竹内まりや、時代を越えても色褪せない名曲の数々 山下達郎もサポート参加した『LIVE Turntable Plus』を振り返る

竹内まりや『LIVE Turntable Plus』レポート

 シンガーソングライターの竹内まりやが5月29日、ライブ映像『LIVE Turntable Plus』を配信プラットフォーム「MUSIC/SLASH」で配信した。

 この春に予定されていた7年ぶりの全国アリーナツアーが、新型コロナウイルスの影響で中止になった竹内まりや。『LIVE Turntable』は当初、アルバム『Turntable』とシングル『旅のつづき』のW購入者特典の応募抽選特典として今年4月にリアルライブとして行われるはずだったが、こちらも中止となり、2月に当選者2000名を対象に配信された。今回は『LIVE Turntable』の映像に、未公開ライブ映像6曲を追加。竹内にとって初の有料配信ライブとあって、音楽ファンの大きな注目を集めた。

竹内まりや『LIVE Turntable Plus』の模様

 ライブ映像の前には、竹内と山下達郎のトーク「夫婦放談Plus」が配信された。これはTOKYO FM『山下達郎のサンデー・ソングブック』の人気企画“夫婦放談”の出張版。「去年、達郎がアコースティックライブを配信したところ、みなさんに喜んでいただけたようなので、私もこういう形で、みなさんとのつながりを持ちたいと思った次第です」(竹内)と有料配信ライブを決めた理由を説明。

 さらに「無観客ライブは、昔、テレビの音楽番組に出ていたときの感じに近い」(竹内)

「(有観客ライブは)お客さんのプレッシャーによって、演奏者の集中力を高めてくれる。無観客ライブはそれがないぶん、演奏者の技量が問われる」(山下)

「ふだん私の音楽を聴いてくれる人たちと会いたいというのが、私のモチベ」「山下達郎がバンマスをつとめてくれてることが心強い。そのおかげでステージに立っていれるなと思いますね」(竹内)

「僕の配信よりも音はよくなってますから。ぜひご期待ください」(山下)など、貴重なトークを聞くことができた。

 そして、ついにライブ映像の配信がスタート。Zepp Tokyoの客席にフロアに置かれた“ターンテーブル”を模したステージに立った竹内が選んだオープニングナンバーは、「瞳のささやき」(「Don't It Make My Brown Eyes Blue」/クリスタル・ゲイルの楽曲カバー)。さらに「テレビの音楽ショーを見るような感じで、気楽に楽しんでほしいと思います」という言葉を挟み、山下のギターのイントロに導かれたロックンロールナンバー「アンフィシアターの夜」、竹内がテレキャスターを弾きながら歌った「マージービートで唄わせて」を披露。1950〜60年代の音楽に根差し、質の高いポップミュージックを生み出してきた竹内まりやの真骨頂と称すべきステージが冒頭から繰り広げられた。バンドメンバーは佐橋佳幸(Gt)、小笠原拓海(Dr)、伊藤広規(Ba)、難波弘之(Pf)、柴田俊文(Key)、宮里陽太(Sax)、コーラスのハルナ、ENA、三谷泰弘。山下達郎のライブメンバーを中心とした、鉄壁のアンサンブルだ。

 竹内まりやのキャリアを代表する楽曲もたっぷり。「今もまだ、ただならぬ状況が続いていますが、きっといずれ出口は見えるだろうという希望だけは捨てないで、みんなで協力しながら進んでいきましょう」というMCとともに届けられたのは、「元気を出して」。ひとつひとつの言葉を丁寧に紡ぎ出すボーカルには、ライブを鑑賞している人々への真摯な気持ちが込められていた。山下、佐橋のアコギを中心にしたオーガニックなアレンジも絶品だ。配信ライブの最初のピークを演出したのは、山下のギターカッティングを軸にした「September」。軽快なバンドグルーヴ、切なさと愛らしさを共存させたメロディ、そして、深みを増したボーカル。1979年のヒットチューンは、40年以上が経った現在もまったく色褪せることなく、スタンダードとしての魅力に溢れていた。

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