2ndアルバム『飛べないニケ』インタビュー
ロザリーナがしたためた“今しか書けないこと” この時代におけるSSWのメリットとは
作った曲を誰かが歌ってくれるのはすごく嬉しい
ーー「Dream on」はシンガーソングライター・麦野優衣さんとの共作ですが、どんなふうに作っていった曲ですか。
ロザリーナ:これは麦野さんと私とアレンジャーの西(陽仁)さんと3人で、何もないところからはじめた曲ですね。コードをどんな感じにしようか、どんな雰囲気の曲調にしようかと話ながら作っていった曲で。ライブでみんなが口ずさみたくなるようなフレーズを入れたいねっていう話はしていました。曲中の〈I dream on〉というところは、みんなで歌ってもらいたいねっていう感じで作ったものだったんです。
ーー結構ハイトーンのパートになりますけどね(笑)。歌詞を一緒に書くっていうのはあまりない体験ですよね。
ロザリーナ:歌詞を一緒に書いた曲をリリースするのは初めてなんですけど、結構苦戦しましたね。本当に言葉の選び方って人それぞれ全然ちがうから。ここでそういう言葉が出てくるんだなっていう刺激がたくさんあったし。私は明るい歌を書くことがあまり得意じゃなくて。本当は最初にバーっと書いたときは、もうちょっと暗めの曲になっていたんです。これをどうにか明るくしたいんですけど(笑)。ネガティブワードを、いい感じにポジティブワードに変換してもらえるような制作でした。
ーー結構、ふたりで会話しながら作っていったんですね。
ロザリーナ:お互いに、最近あった出来事を話したり、普段どういうことを考えているんですかっていうのを聞いたり。それを共有のメモに書いて作っていく作業でしたね。
ーー創作についての話をしたり、誰かと一緒に作業することでより自分がわかったりする感じがありそうですね。
ロザリーナ:確かにそうですね。メロディも一緒に考えていたんですけど、メロディに対しての言葉の置く位置とかも、それぞれの感じ方があるんですよね。だから、新しい試みだったというか。アルバム全体を通して聴いたときにも、新しい色になっているんじゃないかなって思います。
ーー今回の制作は、1年くらいかけて取り組んでいた感じでもあったと思うんですが、そのなかでチャレンジは多かったんですか。
ロザリーナ:そう思います。1曲目の全編英語詞の「Full of lies」は、アルバムで唯一ボーカルを宅録しているんですが、大変でしたね。最終的に英語の発音がゲシュタルト崩壊みたいな状態になりました(笑)。何回も何回もひとりで歌っていると、変な発音になっていって、もはやどれが正解かわからなくなってました。
ーーなぜ宅録にしようと?
ロザリーナ:絶対時間がかかるなと思ったんです。この曲はすごくこだわりたかったから、発音も英語ができる人に聞いたりしながら、時間をかけてやったんです。自分でやったほうが何回もトライできるので、ひとりでやらせてくださいっていうことでお願いしたんですけど。結局1日では終わらなくて。録りはじめて5時間くらいでまだAメロしか録れないみたいな。これ、一生終わらないって思って。
ーーそうやってこだわりが詰まっているからこそ、充実した作品になっているし、真摯に書いた曲たちだから、立ち止まってしまうようなことが多い今の時期だからこそ響くメッセージがある作品だなと思います。ちなみに、TikTokでは1stアルバム収録曲「何かになりたくて、」が話題になっていますよね。あの曲は、デビュー時期でとにかくたくさんの曲を書いていたなかの1曲でしたが、心境的にも今回のアルバムにもシンクロする内容だなと改めて思います。
ロザリーナ:自分が作った曲を誰かが歌ってくれるというのは、すごく嬉しくて。それは大きな喜びのひとつですね。「何になりたくて、」を書いたときは、よく曲を書いたなっていうくらい忙しい時期で。でも何もないときよりも、バタバタとしているときほど書きたいことが思いつくというか、ないものねだりだなって思いますけど(笑)。
ーー今回のように余裕があっても逆に難しいこともありますしね。
ロザリーナ:本当にそうですね。うまくいくことばかりじゃないですし。自分でもたまに口ずさんでます、〈やらなきゃいけない事だらけ〜〉って(笑)。「何になりたくて、」だって思いながら、何かやらなきゃなって思ってます。
ーー新作の中では、そういうずっと自分の頭のなかで回っているようなフレーズってありましたか?
