L’Arc~en~Ciel「Caress of Venus」カバーも lynch. 葉月が追求する“歌”での表現

 しかし、なぜ数あるL’Arc~en~Cielの楽曲のなかで「Caress of Venus」なのか。その答えは至ってシンプルだ。ファンから同様の質問を受けると葉月は「個人的に好きだから、です。このコンテンツはただそれだけでやっていこうと思っています。混じり気なし100%。いいでしょ」と答えた。これはソロ作品においても共通しており、『葬艶 -FUNERAL-』での選曲理由に関しても“好きだから”と“アレンジが良くて自分のことを知らない人にも届くもの”の二択という発言している(※1)。

 そういった意味では今回の「Caress of Venus」は“好きだから”に分類され、昨年末に自身が好きと公言する『鬼滅の刃』への愛と敬意を込めてカバーしたLiSAの「炎」は“アレンジが良くて自分のことを知らない人にも届く”に分類されると思うが、葉月のカバーに総じて言えることはしっかりと葉月の歌になっているということだ。原曲へ敬意を払いながらも自分の歌にすることによって、葉月というボーカリストに興味を持ってもらい、ひいてはlynch.に興味を持ってもらう。しかし、それだけではなく、同時にしっかりと原曲の良さも広めることのできる歌声だと筆者は考える。実際、筆者がそうであったように葉月のカバーを聴いたあとに原曲を聴いて双方の歌を楽しむ人も少なくないのではないだろうか。

葉月/HAZUKI – 炎/Homura (LiSA Cover)

 美しく艶やかな歌声と凶暴なシャウト、相反する二つの武器を持ち合わせるボーカリストが、葉月その人である。歌を際立たせるためにシャウトがあり、シャウトを際立たせるために歌がある。そして、その二つが高次元で絡み合うことでそのギャップはさらに大きくなり、リスナーに与える衝撃はより大きくなるのだ。かねてから音楽活動に限らず様々な自分の“好き”や“夢”を公言して形にしてきた葉月。すでに『HAZUKI COVER SELECTION』の第二弾にも着手しているとのことで、次はどんな“好き”が形になるのか続報を待ちたい。

※1:https://realsound.jp/2020/10/post-629521.html

■オザキケイト
平成元年生まれの音楽ライター。ヴィジュアル系を中心にライブレポートやコラムを執筆している。「Real Sound」や「ウレぴあ総研」、その他バンドのプレスリリースにも寄稿。
ツイッターアカウント:@lellarap__

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