GRAPEVINE 田中和将、ロックバンドによる“2021年の問題提起” 「楽曲はただの感情吐露ではいけない」

GRAPEVINE 田中の問題提起

映画『いちご白書』やプリンスの歌詞引用も

ーーもうひとつ深掘りしたくなる曲に「josh」があります。旅の歌かと思ったらそうでもないようで。

田中:この2年くらいどこにも行けてないですからね。1曲くらい旅してもいいんじゃないかと。ひどいんですよ、この曲は。

ーーというと?

田中:だって旅に行ったのはいいけど、帰りの便の席は離れてますからね(笑)。

ーーなるほど(笑)。機内で見る映画は60年代アメリカの学生運動を描いた『いちご白書』で、プリンスの「When Doves Cry」が引用されている。

田中:プリンスよく聴いてましたから。『いちご白書』も、まさに今っぽい。

ーーこのプリンスの引用で思い出したんですけど、『文學界』のコラムで庭先のオリーブの木に鳩が営巣してると書かれてましたよね。あの話から旧約聖書の「ノアの方舟」を連想したんですよ。あのコラムは平和な日々の再来を願っているのかなと。

田中:そういうことを示唆するようなつもりで書いたんは書いたんですけど、オリーブの木に鳩が来たのは、ただの実話なんで(笑)。ほんまにウチにオリーブの木がありまして、そこに鳩が巣を作った。1年のうちに春先から9月くらいまで出産子育てするらしいんです。今年来た鳩が去年巣立ったやつかどうかは定かでないですけど、つがいで来て交代で温めとるんですよ。

ーー意外なところに歌の素材があるんですね。さっきシングルにしたかったとおっしゃっていた「阿」は仏教的かつ未来的な歌詞が面白いです。

田中:今回デモテープを早くから作っていたし、曲自体いっぱいあったんですけど、アルバムを作るに当たってセッション曲が1曲くらいあった方がいいんじゃないかということで、1日セッションデイを設けて、これを作ったわけです。なかなか面白いのができたので、これが配信シングル3曲目に来たらいいんじゃないかと勝手に想像してたんですけど、そうはいかなかった(笑)。

ーー誰か一人が作った曲とセッション曲で、歌詞の書き方が変わったりしますか。

田中:曲によりけりです。誰かが作ったデモでも難航するときは難航するし、セッションでスルッと行く場合も多い。この曲に関してはスルッと行った方じゃないですか。最終的に曲やアレンジにちょっと無国籍感といいますか、アジアンな感じもエキゾチックな感じもあるところが、歌詞にも出たと思うんですよ。考えてみれば、昔は未来だと思われてた時代をとっくに過ぎてたりしますからねえ。これはすごいことだなと。最近、大友克洋の『AKIRA』とかも話題になってるじゃないですか。

ーーそうですね。この曲は4月25日に行われた日比谷野音公演でも演奏していましたけど、やはりあのライブで演奏した「さみだれ」が綺麗な弾き語りから始まる曲で、前作の「こぼれる」という曲を思い出しました。

田中:「さみだれ」は亀井くんの王道メロディというか、割と得意なタイプではないかと。弾き語りなのは、アレンジをみんなであーだこーだやってて、歌い出しは一人にした方がいいんじゃないかみたいな話になっただけですけど。昔からのお客さんも安心するんじゃないかと。

ーーお客さんが安心するGRAPEVINEらしさみたいなことも考えるんですか。

田中:もうあんまり考えてないですけどね。むしろ「手癖から離れるにはどうしたらいいんだ」みたいなことをやろうとして、結果うまくいったり、いつもっぽくなったり......ほんまに曲によりけりですね。

デヴィッド・ボウイの遺作を手がけたジョー・ラポルタへの依頼

ーー「居眠り」も亀井さんの美メロ曲ですね。

田中:これも亀井くんの王道メロディが素晴らしい。美メロなんで、いい歌詞を書かないといけないという(笑)。

ーープレッシャーなんですか(笑)。家庭的な歌かと思うとそうでもなくて、今のような状況で聴くと沁みますね。〈居ない夫〉はどこにいるんだとか。

田中:これねえ、読み方によると思うんですけど、DVだったりモラハラだったりセクハラだったり......みたいな読み方もできる。そのへん巧妙に書いてます。

ーー今回はマスタリングエンジニアがジョー・ラポルタさんですが、彼に依頼したのは?

田中:マスタリングすごく良かったですね、感動しました。前回はホッピー神山さんにプロデュースで入ってもらってイレギュラーな感じになったんですけど、今回は5人でセルフプロデュースでやろうというのは早くから言ってたんです。以前『Burning tree』の時にグレッグ・カルビにマスタリングを頼んだことがあるんですけど、彼と同じSTERLING SOUNDの方に頼んでみようということで。

ーーラポルタさんの手がけた作品を聴いたりも?

