ZOC、日本武道館公演で刻んだ強い意志「出会っていくべき人がたくさんいて、影響を与えるべき人がたくさんいる」
冒頭に記した香椎かてぃの手紙は、アンコールで読まれたものだった。「REPEAT THE END」を歌い終えたとき、ZOCに残る5人は、2020年にこの世を去った青柳カヲルがデザインしたTシャツを着ていた。大森靖子は武道館に至るまでの葛藤を語ったが、その言葉は強い意志に貫かれていた。
「出会わなければ、こういう気持ちを与えずに済んだのかなって思うこともたくさんあって、たくさんたくさんたくさん考えた末に、出会わなければよかった人なんて、ひとりもいないという結論になりました」
「藍染の実直さ、まろの歌、りこちゃんのダンス、にっちゃんの天真爛漫さ。すべてには、もっともっと出会っていくべき人がたくさんいて、影響を与えるべき人がたくさんいると思っています」
ライブの最後の最後は、アカペラによる「family name」。ZOCは、剥きだしの生身で終わった。取り繕うところはどこにもない。2021年という時代の生々しい記憶として、見た者の中に深く残るはずだ。自ら刻んだ傷跡のように。