか、バイオリンをやりたくて、安い電子バイオリンを買いました。去年の年末なんかは、外国語を勉強しようと参考書を買いました。去年の秋頃は、イラストを描くことに目覚めましたし……。なんか右往左往してますね。だけど、音楽以外は日が浅くて、まだまだ修行中です。明確なひとつに縛られないで、いつかなんでもできるクリエイターになりたいですよね。なんでも何かをやってたい。

■先行配信
劇場アニメ『映画大好きポンポさん』主題歌
CIEL「窓を開けて」
配信はこちら▶https://lnk.to/ciel_openthewindow

劇場アニメ『映画大好きポンポさん』挿入歌
EMA「反逆者の僕ら」
配信はこちら▶https://lnk.to/ema_weoftherebels

花譜「例えば」
配信はこちら
▶https://lnk.to/kaf_forexample

■リリース情報
『映画大好きポンポさん オリジナルサウンドトラック』
2021年6月4日(金)リリース
品番:EYCA-13276 価格:¥3,850(税抜 ¥3,500)

サントラ
購入はこちら

<収録内容>
・松隈ケンタ 書き下ろしBGM
・新妻聖子歌唱によるオープニングナンバー「Dance On Fire」
・挿入歌①:EMA(from DUSTCELL)「反逆者の僕ら」
・挿入歌②:花譜「例えば」
・主題歌: CIEL「窓を開けて」
※収録内容・商品内容は予定となります。予告なく変更になる場合もございますので、ご了承下さい

■映画情報
『映画大好きポンポさん』
2021年6月4日(金) EJ アニメシアター新宿より全国ロードショー

<スタッフ>
原作:杉谷庄吾【人間プラモ】(プロダクション・グッドブック)
『映画大好きポンポさん』(MFC ジーンピクシブシリーズ/KADOKAWA刊)
監督・脚本:平尾隆之
キャラクターデザイン:足立慎吾
演出:居村健治監督 
助手:三宅寛治
作画監督:加藤やすひさ 友岡新平 大杉尚広
美術監督:宮本実生
色彩設計:千葉絵美
撮影監督:星名工魚山真志
CG監督:髙橋将人
編集:今井剛
音楽:松隈ケンタ
制作プロデューサー:松尾亮一郎
制作:CLAP
配給:角川ANIMATION
映画大好きポンポさん製作委員会

<キャスト>
ジーン/ジーン・フィニ:清水尋也
ポンポさん/ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネット:小原好美
ナタリー/ナタリー・ウッドワード:大谷凜香
ミスティア:加隈亜衣
マーティン/マーティン・ブラドック:大塚明夫

■関連リンク
『映画大好きポンポさん』公式HP

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