田中:そう、手がけた作品のリストを見てたら、好きなアルバムがいっぱいあって。最近だとモーゼス・サムニー『グラエ』とかデヴィッド・ボウイ『(ブラック・スター)』とか。「えぇー!?」と思ってぜひ頼んでみようと。今はEマスタリングというのがかなり普及していて、ほんまにデータのやり取りでできるんですけど、最初の2曲くらいお試しでやってもらって、返ってきたのを聴いたら素晴らしかったんですね。この調子でアルバムもお願いしますと。

ーーどの曲を最初にお願いしたんですか。

田中:「ねずみ浄土」と「Gifted」。ちなみに先行配信したのはZETTONさんという日本の方にやってもらったので、アルバムは違うんですよ。ジョー・ラポルタから上がってきたものを聴いたら、見てるところが違うんだろうなという気がしましたね。自分たちの楽曲が、洋楽的な解釈、あるいは手触りになっていくのは大歓迎です。

ーー日本語を知らない人に、歌詞の解釈をどこまでしてもらえるかみたいなことは考えないんですか。

田中:もしかしたら日本の場合は、歌詞の解釈の方が大きいのかなと思います。海外の場合は、あくまで純粋に音で録っているから、その違いが出てくるのかなという気がしますね。僕としては歌詞のことはほっといてくれと言いたいですけど。

ーーアルバムが完成したところで聞くのも野暮なんですが、『文學界』のコラムで、「自分たちは曲を作ってライブで聴いてもらうことが着地点なので、ライブがないと曲を作るモチベーションも下がる」みたいなことを書いてましたけど、あの時点ではそういう気持ちだったんですか。

田中:今でもそうですよ。もちろん創作自体も好きですけど、そんなに宅録を熱心にやるタイプではないので。僕は結局バンドで音を出してるのが好きなんで、バンドがなければ曲も作りませんよ。

ーーライブもやれないから、めちゃくちゃ曲を作ったという人もいますけど。

田中:僕も結構作りましたよ。でも僕の場合は、作ったって結局バンドを想定しているわけですから、腹八分目みたいな感じですかね。デスクトップミュージックをそのまま発信するような人とは違う。

ーー曲ができても、バンドで音を出してみないと、田中さんにとって完成したことにならないんですね。

田中:曲を黙々と作っていると、自分の色しか出ないじゃないですか。それは俺の塊でしかない。別にそんなもんに僕は興味ないんですよ。自己肯定感が低いのか高いのか、顕示欲が高いのか低いのかわからないですけど、俺一色なのは座りが悪い。だから腹八分目みたいものがいっぱい溜まっていって、バンドに持っていってやる、みたいなことです。

■先行配信情報
GRAPEVINE Digital New Single「目覚ましはいつも鳴りやまない」
5月12日(水)リリース ダウンロードはこちら

■アルバム情報
GRAPEVINE New Album『新しい果実』
2021年5月26日(水)
●スペシャルパッケージ盤(1CD+2LIVE CD+Tシャツ)¥9,350(税込)  
※VICTOR ONLINE STORE & SPEEDSTAR CLUB限定販売商品
●初回限定盤(1CD+2LIVE CD)¥5,500(税込)
●通常盤(CD)¥3,300(税込)

<アルバム収録曲>
1. ねずみ浄土
2. 目覚ましはいつも鳴りやまない
3. Gifted
4. 居眠り
5. ぬばたま
6. 阿
7. さみだれ
8.josh
9. リヴァイアサン
10. 最期にして至上の時

<2LIVE CD『FALL TOUR 2020 at Nakano Sunplaza』収録曲>
※初回限定盤・スペシャルパッケージ盤のみ収録
01.HOPE(軽め)
02.Arma
03.豚の皿
04.また始まるために
05.報道
06.すべてのありふれた光 
07.The milk (of human kindness)
08.そら
09.指先
10.here
11.Alright
12.片側一車線の夢
13.光について
14.CORE
15.超える
16.1977
17.NOS
18.ミスフライハイ
19.アナザーワールド

<完全生産限定『新しい果実』Tシャツ(シリアルNo.入り)>
スペシャルパッケージ盤のみ付属:Tシャツ仕様
↓購入予約はこちら
VICTOR ONLINE STORE:https://victor-store.jp/item/160885
SPEEDSTAR CLUB:https://members.speedstarrecords.com/product/29667

<購入特典>
オリジナル・ポストカード
対象商品:『新しい果実』初回限定盤・通常盤

※対象店舗
・TOWER RECORDS 全国各店
・TOWER RECORDS ONLINE:
初回限定盤:https://tower.jp/item/5176543   
通常盤:https://tower.jp/item/5176544 

・HMV全国各店
・HMV&BOOKS online:
初回限定盤:https://www.hmv.co.jp/product/detail/11727998
通常盤:https://www.hmv.co.jp/product/detail/11727999

・TSUTAYA RECORDS 全国各店
・TSUTAYA オンラインショッピング:
初回限定盤:https://shop.tsutaya.co.jp/cd/product/4988002906963/
通常盤:https://shop.tsutaya.co.jp/cd/product/4988002906956/

・Amazon.co.jp:
初回限定盤:https://www.amazon.co.jp/dp/B08ZK8HFV7
通常盤:https://www.amazon.co.jp/dp/B08ZKGVD5Q

・楽天ブックス
初回限定盤:https://books.rakuten.co.jp/rb/16686567/
通常盤:https://books.rakuten.co.jp/rb/16686568/

※予約キャンペーン詳細はこちら:https://www.jvcmusic.co.jp/-/News/A019973/63.html

■ライブ情報
『GRAPEVINE tour 2021』
6月12日(土)福岡DRUM LOGOS/open17:15 start18:00 
6月13日(日)広島クラブクアトロ/open15:15 start16:00 
6月18日(金)岡山CRAZYMAMA KINGDOM/open18:15 start19:00 
6月20日(日)清水SOUND SHOWER ark/open16:15 start17:00 
7月2日(金)大阪Zepp Namba/open18:00 start19:00 
7月3日(土)名古屋日本特殊陶業市民会館ビレッジホール/open16:30 start17:30 
7月8日(木)東京Zepp DiverCity/open18:00 start19:00 
9月4日(土)新潟LOTS/open17:15 start18:00 
9月5日(日)仙台PIT/open16:15 start17:00
9月15日(水)東京LINE CUBE SHIBUYA/open17:30 start18:30
※チケット一般発売:5月15日(土)

■関連リンク
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