ロザリーナ:いろいろあるんですけど。「涙の銀河」とかは、一晩でフルコーラスを書き上げた曲で、そのときの気持ちをそのまま泣きながら書いた曲だったんです。それで「涙の銀河」というタイトルなんですけど。この曲ではサビで、〈奇跡があるのなら この記憶を消して〉って歌っているんです。書いてるときは本当に、奇跡があるならこの記憶を消してほしい思っていたけど、後から考えたら、奇跡があるなら、望みを叶えるとか幸せになりたいという方にいくと思うんですよね。でもこのときは、本当にこう思っていたから。気持ちがそのまま真空パックされたというか。この曲を聴くとそのときのことを思い出すし、あのとき書き上げてよかったなって思った曲でしたね。
ーー「涙の銀河」はサウンド的には生楽器をたくさん使っていて、切ないけれど、あたたかな印象の曲で、サウンドで温度調節されていますね。
ロザリーナ:そういう曲がちょいちょいありますね、私には(笑)。暗い曲は暗くはしたくないし、明るい曲を明るすぎにもしたくないというのは、いつもアレンジのときに言っているんです。切なさって、共通ワードではないなって思っていて。とくに音楽に関しては、これを切ないと感じますかって何人かに聞いたときに、切ないと感じる人もいれば、感じないという人もいると思うから。アレンジャーの方といろんな曲を聞き比べてみて、これは切ないって感じますよね、このどのへんが切ないって感じますかっていう、“切ない共有”みたいなのはよくするんです。やっぱり言葉だけだと、音にしたときに思っていた切ないと違うというのがあるから。アレンジャーの方とはよく切なさ共有、明るさ共有って話をはしています。
ーー5月にはいよいよライブも決定しました。久しぶりの観客の前でのライブで、ステージに向かう気持ちも新たなものになりそうですね。
ロザリーナ:緊張しますね。こんなにライブ をやっていなくて大丈夫かなっていう。配信でのライブはありましたけど、今回自粛期間から制作期間があって、レコーディングをしていったときに、ちゃんと聴いてくれる人がいるのかもわからない、どんな人が聴いてくれているのかもわからない状況で作っていくのが結構つらくて。だからライブで、アルバムを作ってよかったなって思えるような日がくると嬉しいなと今も思ってます。
■リリース情報
ロザリーナ
2nd Full Album
『飛べないニケ』
2021年3月31日(水)リリース
【初回生産限定盤】(CD+BD)
SRCL-11740 ∼ 11741 税抜 ¥6,182 税込 ¥6,800
【通常盤】(CD のみ)
SRCL-11742 税抜 ¥3,000 税込 ¥3,300
<収録曲> ※共通
1. Full of lies
2. Crazy life
3. NEVERLAND
4. 涙の銀河
5. 盾
6. Dream on
7. NOAH
8. 通行人B
9. moon & sun
10. 飛べないニケ
<BD収録曲> ※初回盤のみ
ロザリーナ ONEMAN LIVE 2020
1. Good Night Mare
2. little star
3. タラレバ流星群
4. にじいろ
5. マリオネット
6. 悲しみのセル
7. I.m.
8. モウマンタイ
9. 真夏のスノーマン
10. ボクラノカタチ
11. 君がくれた melody
12. 百億光年
13. moon & sun
14. Over me
15. アネモネ
16. 何になりたくて、
17. NEVERLAND
18. Stereo
19. ドレスコード
20. See u again
■関連リンク
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