RAISE A SUILENの真髄はステージにある 確かなスキルに裏打ちされた“ライブバンド”としての輝き
アニメやスマホゲームなど、さまざまなメディアミックスを展開する次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!(バンドリ!)』。このプロジェクトからPoppin'Party、Roseliaに続く第3の“リアルバンド”として2018年から始動したのが、今回紹介するRAISE A SUILEN(通称:RAS)だ。
このバンドは先の2組とは成り立ちが異なる、非常に個性的な存在であることは、『バンドリ!』に触れたことがある方ならご存知のことだろう。当初は『バンドリ!』に登場するバンドのうち、実際に楽器を演奏しないバンドがライブをする際のバックバンドとして、“THE THIRD(仮)”名義で活動開始。のちにRaychell(Ba.&Vo./レイヤ役)、小原莉子(Gt./ロック役)、夏芽(Dr./マスキング役)、倉知玲鳳(Key./パレオ役)、紡木吏佐(DJ/チュチュ役)の5人が揃い、RAISE A SUILENという名前で本格的な活動がスタートする。
……と、本来ならここで『バンドリ!』と共に歩んだRASの軌跡について触れるべきだろうが、本稿ではアニメファンやアニメソングリスナー以外の層……フェスで活躍するようなロックバンドやアーティストに日常的に触れている音楽ファンに向けて、RASの魅力を技術/パフォーマンス面、そして音楽面を軸に解説していきたい。
上記のように、RASはバックバンドから始まっていることもあり、各メンバーの演奏技術には特筆すべき点が豊富にある。Raychellや夏芽はこれまで、さまざまなアーティストのレコーディングやライブでのサポート経験を持ち、Raychellに関してはソロアーティストとしてメジャーフィールドで活躍。小原も声優デビューに先駆けてテレビアニメ『SKETDANCE』から生まれたバンド・The Sketchbookのギタリストとしてデビューを飾り、数々の大舞台を踏んでいる。倉知はRAS以前バンド経験こそなかったものの、幼少期からピアノやエレクトーンを学んできたことから、しっかりした基礎力が備わっている。そんな彼女たちの実力は、YouTube上に公開されている数々のライブ映像からも伝わることだろう。
またこれらの動画を通じて、ステージに立つパフォーマーとしての存在感や表現力もじっくり感じ取れることだろう。パワフルかつダイナミックなドラミングでバンドサウンドをぐいぐいリードする夏芽。彼女のビートを着実なベースラインで支えつつ、艶やかな歌声で観る者を魅了するRaychell。学生時代に学んだチアダンスが功を奏してか、派手なダンスパフォーマンスを交えた奏法で観客の目を引く倉知。RAS加入と同時に始めたというDJパフォーマンスと、唯一無二のラップでRaychellとは真逆の世界観を展開する紡木。そして、RAS加入後にプレイスタイルが以前から激変したという、アグレッシブなパフォーマンスを見せる小原。音楽的素養はもちろんのこと、エンターテイナーとしても一流と言える彼女たちのステージは、普段ロックフェスなどで国内の最前線で活躍するアーティスト/バンドに触れているリスナーにこそ観てもらいたい。
RASは『バンドリ!』関連のイベントや『アニサマ(Animelo Summer Live)』などを筆頭に、数百人クラスのライブハウスからアリーナ、ドームレベルまで大小さまざまな会場でパフォーマンスを繰り広げてきた。特に2019年は『山小屋・ばさらかpresents阿蘇ロックフェスティバル2019 in 北九州』や『マグロック2019』といった野外フェスでは『バンドリ!』の枠を超えて、RASの存在を知らない層までもを巻き込む強烈なステージで、知名度の向上へとつなげることに成功している。
『THE CREATION~We are RAISE A SUILEN~』ライブ写真