森朋之の「本日、フラゲ日!」
[Alexandros]、吉澤嘉代子……音楽と映像作品が生み出すケミストリー 最新作をレビュー
ギターのフィードバックからはじまるバンドサウンドにグッと引き込まれ、〈久しぶりにさ、夢を見たんだ月が綺麗な夜に〉というラインによって、切なさと愛らしさが胸のなかに広がる。フレンズのニューシングル『約束』の表題曲(作詞:えみそん 作曲:ひろせひろせ)は、TVアニメ『ホリミヤ』エンディングテーマ。“当たり前だと思っていたことこそが、じつはもっとも愛しく、大切なものだった”という気づきをテーマにした歌詞は、青春の甘酸っぱさを描いたアニメの物語と重なりながら、青い季節を経験したすべての人の感情を揺さぶるエモーショナルな楽曲に仕上がっている。これまでの楽曲と同じく、メンバーのプレイヤビリティが活かされ、“全員が主役”なサウンドメイクにも注目してほしい。メインキャラの堀京子を演じる声優・戸松遥の歌唱による「約束<堀 京子(CV:戸松遥)Ver.>」も必聴だ。
「夜永唄」がSNS、ストリーミングを中心にヒットし、昨年、メジャーデビューを果たした神はサイコロを振らないの1stシングル『エーテルの正体』は、光の波動を伝える媒体“エーテル”に“自分たちの音楽がリスナーの光になってほしい”という願いを込めた作品。リード曲「未来永劫」はアニメ『ワールドトリガー』2ndシーズンディングテーマとして制作されたロックチューン。作詞・作曲を手がけた柳田周作は、アニメの主要キャラクターたちの関係を自らの友人たちと重ね、“身近な人たちとの絆を大切にしてほしい”という普遍的なメッセージに昇華させている。強い感情をダイレクトに反映させたボーカル、歌に寄り添い、増幅させるバンドサウンドサウンドも素晴らしい。「クロノグラフ彗星」(ドラマ『星になりたかった君と』主題歌)、「1on1」(ドラマ『ヒミツのアイちゃん』主題歌)も収録。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。